近年、日本企業が大きな影響を受けたグローバル資本主義。 
しかし、世界中がグローバル資本主義と呼ばれる同じ資本主義で統一されたわけではない。むしろ、中国やヨーロッパでは多様な資本主義が生まれている。 
一方、欧米で広がる企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)や、社会起業家(Social Entrepreneur)の潮流。しかし、それはいずれも、日本型資本主義と日本型経営の根本にあった精神であり、価値観。 

日本においては、多くの人々が世のため、人のためと語り、働くとは傍(はた)を楽(らく)にすることであるとの労働観や、道を究めることを人生の目的とした職業観が、深く根を生やしてきた。 
それゆえ、日本型資本主義は単に利益さえ上がれば良いとするグローバル資本主義とは異なった成熟した資本主義であった。 

いま気づくべきは、この日本という国にある深みある精神や思想、文化。その素晴らしさに気がついたとき、日本型資本主義と日本型経営の新たな再生が始まるだろう。 
働くことの意味、企業というものの意味を、深く考えさせてくれる。