佐々木俊尚氏の新著『キュレーションの時代  
     つながりの情報革命が始まる』(筑摩書房)を、紹介します。 

110510


情報の常識はすべて変わった! 
テレビ、新聞、出版、広告――。マスコミが亡び、情報の常識は決定的に変わった。 

ツイッター、フェイスブック、フォースクエアなど、人と人の「つながり」を介して情報をやりとりする時代が来たのだ。そこには人を軸にした、新しい情報圏が生まれている。 

いまやだれもが自ら情報を選んで、意味づけし、みんなと共有する「一億総キュレーション」の時代なのである。 
シェア、ソーシャル、チェックインなどの新現象を読み解きながら、大変化の本質をえぐる、渾身の情報社会論。 


マス幻想が終演した時代のその先に広がる未来予想図とも言える、心が躍る一冊である。 


テレビ、新聞がトレンドを作り、画一的なマス消費を支えた経済は過去のもの、代わって、人と人とのつながりを軸とした情報共有が力を持ち始めている。 

マスメディアを介さず、誰もが世界規模で情報を発信できる今、あふれる情報から価値あるものを発掘する目利きの存在が注目されている。 

美術展を企画するキュレーター(学芸員)のように、独自の世界観に沿って情報を拾い上げ、新たな意味を付加。 
その視座に共鳴したフォロワーとの濃密な関係によって、共感や信頼から広がる情報流通と消費の未来図を、多彩な事例を織り交ぜて説く。 

Googleが主導する情報検索のテクノロジーに焦点を当てた『ウェブ進化論』の世界観に対して、『キュレーションの時代』は情報を切り出す人に重きを置いている。 

大切な情報をもたらしてくれるのはアルゴリズムではなく人であり、 
人と人は共感や価値観で結びついて、ノイズさえも積極的に受け入れていく。