日本の多くの企業は米国的な経営手法を模倣し、グローバル経営として信奉してきた。 

利益、株価、株主至上主義の経営は、その最たるものである。 

これからは、モノ、カネ偏重の比較競争社会から、ヒトを中心としたひとを活かす社会へ軸足が移る。 

企業経営においても、ヒトを中心とした経営への進化が求められる。 

ひとをいかに効率よく使うか、いかに動機付けしてやる気を起こさせるかなどの議論は、売上を伸ばし、利益を確保するための手段としてヒトをとらえたアプローチである。 

社員一人ひとりの想いを大切にし、仕事のやりがい、働く喜びをみんなで共有し、人生を活き活きと表現できる仕事の舞台(ステージ)の整備に、経営として取り組むことが重要になる。 


経営の本質とは、喜びの循環をマネジメントすることにある。 

一人ひとりが仕事を通して得られた達成感、満足感は、個人やグループにとどまることなく、企業という集団の喜びにつながっていく。 
そして、お客さまの喜びに、社会の喜びにつながり、結果として一人ひとりの喜びに還ってくる。 


さらに、企業の価値観は量による成長前提から、お客様へ提供する価値のシンプル化、本質の進化へと移行する。 

そもそも、一人ひとりの個別の取り組みでは解決できない社会の課題に対峙したとき、集団[組織]で課題解決に取り組み続けるために生まれたのが、企業なのです。 

企業は売上を伸ばすため、利益を増やすために存在しているわけではない、売上、利益は活動を継続するための手段であり、企業が存在する目的はひとが人として活き活きと生活できる環境を、シンプルな価値として提供し、整備することにある。 


多くのひとが部分最適をシグマして全体最適を目指すことの限界に気付き始めたいま、企業経営者がこの金融危機、経済危機の向こうにいかなる社会の姿を描き、新たな価値ある一歩をどの様に踏み出すのか、企業存続の是非が問われている。