ビットコインが500ドルに乗せたので、これを機会に整理してみる

ビットコインは数学に基づいたデジタルの資産です。ビットコインはオープン・ソースの、暗号化されたセキュリティ・システムに守られたネット上の仮想通貨で、送り手から受け手に、直接(peer-to-peer)渡されます。その場合、全ての過去の取引の記録(=Blockchain)が帳簿(transaction ledger)まるごと受け手に譲渡されます。

ビットコインはある時点でUSドルなどの通貨に換金することが出来ますし、逆にUSドルなどの通貨を持っている人がビットコインに換金することも出来ます。

ビットコインを処分したいと思ったら、ビットコイン・エクスチェンジ(Bitcoin Exchange)と呼ばれる、自然発生的に出来た数々の私設取引所のうちのひとつで、取引の相手を見つけることも出来るし、コインベース(Coinbase)に代表される、ビットコイン・ウォレット・サービス(Bitcoin wallet services)という周辺サービスの提供企業にて換金することも出来ます。

過去の全ての取引の記録(Blockchain)を残した帳簿(transaction ledger)を、まるごと受け手に譲渡するということは、金融機関の中央コンピュータで集中的に過去の取引記録が保管されるのではなく、個々のユーザーのビットコインそのものに、過去の取引記録が「記憶されている」ことを意味します。その「記憶」を今、持っているのは、そのビットコインを保有している人、つまりベアラー(bearer)に他ならないのですが、誰から誰にお金が渡ったかの個人情報を知ることは出来ない仕組みになっています。これはちょうど100円玉が、過去に誰の手から誰の手を渡って自分のところに回ってきたかを知ることは困難であるのと同じです。
     131122
ビットコインはどこの政府や金融機関にも依存していない、オープン・ソースの仮想通貨なので、金融機関が電信振込などの方法で所有権の記録の「付け替え」をすることはありません。キプロスで起きたような預金封鎖の対象にも成り得ないし、差し押さえることも出来ません。

新しいビットコインは採掘(mining)と呼ばれる作業によって、発見されることが可能です。これはちょうどゴールドが鉱夫によって採掘されるイメージと同じです。採掘に際してはパワフルなコンピュータが必要ですし、ハッカーのように極めて才能ある人でないとビットコインの発見は困難です。現在のビットコインの流通量は1200万ビットコインですが、最高でも2100万ビットコインしか流通しないことになっています。金の採掘と同様、採掘が進めば進むほど、新しい金を掘るためには地中深くまで探索しなければならず、発見のための労力は漸増します。これがビットコインの流通を抑える働きをするわけです。

ビットコインを使用するに当たっては、ユーザーは自分のPCやスマホにウォレット(wallet)と呼ばれるソフトウエアをインストールする必要があります。ビットコイン自体は企業でもないし、単なる数列に過ぎないので、各国の政府などが取り締まることは難しいですが、ウォレットのサービスを提供する企業は、ちゃんとその本籍のある国の法律に準拠し、マネーロンダリング法などの諸規定を順守して営業しており、将来、新規株式公開を目指しています。

つまりちゃんとしたウォレット・サービスの会社を利用するか、胡散臭い経路でビットコインを利用するかは、ユーザー、つまりあなた次第なのです。なお、地下経済っぽい経路でのビットコイン取引は、今、次々に摘発されており、アングラ的な使い方はだんだん困難になっていることを指摘しておきます。逆に言えば、一連の摘発はビットコインの正統性のUPに大きく貢献したのです。

ビットコインはトランザクション・コストがほぼゼロに近いため、マイクロ・ペイメントなどの場面で、極めて便利です。コーヒー一杯を買う時、スタバでクレジットカードを提示すると、お店の人は嫌がります。これはトランザクション・フィーがお店の負担だからです。このような小さな支払いの場面で、ビットコインは最も威力を発揮すると思われます。

つまりポケットの中のジャラジャラした小銭代わりなのです。ビットコインが、あくまでも「コイン」であり「ビル(紙幣)」でない点に注目すべきです。

このほか、ビットコインはウェブサイトの「投げ銭ボタン」などに今後どんどん採用されてゆくと予想されます。(ウェブメディアを運営している僕としては、そうなると嬉しいです!)

ただ、そのためにはビットコインの価値が余り乱高下しない方が使い手にとっては助かります。(コーヒーの値段が、毎日変わると鬱陶しいですよね?)

残念ながら、ビットコイン価格は、いま猛烈な勢いで上昇してしまっています。これは投機の対象になってしまっているということが先ず指摘できます。しかし駅の改札のsuicaみたいな、利便性の追求こそがビットコインの本来の使われ方になると思います。いま、ビットコインが利用できるポイント・オブ・サービス(利用可能場所)はどんどん増えており、それがビットコインの需要を押し上げているのです。

ビットコインが普及すると、困る人が出てきます。ざっと思い浮かぶ名前で言えば、ビザカード、アメリカン・エキスプレス、ウエスタン・ユニオン、JPモルガン、アクセンチュア、IBM、アマゾン、アップル、AT&Tなどです。

(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack)


仮想通貨人気でビットコイン類似通貨が次々登場

電気エンジニアのゲーリー・トマス氏は仮想通貨でもうけようと計画している。しかし、それはビットコインではない。彼はアルファコインやファストコインといった新しい仮想通貨に大きく賭けているのだ。

 トマス氏は今年に入ってボストン郊外の自宅で仮想通貨の取引を始めた。かつてドット・コム・バブル時のインターネット銘柄への投資は大失敗に終わったが、今の仮想通貨取引が金持ちになる切符だと確信している。

 50代の彼は「これは決して繰り返されない歴史の決定的瞬間だと思う」とし、「誰も想像もしないことになるだろう」と話した。

 「クリプト通貨(仮想通貨)」は熱狂的な人気で、ピアコイン、ネームコインからワールドコイン、ホーボーニッケルまで80種以上の通貨が生まれた。10、11月だけでグリッドコイン、ファイアフライコイン、ゼウスコインが誕生した。bbqコインは2012年のスタート後に失敗したが、今は復活している。11年に始まったライトコインは、ビットコインの最強の代替通貨となった。

  131122-1

 仮想通貨の専門家たちは、ビットコインの爆発的な人気が相次ぐ新通貨の発行に寄与していると見ており、ますます増える仮想通貨ファンはその取引でひともうけできると期待している。各取引所を通じたビットコインの平均価値を算出しているコインデスク・ドット・コムによれば、09年に始まったビットコインはニューヨークの20日午後遅い時点で1ビットコイン=548ドル(5万4800円)をつけ、既存ビットコインの価値は約66億ドルとなった。この価値上昇を受けて米議会では今週、公聴会が開かれ、当局はビットコインが合法的な通貨だとしながらも、違法行為のために使われる恐れがあるとの見解を示した。

 これは仮想通貨にとっては黄金の時だった。ビットコインは下落する前の18日には781.82ドルまで急騰。他の一部の仮想通貨も同様に急伸した。

 ビットコインは、ナカモト・サトシという正体不明の個人あるいはグループによってつくられた。複雑な数学の問題を解くためコンピュータを使って、限られた数のビットコインが「マイニング(採掘)」、つまり創出される。ビットコインはその後、デジタル的に取引される。投資家はネット上の取引所を通じてこれを売買する。いくつかの小売業者は商品・サービスの対価として仮想通貨を受け入れている。

 新通貨は一般にビットコインと同じ基本概念に基づいているが、そのアルゴリズムは少しばかり異なり、取引をスピーディーに行えるようになっている。

 これらの新通貨はビットコインほどには広範に受け入れられたり使われたりしていないため、投資家はこれらの通貨にはビットコインの何分の一かの価値しか置いていない。

 新通貨の多くは、フロリダ州デルレイビーチのクリプトシー(プロジェクト・インベスターズの子会社)やBTC-eドット・コムなどの取引所で取引されている。クリプトシーの創業者ポール・バーノン氏は、この取引所ではトマス氏のような熱狂的な投資家が1日に最高3万3000件の取引をしていると話した。デイトレーダーも出現し、異なった取引所間のレートのサヤを稼ごうとしている。

 20日のクリプトシーでは1bbqコインは0.00000474ビットコインで取引された。1ライトコインは0.01331025ビットコイン、クルーガーコインは0.00000024ビットコインだった。

 仮想通貨の動きを追っているニューヨークのジェネシス・ブロックの調査部長グレッグ・シュベイ氏は、非常に多くの通貨が発行されているため、「集中的な調査が難しい」と話した。同氏は、その多くは成功できず、最終的に価値のないものになるだろうとの見通しを示した。

 パリでコンピューターサイエンスを学ぶ17歳のAndy Pilate氏(通称キューボックス)が仮想通貨ネットフォーラムのbitcointalk.orgに投稿したところでは、同氏は12年7月、「冗談半分に」bbqコインをつくった。このフォーラムのユーザーの多くは、bbqコインは他の通貨の物まねで、仮想通貨を軽視していると冷笑していた。bbqコインはすぐに姿を消した。

 しかし、当初の支援者たちの一部が今年になってbbqコインを生き返らせた。今ではいくつかの小売業者が支払い通貨として受け入れるまでになった。

 オハイオ州シーダービルのコーヒーショップ、ストーニー・クリーク・ロースターズのオーナー、テーラー・マイナー氏は同通貨をマイニングし、店で受け入れている。彼は10月、ある友人に初めてbbqコイン建てで販売し、友人はアイスクリーム「クッキー・アンド・クリーム」2人前を7000bbqコインで買った。彼は「食品とクリプト通貨という二つの世界が一つになったような感じだった」と話した。

 Pilate氏は、bbqコインを放棄してからはこれにほとんど関心を払わなかったとし、「人々が最終的にこれを使うようになって嬉しい」と話した。

 仮想通貨の時価総額を調べているフィルコインマーケットキャップ・ドット・コムによると、ビットコインの最強の代替通貨であるライトコインの時価総額は、20日午後遅い時点で約1億7680万ドルとなった。同通貨は今、一部で受け入れられている。例えばユタ州ノースローガンの蜂蜜・キャラメル販売会社ビーズ・ブラザーズはビットコインとライトコインを受け入れている。

 一部のビットコイン支持者は、ライトコインの脅威は感じないと述べている。ビットコインの利用促進活動をしているビットコイン財団(ワシントン)の広報担当者ジンヤング・リー・イングランド氏は、投資家が価値の貯蔵手段としてさまざまなコモディティーを使うのと同じように、仮想通貨は共存できるとし、「ビットコインが金なら、ライトコインは銀だ」と語った。

 自分のコンピューターで仮想通貨をマイニングしたトマス氏は、もっと多くの通貨が価値を高めるだろうと述べた。現在約8ビットコイン、つまり約4384ドルの価値がある自分の資産が来年11月には1000万ドル以上の価値になると確信している。彼は「いい位置にいたのに大きなリスクを取ろうとしなかったばかりに、振り返って『あの時やっていれば』と悔やんだことが何度もあった」と話している。 


 By JOE LIGHT

ビットコインについて素人が思う疑問