17世紀以来はじめてとなる、黒点が著しく減少する太陽活動の休止期が、近く訪れると言われている。 


「17世紀の危機」は小氷期が原因 (ナショナル・ジオグラフィックより抜粋) 

17世紀のヨーロッパは、戦争やインフレーション、飢饉など、混乱と不安にあふれていた。 
歴史学では「全般的危機」や「17世紀の危機」と言われている。 

1世紀も続いたこの動乱期については、「封建主義から資本主義に移り変わる中で生じた成長期の痛み」と説明されてきた。 
しかし最新の研究は、気候変動による寒冷化、いわゆる「小氷期」を原因として指摘する。 
小氷期の襲来で農業生産が縮小し、最終的に「全般的危機」へとつながったという。 

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       <1677年に描かれた、氷の張ったイギリス・ロンドンのテムズ川> 


香港大学のデイビッド・チャン氏は、「産業革命以前、ヨーロッパ諸国の主幹産業は農業だった。気候は農産物の生育状態を決定するため、経済も気候に左右された」と話す。 

また、ヨーロッパ人自身の体格も小さくなったという。平均身長は気温を追うように下がり続け、栄養失調の拡大とともに1500年代末にはおよそ2センチも低くなった。 
再び身長が伸び始めたのは、気温が上昇傾向に転じた1650年以降である。 一方で、飢饉、三十年戦争(1618~48年)、満州族による中国征服(1644年)といった結果は、顕在化までに数十年を要した。 

地球の気温が低下し、小氷期が訪れると、農業生産が縮小し、結果的に食料不足や健康状態の悪化などを誘発するおそれがあるという。 
小氷期がやってくるかもしれないと危惧されている2011年の今、急激な人口増加と相まって、水や食料の不足を背景に、またしても動乱の時代となってしまうのだろうか。もし小氷期となった場合、解決の糸口はあるのだろうか。