あちこち旅をしてまわっても、自分から逃げることはできない  ヘミングウェイ 

失恋、失業、絶望、鬱。

旅のきっかけは必ずしも明るいものとは限らない。なかには、「自分探し」と言って旅に出る人もいるが、それは正しい表現なのだろうか。

旅に出て、新しいものに触れ合うことは、非常に刺激的でたくさんのことに気付くだろう。

しかし、それだけで自分が大きくなれたと思い込むのは少々危険である。
アメリカに行っただけでバスケは上手くならないし、ブラジルに行ったからといってサンバが踊れるようになるわけではない。

大切なのは、あちこち旅をした後に、その経験を自分の中に落とし込むことだ。
それは決して難しいことではない。

心の中に必ずいる小さな自分と喫茶店で雑談するくらいの気持ちで対話してみるだけだ。

旅で「自分を探す」のではない、「自分と会話するきっかけ」を探すのだ。

どんなにもがいても自分から逃げることはできない。

嫌いな自分でも、逃げるのをやめて、立ち止まって話を聞いてみよう。