人は夢という具体的なイメージを持つと強くなります。その夢に向かって自分が何をすればいいか、この先どう生きていけばいいかがはっきりするからです。でもどうやって見つけたらいいか分からない、その点で悩んでいる人もいるでしょう。確かに「夢の見つけ方」などという方法はこの世に存在しません。 

 ただし、見つける可能性を高めることはできます。それは、思いついたことはなんでもやってみること。この本の最初でも言いましたが、何か興味が引かれることがあったら、とりあえずトライしてみることです。人には誰にでも、関心を引かれるものがあるはずです。ほんの小さな関心でもかまいません。「やってみたいな」と思ったらやってみる。結果、自分の思ったとおりにいかないことも多々あります。 

 でも上手くいかなかったからといって、そのトライが無駄骨だったかというと、決してそんなことはありません。そうしてトライを続けていれば、いつかどこかで「これだ!」と思う瞬間に出会える・・・かもしれません。絶対とは言い切れませんが、何もせずにいるより、出会える確率は格段に増します。 

 もし、関心を引かれる対象があるのに、何もしないでいたら。失敗はしないかもしれませんが、後で「やっておけばよかったかな」と後悔するかもしれない。でも、後悔したときにはもう遅い、ということになりかねません。一方で、積極的に関心事に働きかけて、「なんか自分が思っていたのと違うな。やってみて失敗だったな」ということになったら。残念ながら諦めることになります。 

 でも「それは自分には合わなかった」という結果は出ます。何もしていなかったら、その自分の関心が、予感が、ハズレかどうかも分からないのです。それでいつまでも割り切れない気持ちを引きずっているのであれば、きっちり結果を出して、合わなかったら次へ向かう。そのほうがスッキリと物事に臨めます。少なくとも私はそう考えて生きてきました。 

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 夢を手繰り寄せようとすれば、いつでも一生懸命になれます。決して無理をしているのではなく、自然と一生懸命になれるのです。すると毎日毎日が、その時その時が、とても充実したものとして感じられるようになります。私は以前よく「年なんかとりたくない! ヤダヤダ」と言っていましたが、今は年を重ねていくことが嬉しいといったら変ですけど、どんどん充実していっている気がします。 

 サッカーにしても、年々視野が広がっていったり、次のプレーの予測が的確になったり、すべきことの判断が正確になっている、と感じます。すると、またサッカーがすごく楽しくなる。楽しいからまた調子に乗っていけるし、頑張れる。今は「次はどんな楽しみに出会えるんだろう」とワクワクしています。そのような気持ちになれることも含めて、ここ数年、28歳、29歳・・・と毎年本当に楽しかった、と思える1年を過ごしています。心の底から本当にそう感じられることって、そうそうあることではないと思うんです。だったら1回しかない澤穂希の人生を、思い切り楽しんじゃおう。今はそう思っています。 

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『直伝 澤穂希』より