「ヘンプ」「アサ」「大麻」「マリファナ」は、同じ植物を表わしています。 
いま、ヘンプは石油と森林に替わる可能性を秘めた農作物として、また、様々な生活習慣病を改善する新しい健康食品として世界中で注目されています。 

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ヘンプは世界各地で栽培でき、110日という短期間でまっすぐに2~4mに成長する一年草です。 
害虫や雑草にも強いため、土地や水を汚染する農薬と化学肥料をたくさん必要としません。農薬の空中散布なしでは栽培が難しい綿花(コットン)と比べるととても環境にやさしい作物です。 
その作物は、今や衣服だけでなく、住宅用の建築素材、土に戻るプラスチック、紙、化粧品の原料などに使われはじめています。 

さらに麻の実(ヘンプの種子)は、畑の肉といわれる大豆に次いでタンパク質が多く、必須脂肪酸やビタミンがバランスよく含まれています。そのため、心筋梗塞やアレルギー疾患などを予防・改善する食べ物として見直されています。 
ヘンプからできる商品は、およそ25,000種類にもなるといわれています。 

ヨーロッパ諸国やカナダでは、第二次世界大戦後から約50年間ヘンプの栽培が禁止されていました。1990年代に入り環境にやさしくて利用価値の高いことが評価されると、栽培が解禁されるようになりました。 
それに伴ってヘンプの研究と商品化が急速な勢いで進んでいます。ヘンプを推進する国々では、農業活性化、地域振興、新しいマーケットの拡大、雇用対策に大きく貢献できる1つの産業(=ヘンプ産業)として捉えているようです。 

一方、日本では、ヘンプ(大麻)から作った衣服を着て、麻の実を食べていたことが縄文時代の遺跡から発見されています。 
ヘンプは、戦前までは、繊維を衣服や縄に、種を食料や燃料に、茎は建材に、そして葉や根は薬用に利用してきました。今でも、七味唐辛子の一味、花火の火薬、神社の鈴縄など意外と気づかないところに使われています。 

また、「麻衣」「麻美」「麻里」など名前に麻という文字をよく使います。これには麻のように素直ですくすくと丈夫に育ってほしいという親の願いがこめられているそうです。 

ところが、第二次世界大戦後にGHQ、大麻取締法の影響によって、「麻薬」というイメージを植えつけられてしまいました。 


<ヘンプ(麻)の10大特徴> 

1)再生可能な資源  
  アサ科の1年草であるヘンプは、有限な化石資源と異なり毎年再生産が 
  できる 

2)成長が早い 
  昔から100日草と呼ばれ、3ヶ月で約3メートルにまで成長する 

3)最も古い栽培植物 
  栽培植物としての起源は最も古く日本でも縄文時代の遺跡から繊維と 
  種子が出土 

4)農薬不使用 
  ヘンプは病害虫に強い作物であり、殺虫剤、除草剤などの農薬は使用 
  しません 

5)世界中で栽培可能 
  沙漠、氷雪原、ツンドラ気候と湿地以外では、痩せた土地・半乾燥地 
  でも栽培可能 

6)様々な生活用品を生み出す 
  繊維から衣類、縄、紐、紙ができ、繊維をとった後の麻幹(オガラ) 
  から建材、炭、プラスチック副原料、燃料、動物用敷藁、 
  種子から食品、化粧品、塗料、潤滑油、葉から肥料、飼料、 
  花から医薬品と25000種類の生活用品ができる植物  

7)工業原料としての実績 
  リーバイスのジーンズ、メルセデスベンツ等の自動車内装材、ユーロ 
  紙幣、ザ・ボディショップのボディケア用品、EUでの自然素材断熱 
  材など天然繊維の工業利用のノウハウが最も蓄積された植物   

8)地産地消のバイオマス 
  将来、日本で栽培、加工、製品化できる資源作物として期待される 

9)バイオ・リファイナリーができる模範的植物 
  麻から繊維・麻幹・種子をとり、様々な加工によって無駄なく使え、 
  持続可能な安定供給ができ、技術が進めば石油に変わる植物由来の 
  工業用基礎原料になる 

10)日本の伝統文化を支える素材 
  神社の鈴縄、注連縄、御幣、下駄の鼻緒、花火の火薬、凧糸、弓弦、 
  相撲の化粧回し、漆喰原料の麻すさ、茅葺屋根材、麻織物、七味唐辛 
  子の一味など今でも使われている 


*大麻ビジネスは儲かるか―米2州では嗜好品としても合法化