人生を動かす小さな問い、「リンクワード」

話すときの言葉の選び方によって、その人の考えや心境、これまでの生き方というものが見えてきます。今までの人生は変えることはできませんが、これからの人生をより良くするために、どのようにして言葉を選び、使っていけばいいのか。


リンクワードは文と文の間にくる言葉で、接続詞とか副詞、文頭に来て次に何を話すのかをあらかじめ伝える役割があります。

例えば、「もし」「偶然にも」「だからこそ」「残念ながら」「ちなみに」……。普段良く使う言葉です。

もし、あなたが話し手の言葉として「でも」しか使えなかったら…。

何か良いことがあったとしましょう。「ご飯がうまい。でも……」「来月結婚する。でも……」「仕事がうまくいった。でも……」どこかネガティブです。ネガティブが悪いわけではないと思うのですが、ちょっと嫌な予感がします。目の前にあることが良いことにつながっていく想像がうまくつかない、そんな予感がします。

では、悪いこと。そんな場合を考えてみましょう。「財布を落とした。でも……。」「病気になった。でも……。」「会社が倒産した。でも……。」ポジティブです。楽観と力強さになります。「でも」が、あながち悪いわけではない。

おもしろいのは、人物像が立ち現れてくるということです。このケースで言うと、逆境には強い。だけど、目の前のささやかな幸せを感じ取るのがあまり上手くできない。そんな人物が見えてこないでしょうか。

「でも」「もし」「だから」「それはさておき」「結局」「ちなみに」「偶然にも」「だからこそ」……。

私たちは既に十分に自由な言葉やとても多くのカードを持っていて、使い方も自由だし、使う順番も自由。偏った考え方にとらわれず、自由な発想でものを考えることができます。


話し手の言葉は、意識さえすれば確実にコントロールできるものの一つです。その確かなものを皆さんは既に共有しています。使い方が違うだけなのです。小さいが故にみんなが持つことができる道具。それが、リンクワードです。

会話は偶然と秩序によってできています。それは、ピロートークだろうが、立ち話しだろうが、会議だろうが、私たちは不確かさと確かさに翻弄されています。時には、互いに良く分かり合うという小さな奇跡を目の当たりにすることもあります。会話はまるで、人生の縮図です。

このリンクワードという小さな問いの力を借りて、偶然と戯れるように会話を楽しんでみる。自分のすぐ手近にあって、みんなも持っているものの確かさを信じてみる。それは、未来へのささやかな予行演習なのではないのでしょうか。小さな問いは、小さな道具。みなさんは既にそれを手にしているのです。小さな問いでほんの10秒後の未来から変えてみませんか。