◇Amazon EchoとAlexa       斎藤昌義(ネットコマース株式会社)

音声認識AI搭載スピーカー「Amazon Echo」と「Alexa」の投入で、ショッピング、クラウドに続き、スマートホーム市場を狙うAmazon。
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米Amazonが「Echo」というネット接続機能付きスピーカー端末を米国で発売しています。2014年の発売以来、数百万台も販売するベストセラー商品になっています。

Amazon Echoには「Alexa」という音声認識システムが搭載され、話し掛けると音声を認識し、指示された仕事をこなしてくれます。例えば「(商品名)を2つ注文して」といえば、Amazonのショッピングサイトに注文できてしまいます。連携する機器があれば、「照明を消して」や「エアコンの温度を1度上げて」と話しかければ照明や空調を制御してくれます。「ガレージから車を出しておいて」と話しかけると、ガレージの扉が開いて自動運転車が出てくるというデモ映像も公開されています。

さらに、外部サービスとも連携し、例えば「銀行の残高を教えて」といえば、自分の銀行口座を調べて答えてくれます。また配車サービスにつなぎ、「午後3時に車を呼んで」というだけで自動車の手配をしてくれます。「ピザの注文」や「音楽配信サービスの音楽再生」「ホテルの予約」など、さまざまサービスとの連携も実現しています。

AmazonはこのAlexaと連係させるためのプログラム「Skill」開発するためのツールセットを公開し、連携サービスの拡充を図っており、その数は既に数千種類に達しています。

Alexaを使えば、自然な対話で操作ができるようになり、キーボードや画面タッチなどの煩わしい操作は必要ありません。その結果、Alexaで、誰もが気楽にいつでも機械の操作やインターネットサービスを使えるようになります。高齢者や子どもなども含めた誰もが簡単に機械やサービスを使えるようになることから、利用者の裾野が広がっていきます。こんなAlexaを使ってAmazonは「生活サービスOS」の地位を手中に収めようとしているのです。

OSとは、難しい機械やソフトウェアの操作を使いやすいインタフェースで覆い隠し、アプリケーションを実行させるはためのプラットフォームです。Alexaは、日常生活に必要なさまざまな機械やサービスを利用するための面倒な操作を、音声という使いやすいインタフェースで覆い隠し、それらを利用するためのプラットフォームになろうとしているのです。

WindowsがコンピュータOSの覇権を握ったように、Amazonは「生活サービスOS」で覇権を握ることで、自らのビジネスを有利に展開しようというわけです。同様のアプローチをGoogleが「Google Home」で行っており、両者の覇権争いの行方に注目が集まっています。


Amazon Go

Amazon Goは食料品を主に扱うレジのないコンビニエンスストアだ。入店時にスマホアプリを使ってチェックインし、店内で商品をバッグに入れて、そのまま店を出たら、自動的に購入した商品の料金がAmazonアカウントに請求される。レジの行列、支払いや袋詰めの手間のないコンビニである。店内には自動運転カーに採用されているのと同じカメラやセンサーが設置されており、買い物客の動きを正確にトラッキングしている。買い物客が棚から商品を手に取ると自動的に仮想的なショッピングカートに商品が入り、棚に戻したらカートから外される。

レジが混雑して不快ならレジ係をさらに増やすというのがトランプ氏がアピールする「米国人の手に仕事を取り戻す」だ。現実味に欠けていても「ラストベルト(錆び付いた工業地帯)」を復興させるというトランプ氏の言葉は人々の心をつかみやすい。その方向にどんどん進んでしまうと、AIやロボットに人々の仕事が奪われるという単純な恐れに人々の心が奪われかねない。

だからこそ、AIやロボットに仕事が奪われるという想像を覆すような、可能性のある未来を具体的(Amazon Go)に示すことに価値がある。食料品スーパーからレジが無くなるからといって、食料品スーパーの仕事がオートメーションに奪われるとは限らない。

食料品スーパーのレジは待たされることばかりなので、買い物客としては、その手間を省けるなら省いて欲しいと思う。代わりに商品管理のスタッフが充実したら、棚が空いた時にちゃんと商品が補充され、誤った場所に戻された商品がそのまま放置されるということもなくなるだろう。

今でも私たちの周りには、そうしたお客さんの目にふれない部分に投資して買い物体験を向上させている店があれば、逆に徹底してコストカットに励む店がある。どちらが正しいということではない。オートメーションの活用についても同じことが言える。レジスタッフを不要にする技術を単純に人件費の削減に充てる店があるだろうし、オートメーションがより便利にしてくれる部分はオートメーションに任せて、同時に人でなければ向上できない部分に人的リソースを集中させる店もあるだろう。

Amazon Goがどちらを目指しているかは明らかだ。後者である。店に入って商品を手にし、そのまま出られる便利さがAmazon Goの特徴だが、注目すべきなのは支払い以外の部分も含めた”買い物体験”だ。不快なレジを不要にするオートメーションと共に、商品管理、品揃え、中食メニュー、トラブル対応など、人が関わる部分で既存の食料品スーパーよりも人の力をどのように引き出せるか、それによって新しいコンビニを実現できるかがAmazon Goの評価ポイントになる。

本業の通販もAmazonGoも万引きによる損耗がゼロだということだ。日本のリアル書店における万引き損耗率は2%。昨年の紀伊國屋書店の営業利益率は0.6%。対するアマゾンの万引き損耗率はゼロなのだ。ジュンク堂書店が顔認識システムを導入したのはまったく正しいわけだ。

いっぽうコンビニの万引き損耗率も1.5%程度。昨年のセブンイレブンの営業利益率は5.8%。対するアマゾンの万引き損耗率は、くりかえしだがゼロなのだ。AmazonGoがスマホを使うこなす限られたお客に対して、限られた品数の商品だけを販売したとしても(それをみて、きっと旧メディアは「なんと素人な」と嘆息するだろう)、しかし、その分だけコンビニの売上を侵食するのだ。既存チェーンがNB商品売上の10%も取られたら決算はただ事ではすまなくなる。


ピッキングロボット                                  
オンラインショップで購入した商品は、今や最短ではその日のうちに自宅に届くことさえある。こういったスピード対応が可能になった背景には、運送行程の効率化はもちろん、倉庫内に無数にある棚の中から素早く商品を探し出す、ピッキング作業の効率化が進歩したことが挙げられる。そこで重要視され始めているのがロボットである。それを如実に表しているのが、米Amazon.com(以下、アマゾン)が開催する「Amazon Picking Challenge」(APC)。ロボティクス関連の企業や研究機関などに、ピッキング用ロボット開発を競わせる催しだ。

ピッキングとは、さまざまなアイテムを取り出して移動させる作業である。製造業では既にほとんどの現場でピッキングロボットが活躍している。自動車製造工場などにおいて、ロボットがさまざまな部品をユニットから取り出して車体に組み付けている映像は、多くの人に見覚えがあるだろう。ほかにも、食品、薬品、化粧品、電気・電子・機械部品の組立・整列など、様々な用途に幅広く使用できる高速ピッキングロボットが製品化されている。
ただ、これらのロボットは、場所が固定的で、しかも作業工程やピッキングするものがパターン化されているケースが多い。
これに対し流通倉庫で行われるピッキング作業は、作業が複雑である。棚から商品を探し出すだけでも、棚に積んである商品の大きさや形、重さ、硬さなどは千差万別で、対象によって動作を変える必要がある。また、日々新しい商品が入荷し、空いている棚に積まれるため、取り出す場所もまちまち。さらにいえば、きれいに整列して保管されているとも限らない。
広大な倉庫から的確に対象とする商品を探し出し、それを一つずつ取り出す作業は、自動化が難しい。

こうしたことから現状では、倉庫などの場所では主に人によるピッキング作業を支援するところでロボットが活躍している。その一例が、アマゾンが2012年に7億7500万ドルで買収したKiva Systems(現在はAmazon Robotics傘下)の自動搬送ロボットである。現在は、アマゾンの13の倉庫で約3万台が稼働していると言われている。アマゾンによると、この搬送ロボットを工程に組み入れた場合、商品のピックアップから梱包、出荷までの作業をすべて人の力で行う場合に比べ、作業時間を4分の1ほどに短縮させられる。これにより1倉庫当たり約25億円のコストセーブに成功したという。
アマゾンの多くの倉庫では通常、商品が入荷すると、1つずつ商品コードを読み取って、空いている棚に収納していく。商品を出荷する際は、作業員がポータブル端末を使って、該当するコードの商品がどの棚に収納されたのかを探し出し、実際に取りに行く。
これに対し前述の13工場では工程が異なり、作業員は歩きまわる必要はない。商品を収納した棚が、作業員のいる場所まで近づいてくるからだ。この棚を運ぶのが搬送ロボットの役割である。ロボットはコントロールセンターから指令を受けると、入荷した商品を収納するべき棚、あるいは出荷する商品が収納されている棚の場所まで移動し、下に潜り込んで棚自体を持ち上げ、担当作業員のいる所まで運んでくる。とはいえ、多数の棚が何列にも並んでいるため、作業員の場所まで移動させるには、パズルのように棚を動かす必要がある(写真1下)。その後の梱包などの作業については人の手で行う必要があるが、棚を探して広大な倉庫の中を走り回ったり、大きな商品を抱えて運ぶ必要がなくなるため、作業効率が大きく向上する。

大幅な効率化に成功したアマゾンだが、Amazon Roboticsのロボットが行える作業は棚の移動だけであり、まだまだ人手で行わなければならない作業は多い(写真2)。さらなる効率化を進めるには、商品を棚に収納する作業や、収納した商品を棚から取り出すピッキング、さらには商品の梱包作業までもロボットに行わせたい。

そこで、アマゾンはロボット開発コンテスト「Amazon Picking Challenge(APC)」を開催するようになった。より効率的に作業できるロボットの開発を奨励し、いずれは自社でもそのロボットを採用することで、商品出荷作業のさらなる効率化を実現しようとしている。
 

◇アマゾンはインフラ企業に化けるかもしれない

ネット通販最大手のアマゾン・ドット・コム(AMZN)が流通業界だけでなく輸送業界にまで革命を起こそうとしています。同社は5日、自社の貨物輸送用に運用しているボーイング767型機を、現在の11機から今後二年程度で40機まで増やすと発表しました。
機体は米貨物航空機リース大手のアトラス・エアー・ワールドワイド・ホールディングスと、エアー・トランスポート・サービス・グループの二社からリースを受けるとのこと。



AMZNは飛行機を運用することに対して、「商戦ピーク時の物流量の急増に対応するため」と説明していますが、トラック、船、飛行機、(鉄道)を自前で運用することで、将来的に他社にも物流サービスを提供し始めるのではと予想されています。

同社はネット通販用に開発したクラウド・サービスAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)の社外販売を始め、主力事業に育てたことから、自社のネット通販用に構築した物流サービスをAES(アマゾン・エキスプレス・サービス)として他社にサービスとして提供し、主力事業に育てることもできるかもしれません。
そうであるならば、AMZNは単なるEコマース企業ではなく、インフラ企業として認識を改めなければならないのかもしれません。


アマゾン、IoTで「何でもボタン」 

米アマゾン・ドット・コムはなんと、クラウドサービス「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」の管理や運用を提供する「AWS IoT(インターネット・オブ・シングス)」と連動できる「ダッシュボタン」を発売した。この新商品はアマゾンのサイトで19.95ドルで購入できる。


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同社は「『AWS IoTボタン』はダッシュボタンをベースにしたプログラム制御できるボタン」と説明。「このシンプルなWi-Fi端末は簡単に設定でき、開発者が特定の端末向けのコードを書くことなく『AWS IoT』や、(任意のプログラムを実行する)『AWS Lambda』、(データベースの)『Amazon DynamoDB』、(プッシュ型で通知を送る)『Amazon SNS』といった多くのAWS(のサービスについて)利用を開始できるように設計されている」と強調した。

これは何にでも設定できる。玄関のドアや照明のスイッチだけでなく、ツイッターなどにも接続可能だ。目覚めてボタンを押せば「起きたよ」とツイートさせることもできるかもしれない。どうだろう。とにかく、「ペーパータオルを1パック送るなど、ボタンを押してアマゾンに自分の望むことをさせる」というダッシュのコンセプトを理解し、このボタンで望み通りのことをすればよいのだ。

これは少なくとも、クラウドサービス市場をリードするAWSが昨年導入したIoTサービスの型破りなマーケティング作戦だ。米マイクロソフトはサードパーティーと提携し、クラウドサービス「アジュール」との接続を設定するキットを販売している。一方、このボタンにはアマゾンの奇抜なハードウエア技術が活用されている。



Amazonとの競い合い、特にAWSと争うことは厳しいものだ。このクラウドコンピューティングの巨人は目まぐるしいペースでイノベーションを送り出し続けており、第二位と収入において何十億ドルもの差をつけている。そしてこの企業にとって、失敗は日常茶飯事だ。

だがAmazonのCEO ジェフ・ベゾスに言わせれば、他社はまだまだ失敗が足りていないとのことだ。
 
彼はアマゾンの株主に向けた年次書簡において、「Amazonは世界一の失敗をする企業である」と言い放ち、失敗を糧として、去年はクラウドで73億ドルの収入を上げる成功に至ったその社風を誇った。またAmazonは来年の収入を約100億ドルと予測している。

Amazon - 世界一の失敗をする企業

Amazonには他の企業と似たようなところもあるが、他とは明らかに異なるところもある。
それの最たるものとは、Bezosによれば失敗を尊ぶという点だ。

「我々が他より際立っているところは失敗についてだと思う。我々は世界一失敗している企業であるし、実例を挙げるとキリがない。失敗と発明は切っても切り離せないものだ。
発明の為には実験が必要だが、何が正解かやる前から分かっているようなものなど実験とは言わない。大企業の多くは発明をありがたがるが、それを達成するために経験しなければならない一連の失敗で苦しみたいとは考えない。」

失敗を受け入れ、時には喜ぶという心構えは重要なものだと彼は続ける。これらの失敗は大きな見返りにつながる可能性があるからだ。

「大きな見返りとはしばしば従来の知恵の逆を行く事から得られるが、従来の知恵というものはたいてい正しいものだ。だがもし10%の確率で100倍の見返りがあるのだとすれば、10回のうち9回が外れるとしても、その博打に賭けてみるべきだ。」

「フェンス越えの打球を狙いに行けばストライクを取られる率も上がる事は誰でも知っている。それでも何本かのホームランは出るわけだ。だが野球とビジネスの違うところは、野球における見返りはある程度のところで頭打ちになる点だ。どんなに球を上手に打ち返したとしても、それで得られる得点は4点どまり。だがビジネスでは登板の度に毎回1000点を得る事も可能になる。この事があるから前に進む勇気を持つことは重要なのだ。そして大勝ちするプレイヤーは実験的な行為に多くをつぎ込む」

というわけでAWSは様々な実験をより早いペースで行っている。2015年にはAWSにS3やEC2、Autoraなどの70以上のクラウドサービスに722もの特徴的な機能が追加された。
2014年と比べて40%の伸びだ。

だが彼らは何の考えも無く失敗しようとしているわけではない。

細分化するAmazon

ジェフ・ベゾスによれば、「AWSで作られるものの90-95%は顧客の要求によるものだ」という。重要な点は、顧客の利益の為ににそれらを作るため、Amazonはイノベーションを細分化できる形で行っている点だ。

「Amazonは一つの事だけに携わる小さなチームの集まりで出来ており、その為に急速イノベーションが可能になっている」とBezosは述べている。これらのチームは互いのコミュニケーションを数年前から強制されている「公開されたAPI」を通じて行っている。

 ー全てのチームはサービスインターフェイスを通じてその機能やデータを公開しなければならない

 -チームのコミュニケーションはインターフェイスを通じて行われる

 -インターフェイスを通じたもの以外のあらゆるプロセス間通信は許可されない。
  直接的にリンクする事、他のチームのデータを直接見ること、共有メモリモデルによる
  コミュニケーション、バックドアその他の手段すべてに対してこれは適用される。
  唯一許可されるコミュニケーションは、ネットワーク越しにインターフェイスを叩くことのみである。

 -どの様なテクノロジーを使っていたとしてもこのルールは変わらない。

 -どの様なサービスインターフェイスも例外なく公開されることを前提に根底から
  デザインされなければならない。つまりチームはインターフェイスを開発者に
  公開できるようプラン、設計を行わなければならない。例外は認められない。

そしてこれらを選択肢の1つだと考えているAmazonの従業員たちに対し、ベゾスはこう締めくくっている。
「これを守れない社員はクビにする。では今日もいい日を」



ベゾスは何を作るのか

AWSやKindleはプレスで取り上げられることが多いが、Amazonの顧客に対するより興味深い取り組みの一つにIoT分野がある。Amazonは開発者サイド、消費者サイドの両方からこれに取り組んでいる。

開発者サイドからの取り組みとしてはAmazonが去年の10月に発表したAWS IoTPlatformが挙げられる。これは「管理されたプラットフォームであり、コネクテッドデバイス同士を安全かつ簡単に接続し、クラウドアプリケーションやその他のデバイスと連
動できるもの」との事だ。AWSとの親和性も自然と良く、開発者はインフラを利用して簡単にIoTアプリケーションを作ることが出来る方法を得ることになる。

Amazonはまた音声操作が可能で将来のホームオートメーションの中心になるであろう、Amazon Echoについても開発者たちが興味を持ちそうなものをリリースしている。Echo自体はコンシューマ向けだが、開発者たちにも門戸を開いており、これを使ったサービス(例えばDominoピザに注文を入れるなど)の構築し、プラットフォームとしてのEchoの拡張が可能となる

私がEchoを持っていた時、Amazonとそれを取り巻く開発者のエコシステムによってサービスがだんだん改善されていくのを目の当たりにした。AmazonはEchoを鳴り物入りで送り出したというわけでもなく、私自身、身内の家でEchoが音声による指示で買い物リストを更新しているのを見るまでこれのことを知らなかった。Echoは瞬く間に、家族生活の中でのささやかながらも大事な一部となった。

無論、Amazonがまた、あの呪われてたとしか思えないようなFire Phoneの様なものを出す可能性はある。だがそこがポイントだ。Amazonは大なり小なり様々な賭けに出ることに前向きであり、失敗を悲劇と受け止めない。そうするなかで、Amazonは小売業、クラウド、デバイスビジネスを大きく発展させてきたのだ。数ある失敗があったにも関わらず、ではない。数ある失敗があったからこその話だ。

 


アマゾンは史上最速で売上10兆円へに到達した会社

今年、アマゾンは史上最速で年商1000億ドル(10兆円)企業になりました。また、今年、アマゾンウェブサービス(AWS)も年商100億ドル(1兆円)を達成しましたが、その速度はアマゾンが前述の偉業を達成したよりも速いものでした。
とあります。AWSがECよりも速いペースで$10b(約1兆円)の売上に達していたとは知りませんでした...

ECもAWSもは小さな事業としてはじまり、大きな企業に買収に依存することなく、オーガニックに急成長しました。一見、この2つの事業は、1つはB2C、もう一つはB2Bなので、全く似ていないように思えます。

これらの2つのビジネスには関連性があります。社内では、この2つのビジネスはそれほど違いません。両社は、数少ない重要なビジネスの原理を重視し、それらに対する強い信念を持って行動するという独特の組織文化を共有しています。それは、競合社に対してよりも顧客に対する強迫観念、発明や開拓への情熱、失敗を暇ない態度、長期的な計画を立てる忍耐力、優れた経営に対する専門家としての誇りです。そういった見方をすれば、AWSとECは実際には大変似ているのです。
要は、全く違うECとAWSのビジネスが、実は非常に似てもいる、ということです。
そして、以下のように続きます。

昨年、多くの目標を達成しました。3つの重点フォーカスエリアである - プライム、マーケットプレイス、AWSを成長および国際化させるために実施した活動の要点の幾つかを共有したいと思います。
アマゾンの3つのフォーカスエリアは、プライム、マーケットプレイス、AWSの3つだと。以下では、それぞれ、アマゾンがどのようにこれらのサービスを進化させて来たのか、その背景にある思想を探ってみましょう。


重点その1: プライム

プライムで提供する価値を上げて、プライム会員にならないことがバカバカしくなるように感じるようにしたいと思っています。
非常にアマゾンらしい「顧客重視」のメッセージだと思います。

現時点では、プライム対象商品が(アメリカで)3000万商品を超え、世界中で35の都市で利用可能で、音楽・写真ストレージ・電子書籍レンタル・動画配信も提供されています。

プライムは、会員に愛される「食べ放題」のような物理的なサービスとデジタルサービスを融合したハイブリッドサービスになりました。昨年、会員数は51%増加し - その内米国内の会員数は47%成長し、海外ではもっと速く成長しています - 現在世界中の会員数は数1000万人になりました。株主であるあなたが既にプライム会員である可能性は高いと思いますが、まだ会員でなければ 今すぐに、プライム会員になってください。
上述したように「プライム会員にならないことがバカバカしくなる」という洗脳に近いかたちで、まだプライム会員でない株主は必ずプライム会員になるようにという「宣伝」まで入っていました。
アマゾンから見ると、プライム会員になったユーザーは、一般ユーザーよりも、よりたくさん購入してくれるお客さんになる、ということがデータで分かっているようです。

こちらのデータでは、過去90日間に、プライム会員の39%が$200(2万円)以上の買い物をしたのに対し、一般会員の26%は$25(2500円)以下だったというデータもあります。


重点その2: マーケットプレイス

2つ目の重点項目として上げられているのが「マーケットプレイス」です。アマゾンというと「直販EC」のイメージがありますが、特にアメリカでは、かなり商品がサードパーティの店舗によって出品されています。
このマーケットプレイスに関して、レターでの記述を詳しく見てみます。

15年前にMarketplaceを始める前に、2回大きな挑戦をして2回とも失敗しました - AuctionsとzShopsです。ビジョンを変えること無く、失敗から学んだことを活かすことができ、現在、アマゾンで販売している商品の50%近くがサードパーティ出品者によるものです。マーケットプレイスはユニークな商品が追加されるので顧客の選択肢が広がり、売り主にとっても良いサービスで - アマゾンで年間$100k(1000万円)以上の売上がある出品者たちが70,000社以上いて、彼らは60万人以上の雇用を生み出しています。FBA (Fullfilment by Amazon)を使えば、出品者の在庫商品はプライム対応での販売が可能になるため - 商品が速く売れるようになり、会員にとってプライムの価値がもっと高まり、出品者はもっと多くの商品を売れるようになります。

大事だなぁと思うところを太字にしました。アマゾンと言えば、最初は「直販EC」として始まりました。マーケットプレイス型のECのサービスが現在ほどの規模になるまでには2つの大きな失敗をしている、とのことです。(知りませんでした。)そして、年間1000万円以上の出品者が7万社以上、というのは小さくない数字ですね。

そして、何よりも強烈なのが、サードパーティ出品者であっても、商品をアマゾンの倉庫にあずけて、在庫管理・配送を委託することで、サードパーティの商品もがアマゾンプライム対応商品に出来る、という点です。この在庫管理・配送を委託するサービスは「Fullfilment by Amazon(FBA)」と呼ばれます。
なぜこれが強力か、というと、ユーザー(特に、一回でもプライムの高速配送を経験してしまったユーザー)は、プライム以外の商品を買いたがらないからです。

プライムに加入した人のうち、78%の人が「プライムに加入したのは、高速配送が無料になるから」と回答しています。一旦経験すると、逆戻りできないユーザー体験なのだと思います。
さらに続きます。

今年は、Seller Fullfilled Primeという新しいプログラムを作りました。プライム並に速い配送サービスをコンスタントに提供できる出品者に限り、「Amazonプライム」対象商品とすることにしました。
要は、アマゾンの倉庫に商品を預けなくても、プライム並のサービスが自社で出来るなら「プライム対応商品」にしてあげます、ということです。
以上は物流の話ですが、物流以外に、金融サービスにも参入しました。

出店者の成長を助けるために、アマゾンレンディングプログラムも作りました。このプログラムを開始して以来、合計15億ドル(1500億円)の資金を、米国、英国、日本の中小企業に提供し、融資残高は4億ドル(400億円)にもなりました。


重点その3: AWS(クラウドビジネス)
そして、3つの重点エリアの最後がAWSです。

AWSを始めた当初、大胆で普通じゃない賭けをしていると言われました。「書籍の販売とどんな関係があるのですか?」と言いたかったのでしょう。当時の主な事業だった「書籍販売」にこだわり続けることもできましたが、そうしなくて良かったと思っています。でも書籍販売からAWSのビジネスに活かしていることはたくさんあります: 顧客志向、試行錯誤を繰り返す、ロングタームで考える、そしてオペレーションを重視する。
最初は、AWSを始めた頃に「本を売るのとクラウド事業は関係ないだろう」と批判されたことを棚に上げて、「背景にある会社の性質は同じなんだ」と説明しています。

多くの企業が顧客中心であると言っていますが、有言実行している企業は少ないのです。大抵の大きな技術系企業は、競合社中心に経営しています。他社がしていることを確認してから、急いで追いつこうとします。それに反して、AWSで構築している90から95%のサービスは、顧客からの要望を受けて構築されています。
続いて、アマゾンは競合なんかは気にせずに、顧客の方を向いて、顧客の声を聞いてきている、という話です。

価格に対するアマゾンのアプローチも顧客中心文化によるもので - これまで51回も価格を値下げしました。多くの場合、競合からのプレッシャーがなくても値下げしました。
確かに、AWS=値下げの印象が強いですが、これも「顧客第一主義」があるから出来ることだ、という話です。


Invention Machine(発明し続ける会社)

レターの最後に「Invention Machine(発明し続ける会社)」という項目があって、ジェフ・ベゾスCEOがアマゾンという会社をどんな会社にしていきたいか、ということを詳しく書いています。
これが非常に興味深かったので、少し翻訳を付けながら見ていきましょう。

アマゾンは、大企業でありながらも、Invention Machine(発明し続ける会社)であり続けたいと思っています。規模が大きいからこそできる高品質な顧客サービスと、スタートアップのような動きの速さ、敏捷性、リスクを厭わない起業家精神の両方を共存させたいと思っています。
「大きくても機動性がある」会社にしたい、ということですね。確かにそれは理想的に聞こえます。

アマゾンにそんなことができるでしょうか? 私はできると思います。良いスタートを切っています。その目標を可能にする企業文化があると思います。簡単ではないことは分かっています。実際に、業績の良い大企業でさえも引っかかってしまう巧みな罠が仕掛けれらているので、その罠にかからないようにする方法を、企業として学ばなければなりません。大企業にとっての一つの共通する落とし穴は - スピードを遅くし、新しいことを始めにくくする落とし穴ですが - 「汎用型」の意思決定です。
この最後の部分で「汎用型」“one-size-fits-all”の意思決定が良くない、と言っています。詳しくは続きます。

意思決定の中には、偶発的で元に戻せない、または、ほぼ元に戻せないものもあります。一方通行のドアのようなものです。そのため、これらの意思決定は熟考して、慎重に、時間をかけて、周囲の忠告を考慮した上で、強い意志を持って下さなければなりません。やってみてその結果に納得できなくても、後戻りすることはできません。これらをタイプ1の決断と呼びます。しかし、大抵の決断はそうではありません。後から変更可能で、元に戻せるもので、二方向のドアがついています。最適とは言えないタイプ2の決断を下しても、その結果にいつまでも悩まされなくても済みます。ドアをまた開けて、前の場所に戻ることができるのです。タイプ2の決断は、決断力に優れた個人または小グループによって素早く下すことができ、そうするべきです。
意思決定には2種類あって、絶対に後戻りができないものと、そうでもないものがあり、後者に関しては、現場に権限委任して、スピード感を持って決めて(失敗したらまたやり直せば)良いということです。

組織が大きくなると、多くのタイプ2の決断事項も含めて、大抵の決断に厳しいタイプ1の意思決定過程を選ぶ傾向にあるようです。それによって最終的には、進行が遅くなり、思慮に欠けたリスク回避をし、十分実験できずに、発明ができなくなります。これまではそういったことが起こらないように注意して来ましたが、今後も同じように注意していきたいと思っています。
本当に後戻りができない意思決定というのは、数としてはさほど多くないのだけど、会社が大きくなると、些細な(というと失礼かもしれませんが)意思決定でさえも、二度と後戻りができない意思決定と同じように、慎重に議論されるようになり、それこそが「大企業病」のもとなので、それを避けて行きたいということです。

「アマゾンパントリー」に勝機 コンビニよりNB充実 
 

9月15日から始まった「Amazonパントリー」。日用品や食料品などスーパーで買うような商品を1つから宅配してもらえるサービスだ。年会費を払ったアマゾンのプライム会員だけが利用できる。送料は1箱当たり290円。

52×28×36センチメートルの専用段ボールの容量または12キログラムまで詰められる。買い物途中、現在カゴに入っている商品で容量または重量の何%なのかがリアルタイムで表示される。

このAmazonパントリーを後押しするのは、コンビニの隆盛とコンビニのPB率の高まりかもしれない。パントリーでは買いたいけど買えなかったNB商品が、いつでも簡単に買える。

「欲しいものを買いたい」という消費者のシンプルな気持ちが、ともすれば見落とされてはないだろうか。そういう盲点をついて、Amazonパントリーは大ヒットサービスとなる予感がする。

生鮮食料品の即時配達「Amazon Fresh」

思い切って、「Amazon Fresh」の会員になることにした。
Amazon Freshは、米Amazon.comが提供する生鮮食料品の即日配達サービスだ。朝に注文すれば、野菜、果物、肉、魚、洗剤などの日用品がその日のうちに届く。売れ筋ならば、書籍なども一緒に届けてもらうことも可能だ。

 思い切って、と言ったのは、年会費が何と299ドルもするからである。「Amazon Prime」の既存会員であれば、Amazon Primeの年会費である99ドル分がAmazon Freshの年会費から値引きされるが、それでも200ドルだ。とても高い。200ドルで一体キャベツがいくつ買えるかなどと計算すると、とんでもなく大きな出費だ。

 だが、少々事情を説明すると、我が家は買い物をするには非常に不便な場所にある。近くに好ましいスーパーマーケットがなく、本格的に食料品を買い出しに行こうとすれば車で20分以上も運転しなければならない。出かけたついでに買いに行こうとか、仕事の帰りに寄ろうとか、いつもそんなロジスティクスばかり考えている。うっかり買い物に行くのが夕方になったりすると、通勤ラッシュに飲み込まれ、恐ろしいほどの時間がかかる。

 かねてより、こういう環境にいるのならば配達をしてもらう方が利口なのではないかと思っていたのだが、折しもAmazon Freshが最近になって、我が家のある地域も配達対象に加えてくれたのである。30日間は無料で試せるが、試行期間が満了になったので、正式に会員になった。

必要なものはほとんどそろう

 さて、その使い心地だが、これが非常に良い。Amazon Freshはスタートした頃は品数も限られ、「これじゃあ、日常的には役に立たないなあ」と感じたものだが、あっという間に品数が充実した。肉類はステーキ肉などもある。魚は種類が限られているものの、生のマグロや白身魚がパックされている。野菜や果物にいたっては、普段食べるものはほとんどそろっていると言ってもいい。

もちろんスーパーであれこれと商品を見ながらショッピングするような楽しみはないが、必要な品はAmazon Freshで十分間に合う感じだ。それに加えてAmazon Freshでは、サンフランシスコ地元のレストランなどのテイクアウトも利用可能だ。テイクアウトは即日というわけにはいかず、前日に注文する必要があるのだが、お気に入りの日本料理をテイクアウトできるので、私にはうれしい。市内に出かけて車を駐車し、買い物をしてから、また運転して帰る手間を考えると、非常にありがたいものだ。

 配達料金は、50ドル以上の注文であれば無料になる。食品の値段が割高になっているのではないかという懐疑心で少々調べてみたが、若干高くなっている食品が一部あった程度。目くじらを立てるほどではない。

 それに到着したときの周到なパッケージには驚いた。

 Amazon Fresh特製の保冷箱の中に、食品が丁寧に入れられている。保冷箱は次回配達時に配達員が持ち帰る仕組みだ。

小さくスタートしたが、いよいよ配送センターも建設

 ことサンフランシスコ地域に限って言えば、Amazonは注意深くこのサービスを検証しながら拡大している様子がうかがえる。確かサンフランシスコ、シリコンバレーでのサービスは2013年末ごろから始まったように記憶しているが、最初は富裕層の住む地域、IT企業に務める若者の住む地域だけに配達を絞っていた。

 しかも配送センターは本格的なものを設けず、何とサンフランシスコの南にあるキャンドルスティック球場の駐車場の一角を借り、そこにどこかから食料を積んできた超大型トレーラーを駐車していたようだ。配達トラックは、そのトレーラーにドッキングするようなかたちで荷物を移し替えるという、奇妙なシステムでサービスをスタートさせたのである。

 今回会員になる際に、そのキャンドルスティック球場の駐車場を見に行ったのだが、球場自体が取り壊しになったため、トレーラーはもうなかった。配達員に聞いたところでは、現在はサンフランシスコ対岸のニューワークという町に配送センターがあって、そこからトラックが出発している。

 また近いうちにサンフランシスコのすぐそばに大型配送センターを建設して、そこからこの地域のサービスを行う予定だそうだ。配送センターを設けるとは、既にこの地域での手応えを感じているのだろう。

ドットコムバブル時代には挫折した生鮮食品配送

 Amazon Freshのサービスは、かつて1990年代末のドットコムバブル時に起業したWebvanという会社のサービスを彷彿とさせる。同社は、ものすごい設備投資をしてほぼ自動化された配送センターを建設して話題になった。だが、その当時は需要が追いつかずに、倒産。残念だったが、Webvanが配達する食品は非常に質が良く、包装も清潔感にあふれていたのを覚えている。Amazon Freshに共通した点だ。

 それから15年。今やこの地域では、レストラン並みの高級テイクアウトをインターネットで即日注文するのは普通になり、人々は生鮮食料品の配達にも抵抗がないように見受けられる。時代は進んだなあと感慨深い。

 それに、Webvanの経験も決して無駄にはなっていない。同社に関わった人物の一人がKiva Systemsという配送センターのロボット会社を創設したMick Mountz氏で、KivaはAmazonに7億7500万ドルで買収され、同社製のロボットは現在、全米のAmazonの配送センターで働いている。

 かつての「ちょっと早すぎたアイデア」が、今一度、注意深くよみがえっている。転んでも、いつかはまた立ち上がるシリコンバレーの強靭さの一例と見た。
 

未来の「お手伝いさん」 

未来のお手伝いさんはこんな感じか──。そう思わせてくれるのが、アマゾンの新製品「Echo(エコー)」である。

 エコーは、高さ23センチあまりのスピーカーだ。単なるスピーカーと思ったら大間違い。自然な言葉でやり取りできるため、家庭用ロボットといってもいいほどの機能を持つ。

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*エコーは家庭のWi-Fiに接続してクラウドサービスと連携する。スマートフォンでストリーミング受信した音楽の再生も、ブルートゥース接続でエコーに転送・再生できる。その指示も、音声でOKだ

部屋の片隅に置いておけば、高感度のマイクでこちらの声を聞き取ってくれ、音声でエコーに質問したり、指示したりできる。iPhoneのシリやアンドロイドの「OKグーグル」のスピーカー版といえば、わかりやすいだろう。

 購入は今のところ招待制。米アマゾンの会員登録が必要で、購入希望者としてアカウントを登録しておくと、購入可能になったときに通知される。アマゾンのプライム会員には149ドルで提供されている。

エコーには「アレクサ」という女性の名前が付けられており、「アレクサ」と呼びかけてから指示を出す。例えば、音楽だったら「アレクサ、○○(曲名)を再生して」と声をかけるだけ。すると、アレクサはクラウドの音楽サービスなどを検索して、曲を再生する。

 調べものなら「アレクサ、明日の天気は?」でOK。ウィキペディアの情報を調べてもらったり、「9.25インチは何センチ?」といった単位換算を頼んだりすることも可能。結果はアレクサが音声で教えてくれる。

 さらに、買い物リストや、To Doリストの項目を追加するといったこともやってくれる。思い付いたときに「小麦粉を買い物リストに入れておいて」とひと言アレクサに伝えればよい。

スマートホーム用のハブとしても機能する。対応する照明器具や家電製品などは、アレクサに伝えるだけで操作できる。今後も新たな機能が追加される見込みだ。

スマートフォンすら不要で、話しかけるだけで済む場面は格段に増える。未来のお手伝いさんロボットの音声機能だけがまずは実現したといえるのかもしれない。



AWSがアマゾンの好循環の原動力

Amazon Web Services(AWS)は収益性を向上させ続けているが、このことは、Amazonのすべての事業にとって恩恵となっている。

 Amazonが米国時間7月23日に行った業績報告は、クラウドコンピューティング業界にとっては考え得る最悪のニュースだったと言えるかもしれない。AWSは躍進を続け、同四半期に18億2000万ドルもの莫大な売上を上げた。これは前年同期比81%増の大躍進であり、営業利益は407%増(3億9100万ドル)にもなった。


 投資家はAmazonの9200万ドルの利益に沸き、これが18%の株価上昇につながった。この利益は、小売業界とクラウド業界の競合相手に懸念を抱かせたはずだ。

 Amazonは常に利益をゼロに抑えようとしており、Benedict Evans氏の説明によれば、「その成長し続ける営業キャッシュフローのプールを未来のために」、あるいは未来をつかむために費やしている。小売市場のシェアはわずか1%であり、グローバルIT市場ではおそらくそれ以下であることを考えれば、Amazonの前途にはまだまだ開拓すべき大きな市場が広がっている。

 しかし、増え続けるAWS事業の利益が同社のあらゆる事業の物理的なインフラの拡張を加速していくにつれ、Amazonは打ち破ることが難しい存在に見え始めてきた。

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利益ゼロの上に作られる未来の利益

 Appleの収益性の高さが魅力的なのは、誰が見ても議論の余地がないが、Amazonはまったく別のゲームに取り組んでいる。将来のAmazonは高い利益を生んでいるかもしれないが、現時点で同社は潜在的な利益をインフラの拡張に費やしている。

 Evans氏が説明するとおり、このAmazonの過剰に思えるほどのインフラへの投資は、恐るべき勢いで増え続けている。
 

 Evans氏が言うこの「Amazonの物理インフラ投資の途方もない増加」は、Amazonの小売事業を支えているが、同様にAWSも支えている。Amazonの事業は本質的に利益を上げられないのではないかという疑問を呈する人もいるが、それは正しい質問ではない。

 Evans氏は、「問うべきは、Amazonの事業は利益の出ないネズミ講なのではないかということではなく、Bezos氏が未来を捉えられるかどうかだ」と述べている。

 それに関連した質問に、果たしてAmazonにはこれだけのインフラへの投資を続けるだけの資金的余裕があるのか、というものがある。この質問に対する回答は、Amazonの最新の業績報告を見る限り、まったくの「イエス」であり、これはAWSのおかげだ。

 この四半期、AWSの営業利益率は21.4%だった。これはつまり、3億9100万ドルの利益にあたり、前期比47.5%増、前年同期比で407.8%増となる。これを全体から見てみると、Sejuti Banerjea氏が書いているとおり、「つまりこの部門は、売上では全体のうち8%しか占めていないにも関わらず、営業利益の36.4%を稼ぎ出していることになる」わけだ。

 AWSの収益性がもっと高かったらどうなるか、想像してみるといい。

 小売業界、クラウド業界のAmazonの競合相手にとって悪いニュースは、AWSの収益性は向上しているように見えることだ。

 その理由の一部は、同社の最高財務責任者(CFO)Brian Olsavsky氏が業績報告で述べているとおり、パブリッククラウド業界では全体的に価格が大きく下がっているにも関わらず、AWSがイノベーションのためにお金を払う顧客を獲得していることにある。

 利用率は前期比で見ても、前年同期比で見ても増加し続けている。また、コストベースでの事業効率も非常に高い。

 イノベーションは減速しているのではなく、むしろ加速している。当社は350もの新たな機能やサービスの提供を開始しており、われわれはこれが顧客の共感を呼んでいると考えている。

 価格は確かに要因の1つだが、われわれはそれが常にもっとも重要な要因であるとは考えていない。実際、顧客からの声によれば、当社の顧客は、早く前に進む能力と敏しょう性を重視している。

 さらにOlsavsky氏は、AWSは2006年にスタートして以来49回値下げしており、値下げはモデルの一部であるとしている。実際、この側面でAWSに追随できる競合相手は存在しないが、その理由の1つは、Amazonほど小さな利益幅でやっていける構造の企業がほとんどないことだ。

 だが、営業利益率はこれまで一般に考えられていたほど小さくはない。AWSの21.4%という営業利益率はかなりのものであり、ある意味ではAWSの効率を控えめに表現している。Olsavsky氏が指摘している通り、Amazonは「外向けのAWS事業のみならず、社内でのAWSサービスの利用でも効率性の恩恵を大きく受けている」という。

 この傾向は今後も続くだろう。また、これが小売業界とIT業界の両方、そしてまだ発表されていない事業で、今後も市場破壊を続けていく原動力になるはずだ。

 Evans氏は次のように締めくくっている。「Amazonの事業の売上は急速に伸びているが、余剰のキャッシュや利益を積み上げてはいない。これは、キャッシュのすべてが事業を拡大するための設備投資に回されているからだ。しかし、いずれかの事業が継続的な赤字になっているわけではない。すでに上げている利益は、新たな事業を生み出すのに費やされている」(Evans氏)

 これもすべて、「ローマージン」のAWS事業のおかげだ。


Googlezon EPIC 2004年の未来予想

 




米アマゾンの2015年第1四半期は15%の増収

米ネット通販大手アマゾン・ドット・コム(AMZN.O: 株価, 企業情報, レポート)が23日に発表した第1・四半期決算は、売上高が前年同期比15%増の227億ドルと市場予想を上回った。最大の市場である北米の売上高の伸びや、クラウド・コンピューティング・サービス部門が好調だったことが追い風となった。


ただ、純損益は5700万ドル(1株当たり0.12ドル)の赤字。前年同期は1億0800万ドル(同0.23ドル)の利益を計上していた。


トムソン・ロイター・エスティメーツがまとめたアナリスト予想平均は売上高が223億9000万ドル、1株損益が0.12ドルの赤字だった。


北米売上高は24%増の134億ドル。クラウド部門の売上高は約50%増の15億7000万ドルとなり、総収入の7%程度を占めた。

全体的に好調なAmazonのビジネスの中でも、今回の決算報告では初めてクラウドサービスAWSの収支について明らかにされました。それによると、2015年Q1のAWSの売上高は15億6600万ドル(約1870億円)で、前年同期の10億5000万ドル(約1250億円)から49%アップと急成長していたとのこと。 


ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は声明で、クラウド部門「アマゾン・ウェブ・サービス」は50億ドル規模の事業で、成長ペースは加速していると明らかにした。


またトム・スクータック最高財務責任者(CFO)によると、同社はクラウド事業のインフラとリソースの強化を速やかに進めている。

ジェフ・ベゾスCEOはAWSについて「今後、まだまだ急速に成長していく」と述べています。今回の収支報告を四半期ベースで単純に4倍するとAWS事業は年間60億ドル(約7200億円)のビジネスになることからみれば、ベゾスCEOの「50億ドル規模」というのは控えめな発言になりそうです。なお、ドイツ銀行のカール・カーステッド氏によると「AWSはMicrosoftのクラウド事業の10倍以上の規模である」とのこと。


ウェドブッシュ・セキュリティーズのアナリスト、マイケル・パクター氏は、クラウドコンピューティングは予想以上に採算性の高い事業となっていると指摘した。


総売上高の約35%を占める海外事業は引き続き業績を圧迫した。同部門の売上高は1.77%減の77億5000万ドル。 


スクータックCFOによると、同社は特にインドへの投資を拡大した。


同社は第2・四半期について、純売上高は前年比7─18%増の206億─228億ドル、営業損益は5億ドルの赤字から5000万ドルの黒字になるとの見通しを示した。


第2・四半期売上高のアナリスト予想平均は221億1000万ドル。






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増殖するアマゾン限定商品

インターネット通販大手のアマゾン・ドット・コムは商圏開拓に動き始めた。日本法人が国内の食品・日用品メーカーと連携し、日本酒や炭酸水、コメなど限定品を増やし、この1年で商品数は2倍の3500品目まで拡大した。膨大な顧客情報を生かした「メード・イン・アマゾン」を武器に日常消費を取り込む構えだが、生活圏でのアマゾンのシェアはどこまで高まるだろうか。
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1月、東京都世田谷区に住む鈴木亜希子さん(39)はアマゾンのサイトで、お薦め商品として表示された炭酸水に目がとまった。もともと炭酸水を普段から定期的に購入しているが、緑色のラベルが張られたこの商品を見たのは初めてだった。すぐに商品をカートに入れた。


 この商品は「ウィルキンソン タンサン クリアジンジャ」で、ジンジャー風味の炭酸水だ。昨年12月にアサヒ飲料がアマゾン限定で発売した。アサヒ飲料のウィルキンソンはスーパーなどの店頭で扱うのはプレーンとレモン風味の2種類のみ。ジンジャー風味はアマゾン以外では購入することはできない。


 「新商品をつくりましょう」。アサヒは昨春、アマゾンからそんな提案を受けた。アマゾンでのウィルキンソンの売上高が前年比2割増と好調で、アサヒは開発の対象としてウィルキンソンを選んだ。アサヒの広域営業部の青木修一担当部長は「ネットなら新たな商品を育てられる」と話す。


 メーカーの新商品は通常、スーパーやコンビニエンスストアなどが主な販路。ただ、商品を置く棚には物理的に限界がある。実際、定番品と派生品を一緒に並べるのは難しい。とりわけプライベートブランド(PB=自主企画)商品を増やすコンビニでの棚確保は年々厳しくなり、並べてもどちらかが売り上げをとってしまう問題もある。


一方、ネットでは小売りなどの販路と異なり莫大な販促費を投じずに、少しずつ消費者に浸透を促していける可能性がある。「ネットはヒット商品を違うアプローチで育てられる可能性がある」(青木担当部長)。棚の限界のないネットを“実験場”とする試みだ。


 2月中旬、カゴメの家庭用営業三部の佐々木基隆課長らは東京・目黒のアマゾン本社を訪れた。すでに2013年9月に発売した栄養成分を高めたトマト飲料「プレミアムレッド」がヒット。「2匹目のどじょう」ともいえる新商品の開発に乗り出した。


 成功した第1弾のプレミアムレッドは完熟トマトを4.5個使い、通常のトマトジュースよりもリコピンの含有量と糖度が2倍高い商品。アマゾンで「リコピン」や「糖度」というキーワードの検索が多かったことが開発のきっかけだ。


 ただ、開発の過程で両社の意見は対立した。従来、メーカーは売り場で目立つようなラベルや商品名にしたいが、アマゾンはネットでの見栄えを重視したシンプルなデザインを主張した。


 最終的には、ラベルは売り場の棚に並べる通常の商品ではあり得ない黒色の横向きのデザインを採用した。ネットでは商品説明も画面上に用意するため商品には最小限にとどめた。


■小売り、顧客奪われる危機感強く


 「小売りのPB(プライベートブランド=自主企画)商品とは異なり、斬新な高級感が新しい客層の取り込みにつながった」(佐々木課長)。1缶(160グラム)140円と通常のトマトジュースよりは高いが、14年の年間売上高はアマゾンで販売するカゴメの商品のトップ10に入る。


 2月中旬、アマゾン限定の新酒が顧客のもとに届いた。月桂冠がつくった純米大吟醸原酒の「京三昧」だ。京都の水と幻の酒米といわれる「祝(いわい)」を使って醸造した。昨秋に予約を受け付け、受注に応じて生産する商品で、アマゾンでは珍しい取り組みだ。


 ネットのアマゾンと組んだのは老舗だけではない。クラフトビール大手のヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)も昨年12月、アマゾン限定のクラフトビール「月面画報」を投入した。アマゾンの利用者を想定し、書籍やDVDなどを購入する40代の男性に照準を合わせたのが特徴だ。


 メーカーがアマゾンとの連携に動くなかで危機感を強めるのが既存の主力販路である小売りだ。アマゾンの限定商品を開発した、あるメーカーは「なぜうちの限定商品はつくらずにアマゾンをやるんだ」などと抗議を受けた。


 独自商品でネットに顧客を奪われかねない恐れもあり、「小売りとしては面白くはないだろう」(飲料メーカー)との見方もある。それでもアマゾンが販路として存在感を増す流れは無視できない。どこまで関係を深めるべきか。メーカーにとって「賭け」だ。


■膨大な生の声や「無限の棚」、メーカー呼び込む


 アマゾンが狙うのは日常生活シーンでの経済圏の拡大だ。これまでの強みは書籍や家電製品に代表される分野で商品の性格上、ネットとの親和性が強かった。次のターゲットとなる食品や日用品は品ぞろえが豊富なうえ、消費者ニーズも多様で、取り込むのは簡単ではない。利便性や知名度などコンビニエンスストアやスーパーに対する競争力が問われている。


アマゾンは従来の小売りと異なり、3つの長所がある。1つは購買動向などが把握できるビッグデータだ。データは「商品を購入する前にどの商品を閲覧したか」「どの商品を購入したか」が確認できる。クラフトビール大手のヤッホーブルーイングの新商品はアマゾンでの顧客動向の分析がきっかけだ。


 実は「カスタマーレビュー」と呼ばれる消費者の商品の感想が大きな参考になる。通常の小売店では、商品の購入者にアンケートなどをとるのは手間となる。消費財事業本部の前田宏本部長は「消費者の『生の声』こそが我々にとって価値を生む」と指摘する。


 例えば、アマゾンで昨年10月から販売している日清シスコの「砂糖不使用フルーツグラノーラ」は、レビューでの「砂糖不使用」などのコメントから誕生した。商品の陳腐化サイクルが早まる中、生の声を迅速に取り込み、消費者ニーズに即応できそうだ。


 2つ目は在庫力だ。アマゾンは1億品目以上の商品を扱う。販売機会の少ない商品でも取り扱って売上高を確保する「ロングテール」戦略を採用している。このネット上の「無限の棚」こそが小売店よりも競争力を持つ。メーカーが小売店では取り扱ってもらえない定番品以外の商品も扱う考えだ。


 3つ目はスマートフォンやパソコンに張り巡らされた「販売力」だ。アマゾンの2014年の売上高は8400億円(年平均の為替レートで換算)となり、2桁成長を続けた。ネット通販市場が今後5年で2倍以上に成長が見込まれるなか、メーカーにとってはこの新たな販路は垂ぜんの的だ。


 この販売力があるからこそ、日用品や食品でもアマゾン限定の「PB」を投入できる。昨年12月、米アマゾン・ドット・コムは米国市場にPB「アマゾン・エレメンツ」を投入した。素材にこだわったベビー用品で、メーカーのナショナルブランド(NB)よりも高価格の商品だ。


 日本ではメーカーのブランド力が強く、イオンのトップバリュのようなPBを出すことはない。このためセブン―イレブン・ジャパンのようなメーカーと共同開発型のNPB商品を増やしていくことになりそうだ。


 こうしたアマゾン経済圏の拡大にドイツ証券の風早隆弘シニアアナリストは「メーカーが小売りなどに出してきた販促原資がアマゾンに移っていくきっかけになるかもしれない」と指摘する。棚の限界もなく販売することができれば、メーカーはアマゾンに軸足を移すほうが売り上げを伸ばせる可能性が高まるためだ。「流通構造の無駄を省く流れにもつながる」(風早氏)という。


 アマゾンは「自ら基盤となるサービスなどを手掛けることで市場の総取りを目指す」(ネット関係者)傾向がある。190カ国で数十万社の顧客を抱える「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」というクラウドサービスなどは代表例ともいえる。


 もちろん日本市場はコンビニなど商店網が全国に根を張り、日常消費でのアマゾンの利用価値は低い。酒類のネット販売も現時点で広くは知られていない。しかも少子高齢化に伴う商品の少量化、ニーズの多様化などより複雑化する国内の日用品・食品市場の攻略は至難の業だ。流通秩序を破壊してきた「アマゾン台風」の目が大きくなるのかどうか、不透明感も残る。

 


アマゾン株の急落にも動じないジェフ・ベゾスの経営哲学

アメリカの経済誌「Business Insider」の編集長Henry Blodget(ヘンリー・ブロジェット)氏が、AmazonのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏に年次のカンファレンスにてインタビューを行いました。ジェフ氏と旧知の仲であるヘンリー氏だからこその突っ込んだインタビューは必見です。(この動画は2014年12月に公開されたものです)


ヘンリー・ブロジェット氏(以下、ヘンリー):多くのCEOたちがあなたから学びたいことだと思うのですが、事業が全く利益を出していないのに、株価が高値で取引されている場合、どういうふうにアドバイスしますか? 何年もかけて、結局一銭も儲からなかったけど再投資します、と説明するのですか?


ジェフ・ベゾス氏(以下、ジェフ):会社にとって、株主をなだめつつ方針を変更することは非常に困難です。今までロックコンサートをやってきたのに、バレエ公演をやらなければいけなくなった。その変更はとても難しいものになります。でもその変更を初期段階で行っていれば、そこまで大変なことにはならないと思います。


ヘンリー:私は長年に渡ってアマゾンに投資している株主です。バブルの浮き沈みがあり、我慢の時期が7年ほどあり、そしていきなり株価が急上昇した。長期的サイクルでの投資、大胆な賭けなど、様々な要因も理解しています。そんな私でも、直近の四半期レポートを見た時には息を呑みました。


収支がブレイクイーブンですらなく、かなりの金額を損失していたのです。実際のところ、損する可能性があるけれどもそのうち値打ちが上がる、とあなたが言って投資家から袋だたきにされていた金額よりも、さらに悪い結果でした。いつになったら、「よし、利益が出て来たぞ」と言うつもりですか?


ジェフ:君の「優しい人」の部分はどこへ行ってしまったの? 投資家と株主の部分しか表れてこないみたいだけど……


(会場笑)


ヘンリー:株主として訊いているんですよ!(笑)


アウトプットよりもインプットに注目してほしい


ジェフ:あらゆる数字がすべてのレベルで順調に表れてくれば素晴らしいですが、それは不可能です。市場はそんなふうにできていません。それらの数字は、アウトプットを基準にしています。もちろん、四半期の収益を細かく管理しようとすればできるかもしれませんが、それらは個人的には過ちだと思います。


四半期の結果として表れて来る事業は、1年前に行ったものなのです。四半期で何が何でも数字を上げようとすれば、自陣のゴールを守るだけの、非常に鈍い動きになってしまいます。次に蒔かなければならない種まで、食べてしまうわけにはいきません。


私は、アウトプットよりもインプットのやり方に注目してもらいたいと思います。長い時間をかければ、良い結果を手にすることができます。ベンジャミン・グレアムの言葉を借りれば、「短期的な株式市場は自動票数計算機のようなもので、長期的株式市場は秤のようなもの」なのです。


会社を設立しようとする賢明な人たちは、人気投票をされるのではなく、じっくりと価値を見極めてもらいたいと思っています。それは、充分な資本と選択肢があり、フリーキャッシュフローが潤沢にあることを意味します。


もし誰かが私のところへやってきて、「ジェフ、君にして欲しい仕事はアマゾンの株価を上げることだ。君に直接指揮してもらいたい」と言ったとしたら、私は断ります。ばかげた話のように聞こえるかもしれませんが、実は多くの企業がこれをやっています。


株の売却目的で事業をやるな


ジェフ:実際、株を売るために事業をやっている企業がたくさんあるのです。それが最終的なアウトプットになっているのです。それよりも、「いや、やめておこう。それじゃ長く続かない、下手なアプローチだ」と言いたいです。


「インプットのうち何が株価を上げているのか?」「フリーキャッシュフローと、リターン投資資本が値上がりをもたらすインプットになっているのか、なるほど」というふうに、株価を上げる要因になるインプットを探して遡っていけば、そのうちコントロールできるインプットにたどりつきます。


そしてフリーキャッシュをコントロールできるインプットというのは、実はジェットコースターのような構造をしています。そこから、「よし、フルフィルメントセンターにおけるピッキングの効率を改善すれば、弱点を減らすことができるんだな」とわかります。


ビジネスにおける弱点というのはとてもコストがかかります。弱点を減らすことが、ジェットコースターを制するルールのひとつです。


そういう仕事なのであれば、私もやらないことはありません。あなたがまともな人であれば、「株価を変動させる方法なんて全くわからないよ、コントロールできるインプットじゃない。ただ、ピッキングアルゴリズムをより効率的にすることはできる」と言うことでしょう。


こういうやり方であれば、コスト構造も縮小できますし、それに続く様々な問題も減らせます。これこそがビジネスです。そのためには顧客第一主義、型にはまらない発想、将来的投資、忍耐強くあること、卓越したオペレーションなどが必要になります。それらが弱点を見つけ出し、修正していくのです。


市場に大切な情報は転がっていない


ヘンリー:株を売るためだけに事業をしているCEOたちについて言及されましたね。あなたがIRに割く時間は、1年間で6時間だけだと聞きましたが。


ジェフ:ええ、私たちの会社では、ふつうの会社はやらないようなことがたくさんあります。私たちは最大の投資家には会いません。ポートフォリオの取引高が低い投資家に会うのです。多くの投資家、投資ファンドはとても取引高の高いポートフォリオを持っています。でも彼らは真の意味で投資家ではありません。彼らはトレーダーなのです。


もちろん、それは何も悪いことではありません。ただ、種類が違うと言うだけのことです。何に対して時間と労力を費やすかというのは、人生において最も重要な決断です。私たちの時間は限られており、それを何にどう使うかというのは、この世界をよりいっそう高いレベルで考えるやり方です。


もし、あなたが自分の時間を会社に知ってもらうことに使いたいと思うのなら、トレーダーではなく、長期的に投資してくれる人と組むべきです。それが私たちの意見です。


ヘンリー:従業員たちには、どう説明しているのですか? 投資家たちが明らかに不満げで、株価が四半期で急激に25%ほど落ち込んでいる場合……。


ジェフ:1年に2回全社会議があるのですが、1997年からほぼ毎回、従業員全員に対してこう言うようにしています。株価が今月10%上がったからといって、自分が10%優秀になったと思わないように、と。株価が10%下がる場合もありますし、その時に自分が10%間抜けになったと思うのは良い気分ではありませんからね。


所有権に関して言えば、私たちは給与の大半を株価の報酬から得ています。所有者の仕事として、長期的視野で物事を考えるようにしています。大家は借家人が考えるよりも長い期間のことを考えるものです。


家をテナントとして貸している友人がいますが、クリスマスツリーのスタンドを床に釘で固定してしまったテナントがいたそうです。大家は絶対にそんなことはしません。ろくでもない借り手がいるものです。でも、そういうものなのです。レンタカーを洗車して返す人はいませんよね。


自分が所有しているものに関しては、人はより手をかけ、大事にするものです。所有者の責任というのは、アマゾンに深く根ざしている企業文化でもありますが、日々の株式市場の細かな変動よりも、ビジネスの原則のほうを考えるということです。市場にはそこまで大切な情報は転がっていません。


アマゾンは今なおスタートアップ


ヘンリー:私が目にして来た様々な企業よりも、アマゾンは黎明期から中身のない人、不吉な予言をする人、信用してくれない人などいろいろな人がいたと思います。1990年代のあなたはお金がないことで有名で、いつ会社がつぶれてもおかしくなかった。


今は、売上が鈍くなり、業績は頭打ちです。給料も低いことで有名ですし、従業員は他の転職先を見つけてどんどん辞めていく。株価チャートは横ばい。どうやって彼らに、「他にも900社くらい行ける企業があるけど、まぁここに留まるか」と思わせているんですか?


ジェフ:数値に基づいて話をしなくてはいけません。インターネットバブルが弾けた頃は、1株につき113ドルだったのがどれくらいになっただろう、だいたい……、


二人:(同時に)6ドル。


ジェフ:当たってた(笑)。私にとっては、それが市場動向のイメージなのです。株価は現在停滞しているように見えますが、1年、2年、5年、10年単位で見るとおおむね好調です。数値をつぶさに見て話をしないといけません。それくらい、変動性の高いものなのです。


アマゾンは大きな会社ですが、多くの新規事業を抱えている点で未だにスタートアップであるとも言えます。スタートアップには変動性がつきものです。



アマゾン、コネクテッドホームの取り組み

米アマゾン・ドットコムが昨年から米国の一部の顧客を対象に販売している音声アシスタント端末が進化を遂げたと話題になっている。

その進化の度合いはまだわずかなものにとどまるが、今後これが発展すれば、様々な家電が無線でつながり、スマートフォンなどの機器で操作できるようになる“コネクテッドホーム”がより容易に実現すると、言われている。アマゾンは昨年11月、米国で「Amazon Echo(エコー)」と呼ぶ製品を発売した。これは高さ23.5cm、直径8.3cmの円筒形の端末。
本体には2つのスピーカーと7つのマイクを内蔵しており、利用者が合図の言葉を話したあと、質問や命令をすると、単語を調べたり音楽やニュースを流したりする。
このEcho端末で利用できる機能は、アマゾンの音楽配信サービスなどからの音楽再生、ラジオ局のニュース、天気予報、各種情報再生、アラーム、タイマー、Wikipediaの情報検索、ショッピングリストやTo-doリストへのアイテム追加など。

この端末は常に起動しており、Wi-Fi(無線LAN)でインターネットにつながっている。
まず「アレクサ(初期設定でこの端末に付けられている名前)」と呼びかけたあと、「ジャズを再生して」「買い物リストにアイスクリームを入れて」と命令したり、「エベレストの高さは?」などと質問すると、ぞれぞれに応じた操作、回答をする。
そして、今回これに蘭フィリップスのLED照明器具や、米ベルキンの電源器具を操作できる機能が加わった。これらはいずれもWi-Fi対応で、iPhoneなどのiOS端末から専用アプリを使って操作できるという製品。

アマゾンのEchoがこれらに対応したことで、iPhoneを手に取ることなく、音声命令だけで照明や家電をオン/オフできるようになった。
アマゾンのウェブサイトを見ると、今のところEchoに対応している製品は9種類。たとえばフィリップスのLED電球や卓上LED照明、ベルキンの電源タップ、壁用照明スイッチなどがある。

これを実際に試した米シーネットの記者によると、フィリップスのLED電球では音声でオン/オフできるだけでなく、調光も行える。複数の場所に取り付けたLED電球を1つのグループにまとめる設定をしておくと、一度の命令で一斉に点灯させることもできるという。

また米マッシャブルの記事は、「廊下の灯りを付けて」「照明を20%の明るさまで落として」「コーヒーメーカーのスイッチを入れて」などといった命令が可能と伝えている。

Echoはまだ対応機器が少なく、今後いかに外部企業の助けを借りられるかという課題があると言われている。ただ、その音声認識は正確で、とりわけ音楽再生機能は反応が速くスムーズという。
もし外部機器の制御もこれと同じくらいに俊敏に反応するのであれば、その可能性は広がるとマッシャブルは伝えている。

こうしたコネクテッドホーム関連の機器は新たな成長分野と期待されており、テクノロジー企業が力を入れている。例えばスマートフォンなどのモバイル端末でアマゾンと競合する米グーグルと米アップルはすでにこの分野に進出している。
グーグルには傘下に学習型サーモスタットなどを手がける米ネストラボ(Nest Labs)があり、現在音声制御機能の開発を進めていると伝えられている。
アップルはiPhoneなどのiOS端末で家電を制御する仕組み「HomeKit(ホームキット)」と、iOSの音声アシスタント機能「Siri(シリ)」の両方に対応する機器を広めようとしている。

アマゾンは先頃、「ダッシュボタン(Dash Button)」という小型のネットショッピング端末を発表した。また昨年は生鮮食料品のネットショッピングに使う懐中電灯大の端末「アマゾンダッシュ(Amazon Dash)」も開発している。



ビジュアルレポートで見るAmazon最新決算
  赤字は回避、積極的な投資は変わらず


アマゾンシステムの衝撃

amazon echoの登場


 アマゾンは2014年11月6日に新商品を発表した。その名は、「amazon echo」(199ドル)。黒い筒状のもので、ダイソンあたりの空気清浄機にも見間違う。「いつでも待っているから、なんでも聞いてね」というこの機器は、家庭内での要望を一手に担い、それを代行するものだ。


 この「amazon echo」は、ひとの声を拾うマイクを7つも装着している。お父さん、お母さん、娘に息子、さらには祖父母が声をかけたら、彼(amazon echo)は挨拶もできる。さらに彼は家庭内の電子機器類とつながっており、またインターネットともつながっている。


 使用方法は、例えばこうだ。「明日は雨が降るかな?」「明日の降水確率は90%、傘を忘れないでください」「サンキュー」。さらには「イスラム国のことについて調べてちょうだい」「はい、ウィキペディアの情報によりますと……」「助かったよ」。あるいは「今度、ケチャップを買うこと覚えといて」「はい、奥様のToDoListに入れておきました」「スーパーへの出発前に教えてね」「もちろん、でもこのところケチャップの消費が速いようですよ」「あらら、気をつけなきゃ」。


 とまあ、最後の一文は私の追加だが、このように人間の作業/頭脳の代行をやってくれる。検索やカレンダー機能など、iPhoneのSiriは起動すると動きだすが、amazon echoはいつでもすぐそばにいる。ドラえもんは四次元ポケットでのび太の願いを叶えようとしたが、amazon echoはいつでもネットの力を借りてあなたをサポートしてくれるのだ。


 amazon echoを紹介したYouTubeのビデオでは、この機械に呼びかける場合と家族に呼びかける場合の違いをつけるために、彼に「Alexa(アレクサ)」という名前を付けている。この擬人化によって、amazon echoは家族の一員となるというわけか。ビデオでは、「Alexa! Stop (music).」だとか「Alexa, what time is it?」などと家族から話しかけられている。また、amazon echoはかなり遠いところから話しかけても認識してくれる機能(far-field voice recognition)を有している。


 この時点では購入のためには招待状をリクエストすることになっている。そのため、テストマーケティングの位置づけになる。ただ、これが本格的に広がったときのアマゾンのメリットは十分にある。


amazon echoとamazon Dash


 似たような製品にamazon Dashがあった。これは、WIRED誌が「アブないほど簡単に買い物ができる」と称したツールだ。amazon Dashはamazon echoと同じく、細長い形状をしている。用途は、口頭で食料品をオーダーできるもので、あるいは商品のバーコードを読みこめば同じものを注文できる。アマゾンはこのamazon Dashと新サービスの「amazon Fresh」をつなげた。amazon Freshとは生鮮食料品の販売サイトだ。amazon Freshを紹介したサイトでは、母親が子どもを抱っこしながらamazon Dashを用いて注文する姿や、キッチンで作業しながら口で指示する姿などが公開されている。家事は時間と手間とコストがかかるものだが、それをアマゾンは買い物時間の短縮化という形で貢献しようとしている。


 アマゾンの攻勢は、amazon Dashにとどまらないようだ。同社の、攻め止めない姿勢に常に私は感心する。このamazon echoは対象を消費者の家族にまで延長したようだ。数カ月前に、アマゾンは家庭内にセンサーを設置して、家中の様々な不足を伝達するサービス(例えば換気扇フィルターがそろそろ交換時期だと教えてくれるサービス)をテストしていると伝えられた。それが、このamazon echoだったのかは分からない。ただ、同社は単なるIT企業ではなく、巨大な小売サイトと倉庫を持っている強みを十分に活かそうとしているらしい。携帯電話やタブレットとの連携、さらにはDash、echoといった機器類でも、ひとびとの消費活動全体を覆おうとしている。


 かつて携帯電話が流行した際に、「自分の頭で覚えている番号がほとんどない」ことにひとびとは驚愕した。ワープロやパソコンの文章作成ソフトが登場して「漢字が書けなくなった自分」に恐懼した。しかし、電話をかける際には、すくなくとも番号を見た。漢字が書けなくなっても、すくなくとも画面上の漢字を見た。その一方、amazon echoを使えば、彼が勝手につないでくれるから、タイピングの必要も、画面を見る必要すらない。


 ドラえもんは道具の便利さゆえに、のび太をダメにしているのではないか、と批判があった。その意味で、amazon echoがひとびとの生活にどのような影響を与えるのかは分からない。マンガ「ドラえもん」にはいくつかの第1話が存在する。第1話ではドラえもんなるロボットの登場に驚くとはいえ、第2話からはすんなりと家族と社会に溶け込む存在となる。私は子供のころ、ドラえもんを初めて見るのに驚かない登場人物たちの鈍感さにむしろ恐怖を感じた。おなじようにamazon echoのいる家庭を見るとやや違和感がある。しかしそれも、ドラえもんのようにすぐさま見慣れた光景となるのかもしれない。


 米国の反応を見ていると、「奇妙な光景に映るだろうが、それでもおそらく数年もすれば、新たな現実になっているだろう(It sounds like a weird way to pass the time, and it is, but maybe in several years, that will just seem like the new normal.)」とまで述べているものや、「トースターと同じく一般的なものとなるだろう(Devices like this will soon be as common as toasters.)」と評しているものもある。とくに、後者の「Why Amazon Echo is the future of every home」では、amazon echoを評価する、あるいは評価しないに限らず、インターネットにつながったスマートデバイスが家庭に浸潤していくのは必須の流れであり、機器が人間のアシスタントになる流れは止められないとしている。ベッドルームから、リビングルーム、キッチン、ガレージ、お風呂、廊下に、車中に通勤中にそしてオフィスの中でも、常にスマートデバイスとあなたは生活をともにし、スマートデバイスを愛することになるのだ、と。


家庭内スマートデバイスの将来性


 さらに家庭内にスマートデバイスがあることで、広告のあり方も変化していくだろう。広告はこれから個々の消費者にあわせたものとなる。これは、よく言われるような「マス広告から、限られた消費者に対応する広告へ移行する」だけではなく、タイミングも細分化されていくだろう。すなわち、例えばコーラが好きなひとたちがいるとして、彼らに広告を出すだけではなく、彼らが欲するタイミングを察して、あるいは彼らが冷蔵庫の中からコーラがなくなることを察知したうえで、広告が生成されるのだ。


 その意味でも、amazon echoによるアマゾンのメリットは大きい。消費者の、生活のナマの声を聞いて生活を分析できるわけだから、自社サイトに誘導しやすくなる。先ほどの例でいえば、「明日は雨が降るかな?」「はい、でも傘が傷んでいますから、注文しておきましょうか?」と動線を引けるだろうし、「今度、ケチャップを買うこと覚えといて」「はい、でもamazon Freshで注文したら、今晩のハンバーグに使えますよ」と推薦することもできるだろう。「あ、そういえば」とamazon echoは奥さんにささやくに違いない。「マスタードをあと10分以内に注文してくれれば、15%オフになるようですよ」と。


 その他amazon echoでは、音楽の再生も音声コントロールもできるとしているが、同じく同サイトのMP3ダウンロードサイトを紹介できるだろう。もちろんお気に入りのアーティストの新譜を紹介するのは怠らないはずだ。「あなたが出会ったことのない最高のパートナー」(Echo is a better parent and partner than you could ever be.)とまで賞賛するのが正しいかは使っていないので分からないが、家庭内の情報を集めて分析すればマーケティングの形そのものが変化していくかもしれない。


 アマゾンは、例えばFire Phoneの販売に苦戦しているし、その他、すべての新規商品が好調というわけではない。それにamazon echoの技術レベル、また発表のタイミングは早すぎたのではないか、という批判もある。従って、実際に使用してみてから、アマゾンが狙いを達するかどうか判断を待ちたいと思う。しかし、それにしても、家庭内の会話から消費行動につなげていこうという貪欲な姿勢に、私は感心してしまう。


amazon echoと私たちの将来


 冷蔵庫がホームネットワークにつながる。そして洗濯機も、体重計も、テレビも、キッチン周りも、すべてつながる。それらの元締めがamazon echoだとしよう。もしかしたら、他のスマートデバイスかもしれないし、amazon echo2.0あるいはamazon echoβかもしれない。


 すると冷蔵庫から情報をもらったスマートデバイスは、食材の過不足を主人に伝える――だけでは終わらないだろう。主人の運動状況を把握したうえで、不足栄養素を考えた食品の提案をし、サプリメントを勧めるだろう。洗濯機は衣料の痛みを察知し、すぐれた柔軟剤や洗剤の提案を欠かさないだろう。もちろんオーガニックに傾倒していれば、ECOVER(注・地球にやさしい洗剤を作ることで有名なベルギーの企業)の洗剤を勧めるだろう。テレビは、ドラマの役者が着ていた新作のスカーフを妻に紹介し、子どもにはアメコミヒーローの新作おもちゃグッズをさりげなく教えてあげるだろう。夫のリストバンドから健康状態を察知したスマートデバイスは、テレビのCM中にやさしく「血糖値が低下していますよ。そろそろコーラなんてどうでしょう。安心してください。200ミリリットル飲んでも、まだカロリーは大丈夫ですから」と教えてくれるだろう。


 冷蔵庫に洗濯機にテレビにキッチン用品……。そうなると、それらの機器の役目は、「使ってもらう」ことではなく、「使用しているユーザーのビッグデータを、次なる消費につなげる」媒介に変容する。


 そうすれば冷蔵庫は食品を冷やすもの、という役割を終えることになる。将来的には、冷蔵庫はネット通販業者から家庭に無償で提供されるだろう。通販業者は、食品のマージンで冷蔵庫コストをペイし、消費者にとって冷蔵庫はタダでもらうものになる。消費者が家電量販店で冷蔵庫を吟味する時代は過ぎ去っていく。


 例えばテレビも同じ道をたどっていき、オンデマンドの映画や音楽、そしてネット通販のためのデバイスになるだろう。同じく消費者にとってテレビはタダでもらうものになる。それは、インターネットモデムが無料で配られ、あるいは携帯電話が1円で配られ、とはいえランニングコストで費用を回収したモデルと近似していくだろう。


 それがいいのかどうか、私は分からない。しかし、インターネットを使ったビジネスモデルはこのように変化していくはずだ。


 ところで、iPhoneのSiriはユニークな受け答えでも知られる(私が笑ったのはSiriに「婚約してください」というと「まだお互いのことをほとんど知らないじゃないですか」と言われたことだ)。同じくamazon echoも私たちを楽しませてくれるだろうか。


 amazon echoに「なにか曲をかけてよ」とお願いすると、「旦那、あんたのスマホ、古い曲ばかりだけど趣味いいね」とか言ってくれるだろうか。


「おっ、分かるのか?」
「ああ、ドナルド・フェイゲンだろ。30代のくせによく知っているね」
「そう、AORが好きでね」
「わあ、しかも次はスイサイダル・テンデンシーズかよ」


 しまった。いかん、この調子では、amazon echoの勧めたものをすべて買ってしまいそうだ。なるほど、アマゾンの次の戦略は、家庭内に従順な友だちをつくることなのか。




購買支援から人間支援へ

巨大なトピックとして社会に上がってくるプロダクトの背後には、必ず直接的に眺めると、眩しいくらいの希望の消息が埋もれている。


家の中での買い物をサポートしてくれるデバイスAmazon Dashは、購買支援デバイスだったが、もはやそのようなものは必要なくなる。


10年ほど前、ビジネスの方向性は、「販売促進」から、「購買支援」という方向性へと舵を切った。その代表例は、まさにAmazonのレコメンド機能であったわけだが、これからは、この購買支援というコンセプトでは立ちゆかなくなる。


では、新たに来るコンセプトとは何か?それは、「人間支援」である。人や状況に合わせた多面的なフォローこそが、今後求められる方向性である。これは、人対人だけでなく、人対AI(ロボット)も同じだ。私たち一人一人に、本当の意味で力を与えていく会社こそ、21世紀の代表企業となりえる。


Amazonも巨額の損失を出しつつ、試行錯誤をしながら前進しているが、購買支援から人間支援へとうまく舵を切っていくのか。Amazon Echoの動向は、それを示唆する重要なメルクマールとなる。
 


話しかけるとお買い物リスト作成・予定管理・音楽再生・検索などができる「Amazon Echo」

アマゾンがスピーカーAmazon Echoを発表しました。インテリジェンス・スピーカーと言われてますが、要は音声アシスタントも兼ねたスピーカーだということです。気軽にEchoに話しかければ、様々なことに答えてくれます。

Echoは、常にオン=スタンバイ状態にして家の一角に置いておくというタイプの端末です。常にスタンバイしているからこそ、そのアシスタントぶりが発揮できます。アップルの音声アシスタントがSiriならば、アマゾンのアシスタントは「Alexa(アレキサ)」です。彼女があなたの相棒となります。

コマンドとなるワードは、もちろんEchoの名前である「Alexa」です。この言葉をきっかけに、スピーカーはあなたの言葉を聞き始め、情報を得て、答えを出します。音声アシスタントと聞いて思いつくようなタスクは大抵こなすことができるので、天気を知らせたり、音楽を流し始めたり、カレンダーに予定を追加するなどもやってくれるのです。

音声アシスタントが真新しいかというと、そうでもありませんが、これをスマートフォンではなく、スピーカー=家電に取り込んだことが、IoT (Internet of Thngs)時代を見たアマゾンのやり方ということでしょう。

もしこれがPhilipsのつながる電球 Hueや、Nestの学習サーモスタット等のスマートホーム機器分野ともつながるようになれば、家全体のスマートハブへとシフトする可能性も見えてくる。 


「Echo」は筒状の形状をしたデバイス。胴体の下半分はメッシュ状になっており、上部にはコントロール関連のボタンを集中して配置されています。

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そのサイズは、直径約8センチ×高さ23.5センチ。本体の一番上は回転式のボリュームリングやコントロール関連を内蔵し、その下には低音用と高音用の専用スピーカーが内蔵されています。
また、最上面には7つのマイクを内蔵して話しかける声だけを検出する技術を採用。部屋中のどこから話しかけても操作を行えるように設計されています。

  

Echoはただ話しかけるだけで各種操作が可能なデバイス。指示の冒頭に「ウェイクワード」と呼ばれる特定のワードを付け加えることで認識が行われるようになっており、ムービーでは「アレクサ」という人の名前のような単語が使われている様子がわかります。

Echoは電源に接続しておけばいつでも使うことが可能。「エベレストの高さは?」や「テーブルスプーン1杯は、ティースプーンで何杯分?」といった質問、「ラップを買い物リストに入れておいて」や「タイマーを8分にセット」といった指示を音声で行うことが可能です。

その本当の心臓部は、クラウド上に存在しているのがEchoの特徴。ネットを介してクラウドにつながることで、より多くの情報をゲットしたり、最新の情報に触れることができるようになっています。

もちろんアラーム代わりにもなります。さらに「今朝のニュースを聞かせて」と指示して、ラジオ局のニュース番組を聴くことも可能。


Echoはベゾスの巻返し

今朝(米国時間11/6)、Amazonは突然、Echoという新しいデバイス.を発表した。Echoにはスピーカーに加えて「常時オン」のマイクが内蔵されており、周囲のユーザーの声を聞き取ってクラウドに転送する。天気予報を尋ねると教えてくれる。目覚ましをセットするよう命じることもできる。エイブラハム・リンカーンの業績について尋ねることもできる。

なんと! 円筒形のパーソナルアシスタントなのだ。だが、このデバイスの本質が何であるか―というより、やがて何になりそうかじっくり考えてみる必要がありそうだ。

Amazonのビジネスモデルは人々に明日の天気予報を教えることではない。

毎朝目覚ましを鳴らすことでもない。

歴代大統領の業績を教えることでもない。

Amazonのビジネスはものを売ることだ。したがってEchoの存在理由も究極的にはそこにあるに違いない。

冷蔵庫を開けたらピクルスが切れていた。オーケー。「アレクサ、ショッピングリストにピクルスを追加」と呼びかければよい(Echoに命令するときにはアレクサと呼びかけることになっている。このキーワードはユーザーがカスタマイズできるらしい)。 念のため断っておくが、まだEchoから直接ショッピングはできない。単にショッピングリストにアイテムを追加できるだけで、ユーザーはそのリストにもとづいて別途注文をしなければならない。

しかしEchoが少しでも普及のきざしを見せたらこの点はさっそく「改良」されるのではないか?

たとえば、「アレクサ、カンフーパンダ2を注文」と呼びかけるとさっそく注文がすんでしまう。

「アレクサ、極上のエジプト綿のシーツを注文」。ジャジャン! シーツが発送される。

ワンクリック購入がゼロクリック購入に進化するわけだ。家全体(すくなくともEchoのマイクが聞き取れる範囲)が衝動買いを狙ったスーパーマーケットのレジ横の買い足し台になるのだ。

アメリカのAmazon プライム会員はEchoを半額で購入できるが、それにはもっともな理由がある。プライム会員はたくさん注文する。Echoはプライム会員にさらにいっそうたくさん注文させる仕掛けなのだ。おそらくその目論見は成功するだろう。

邪悪な企みだろうか? そうとは言えない。AmazonはEchoを買えと強制しているわけではない。それに第一、私自身、Amazonプライムを文字通り毎日利用している始末だ。私の愚かな物欲がさらにたやすく満足されるようになり、一声かけるだけでアイテムが魔法のように戸口に現れるのは楽しいだろう。

しかしAmazonがなぜEchoを作ったか、その理由は覚えておくべきだ。Amazonは顧客がわざわざ訪問しなければならない「デスティーネション・サイト」であることにもはや満足していない。Amazonは世界に遍在することを狙っている。Amazonストアが現実空間のあらゆる隅々にまで行き渡り、じっと聞き耳をたてて人が口を開くのを待ち構えているという状態が目標なのだ。

多少のギミックがバンドルされているものの、その本質はショッピングチャンネルだという点でEchoはFire Phoneに似ている。

しかしジェフ・ベゾスはFire Phoneの失敗(今だに8300万ドル相当の在庫を抱え込んでいる)から一つ学んだようだ。人々はもっと買い物をさせるために作られた製品だと知ってしまうとそれに金を出したがらなくなる。だが、Echoの本質はFire Phoneと変わらないのだろうと思う。

今のところ、Echoのショッピング機能は欲しいものを音声でショッピングリストに追加できるだけだが…さて?





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キャッシュフローに見るアマゾンの真の優位

アマゾンの業績鈍化や、それでも維持されている優位をめぐってはさまざまな要因が取沙汰される。HBRエディターのジャスティン・フォックスは同社の強みの源泉として、卓越した「キャッシュ・コンバージョン・サイクル」に着目する。


アマゾンの決算報告で、利益率の低さよりもはるかに興味深いことがある。それはキャッシュフロー計算書に見られる。以下は、過去10年における同社の純利益とキャッシュフローの推移である。


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青い線と黒い線の差には、投資が大きく関係している。建物や設備、その他もろもろへの投資は損益計算書に記載されるが、営業キャッシュフローには計上されない。世界規模で小売業を支配するために膨大な金額を投資に回してきたアマゾンの場合、営業キャッシュフローが純利益を上回っているのは不思議ではない。しかしその違いの大きさ、そしてキャッシュフローのグラフの急角度には驚かされる。


 フリー・キャッシュフローには、投資のすべてが計上される(ただし計上されるのは支払い時で、その後の減価償却や分割返済は含まれない)。アマゾンのフリー・キャッシュフローが純利益を継続的に(多くの場合10億ドル以上)上回っているのは驚異的であり、非常に重要である。そして両者の差はすべて、タイミングに由来している。


 純利益は、支出と収入のタイミングの不一致に対して寛容である。たとえばあなたが、今後12カ月にわたって提供されるサービスを販売するとしよう。現金がだれの元に移ろうと、支出と収入はその12カ月間の中で計上される。あるいは本を販売しているなら、買い手からの売上げと版元への支出は同じ四半期に計上される。たとえ実際の支払いが同じ四半期内に発生しなくてもである。


 一方フリー・キャッシュフローの場合、現金が実際に移動した時にはじめて計上される。したがって、ある事業において、顧客が迅速に支払い、在庫が巧みに管理され、サプライヤーへの支払いに時間的余裕を持てるならば、たとえ純利益がマイナスでもフリー・キャッシュフローはプラスに保つことができる。これこそ、ジェフ・ベゾスとアマゾン経営陣が過去10年で築いてきたビジネスに他ならない。

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企業のキャッシュ創出力を測る重要な指標は、「キャッシュ・コンバージョン・サイクル」(CCC)である。これは、在庫回転日数と売上債権回転日数(顧客から代金を回収するまでの日数)の合計から、仕入債務回転日数(仕入先への支払いにかかる日数)を引いた数字だ(CCCが短いほど資金繰りに優れていることになる)。ウォルマートやコストコなどの超効率的な小売企業は、CCCを1桁台にまで下げている。それだけでも見事だが、アマゾンの2013年のCCCは実にマイナス30.6日であった。

CCCでアマゾンに匹敵する唯一の企業はアップルで、2013年の数字はアマゾンを上回る-44.5日であった。このこと自体、現象として興味深い。デサイによれば、過去に多額のキャッシュを生み出してきた企業はたいてい、自社の製品・サービスに病みつきとなっている顧客、あるいは非常に忠実な顧客を持つ、ハイテク以外の業界――タバコ、ゲーム、食料品など――に見られた。しかしいまや、変化の激しい市場で2社の最先端企業がキャッシュマシーンと化している。

 アマゾンの場合、キャッシュはすべて、継続的な急成長をまかなうために使われている。借り入れや株の発行をしなくても、新たな分野への進出と製品・サービスの改良のためにキャッシュを使い続けることができる。「ベゾスに対する一般的な見方は、顧客にとても献身的で、株主を重視していないというものだ」とデサイは言う。「しかし実際には、そうではない。彼は非常にユニークかつ思慮深い方法で目標を達成するための、経済的に細かく調整されたメカニズム(キャッシュ創出力)を持っている」

 これは、HBR発表による2014年版「世界のCEOベスト100」のトップにベゾスが輝いた理由の1つである。ただし今後もそこに君臨し続ける保証はもちろんない。彼が行っている膨大な投資が実を結ばなければ、アマゾンは厄介な状況に立たされるだろう。しかし、これほどのキャッシュの流入が今後もしばらく続けば、株主を含む外部がどう考えようと、同社は新たな実験に着手し、失敗から学び、前進し続けることができる。したがって〈ファイアフォン〉のような明らかな失敗も、危機ではなく学習経験にできるのだ。

 アマゾンがいまのやり方を続けるためには、キャッシュ創出力を今後も維持することが不可欠だ。同社は四半期報告書で毎回のように、自社の「豊富なキャッシュを生み出す営業サイクル」を、巧みな在庫管理の賜物であるとしている。「当社の高い在庫回転率は、サプライヤーへの支払い期限が来る前に顧客から代金を回収していることを意味します」というのがお決まりの説明だ。

 しかし実際には、アマゾンがウォルマートやコストコよりも際立っているのは在庫管理ではない。ウォルマートの在庫回転率はアマゾンとそう変わらず、コストコは品ぞろえを限定することで、アマゾンよりも大幅に速く在庫をさばいている。さらに顧客からの代金回収も、両社はアマゾンより早い。アマゾンが際立っているのは、サプライヤーへの支払い期間が極端なまでに長いことだ。モーニングスターのデータによる2013年の支払い期間は、コストコの30.1日、ウォルマートの38.5日に対してアマゾンは95.8日なのだ(英語サイト)。

 サプライヤーはこの状況にいつまでも甘んじてはいないだろう、とする意見もある。実際に、最近のアマゾンの四半期報告書では支払い期間の短縮も見られ、キャッシュ創出の強みも減っているように思われる(同社の事業は季節にかなり左右されるため、四半期の数字は上下が激しい)。この傾向が今後常態化するのかどうか、まだ判断は尚早だが、投資家の懸念材料としては十分である。今年のアマゾンの株価失速に対する説明として、堅調なキャッシュフローを維持できない懸念こそ、「低い利益率に株主がいら立っている」という説よりも妥当ではないだろうか。




テレビを再発明 小さな伏兵がネットで変える

「テレビの再発明」が始まった。10月下旬、米アマゾン・ドット・コムは米国でスティック型映像受信端末「Fire TV Stick(ファイアTVスティック)」を発売し、米グーグルの「クロームキャスト」に対抗する。いずれも価格は4000円前後の小さなデバイスだが、これを差し込むことでテレビがたちどころにインターネットとつながる。茶の間に忍び込む「小さな伏兵」はテレビの見方を大きく変える威力を秘めている。
 
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ファイアTVスティックは100円ライターを一回り大きくしたサイズで、テレビのHDMI端子に差し込んで使う。Wi-Fiに接続し、映画、ドラマ、音楽などのコンテンツをインターネットから受信する。デュアルコアプロセッサーと1ギガバイトのRAMメモリーと8ギガバイトのストレージを内蔵しているので、フルハイビジョンの映画をスムーズに再生でき、手元のスマートフォン(スマホ)を使って一時停止や巻き戻し、字幕設定などができる。米国での希望小売価格は39ドル。日本での発売は未定だ。
 
 日本では5月下旬にグーグルが同種の製品「クロームキャスト」を発売している。価格は4200円。クロームキャストは発売と同時に、家電量販店で売り切れが相次いだ。最先端の製品に真っ先に手を伸ばす「アーリーアダプター」と呼ばれる消費者は、この製品を待ちわびていたのだ。待ちきれない人はネット通販で先行発売された米国から取り寄せていた。これまでに世界で数百万個が売れたという。

アマゾンは4月上旬に「ファイアTV」という据え置き型の映像受信端末を発売した。ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は「ちっちゃな箱の中に、とてつもない性能を詰め込んだ。驚きの価格で、山盛りのコンテンツを楽しめる」と自信満々だったが、場所を取り価格も99ドル(約1万円)と高かったため、グーグルの「クロームキャスト」にかなわなかった。アマゾンはすかさず、クロームキャストと同じスティック型を開発し、39ドルで発売する。このあたりの機敏さはさすがである。

 ファイアTVは音声認識で番組を探せるのが特徴だ。ASAP(アドバンスト・ストリーミング・アンド・プレディクション、進化型ストリーミング予測機能)を備え、利用者の過去の視聴履歴をもとに「見たいであろう番組」を予測し、あらかじめネットからストリーミングを始めておく。その番組を選択すると、すでに「放映の準備」が整っているから、瞬時に再生が始まる。

 もちろん、書籍のネット販売でおなじみの「あなたにお薦めの本があります」「この本を買った人はこんな本も買っている」といったリコメンデーション(推奨)機能も備えており、「こんな映画がお好きでしょ」と薦めてくる。ファイアTVにはゲームソフトも豊富にそろっており、スマホやタブレットをコンソール(操作機)にして家族でレーシングなどを楽しめる。ソニーの「プレイステーション」や任天堂の「Wii」にとって脅威になるかもしれない。

アマゾンやグーグルは日本や韓国のテレビメーカーが「スマートTV」でやろうとしていたことを、わずか4000円前後のスティック型映像受信端末で実現してしまった。この小さなデバイスを差し込むだけで、5年前に買った液晶テレビがスマートテレビに変身してしまうのだ。

 もちろん、アマゾンやグーグルは4000円のデバイスを売ってもうけようとしているのではない。既存のテレビをインターネットにつなげることで、コンテンツを売り、利用者を囲い込もうとしているのだ。

 「家電の王様」だったテレビも、インターネット時代には「ただの表示装置」にすぎなくなる。付加価値のほとんどはネットの向こう側にあるクラウドからやってくる。画質や音質にこだわる日本メーカーの気概は買うが、それだけではもはや新しいビジネスモデルに対応できない。4000円の小さなデバイスを侮らない方がいい。




独占を狙うアマゾン、新たな事業モデルの布石に

世界の小売市場でイノベーションを起こしている企業はどこかと問われれば、多くの人がアマゾン・ドット・コムと答えるかもしれない。圧倒的な品ぞろえ、低価格、当日配送、そして無人航空機(UAV)による無人配送実験などの話題もある。その結果として、恐ろしいほどのスピードを維持しながら成長を続けている。


現在、世界小売市場の売上高第1位は米ウォルマートである。2013年度の売上高は4763億ドル(1ドル=108円で51兆4400億円)に達し、仏カルフールや英テスコといった世界2位グループと比較すると4倍の売上規模を誇る。現在のアマゾンとの差も、実に6倍以上になる。


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  しかしアマゾンは、声高に宣言しているわけではないものの、おそらく米ウォルマートを抜き去って世界小売市場の「独占」かそれに近い状態を目指していることだろう。それがイノベーションの本質でもあるからだ。あとで詳しく説明するが、きわめてシンプルな方法でアマゾンとウォルマートの将来の売上高を試算すると、2021年にアマゾンがウォルマートを抜く可能性がある。

 独占することもイノベーション

 ヨーゼフ・シュンペーターが唱えたイノベーションの元々の概念である「New Combination(新しい結合)」には5つの定義がある。その中でも現代のテクノロジー業界では、5つめの定義である「独占の地位を創出したり、独占を破壊したりするような新たな産業構造を推し進めること(筆者訳)」が現実によくみられる。シュンペーターもイノベーションという言葉の定義の中にはっきりと「独占(モノポリー)」というキーワードを入れている。自身が市場を独占することや、独占されている産業を破壊することはイノベーションなのである。


 日本人は、イノベーションというと、どうしても技術や発見を活用して、これまでにない製品やサービスを生み出すことに意識が向かいやすいが、イノベーションにはこのような側面がある。


もちろん、独占禁止法が存在するため(これは日本に限らず世界で共通した産業構造のガバナンスシステムであるが)、声高に独占を目指すことはできない。しかし、成長する企業が規模を追い、結果的に独占、もしくはそれに近い状態になっていることもある。そうした企業が現れるまで覇権を握っていた企業は独占状態を崩され、新たな企業の独占が始まる。このような例は特にハイテク業界では枚挙にいとまがない。


 今回はそうした視点から、世界の小売業で圧倒的ナンバーワンのウォルマートに挑戦しようとしているアマゾンのビジネスについて、その狙いと可能性について考えてみたい。そこには、アマゾンの新たな事業モデルの姿も見え隠れする。


アマゾン、売上高30%成長を続ける驚異


 アマゾンをどのように評価するべきなのか、株式市場では常に意見が分かれるところである。アマゾンは、売上高の成長率が過去10年間の年平均成長率(CAGR)で30%と極めて高い。その半面、営業利益率(ここではオペレーティングインカムを営業利益としている)が過去3年で見れば1%台という極めて低い水準にとどまっている。企業の収益性やROE(自己資本利益率)などの指標を重要視することが多い米国の株式市場では、アマゾンの経営手法はもろ手を挙げて受け入れられていないのが実情である。


 ただし、現状の投資リターンが低いことを、アマゾンの社長兼CEOであるジェフ・ベゾスは意識的に狙っているとみえる。足元の収益性を高めるよりも、売上高成長を求め、将来の事業機会の拡大を狙っているのだろう。


 アマゾンは創業時より書籍のEコマース事業を拡大してきたが、2013年末時点で書籍・音楽・ゲーム・デジタルコンテンツなどのメディア事業の売上高は全体の29%に過ぎない。売上高の66%を占めるのは家電製品や一般雑貨などである。したがって、アマゾンの競合企業は既にバーンズ・アンド・ノーブルといった書店だけではなく、ウォルマートやベストバイといったGMS(総合スーパー)、小売り専門店という状況になっている。


 アマゾンの恐ろしいところは、既に小売り事業者として世界トップ10に入るほど売上規模が大きくなっているのに、成長率がまったく鈍化していない点だ。しかも、過去10年における売上高の年平均成長率は30%、最近5年のそれは31%と、わずかながら成長が加速している。


 一方、ダントツの売上高を誇る世界最大手のウォルマートは、過去10年の売上高成長率が6%、最近の5年だと3%というように、売上高規模の拡大に伴い成長率が鈍化している。日本の小売業を代表するセブン&アイ・ホールディングスは、過去5年で見ると円建ての売上高はほとんど横ばいで成長していない。


では、アマゾンはどこまで収益性を犠牲にして売上高規模を狙うのだろうか。


 私見では、ウォルマートの売上高規模を当面の目標とし、その後は圧倒的な売上高規模とポジションを狙っているようにもみえる。過去5年間の売上高の年平均成長率を使って、アマゾンがウォルマートの売上高をいつ抜くのか試算したものだ。過去5年の年平均成長率を使うのは乱暴な前提だという意見もあるだろうが、過去10年の年平均成長率を過去5年のそれが上回っていることから、ベゾスは売上高の成長にこだわっているのが見てとれる。


試算の結果は、2021年度にアマゾンがウォルマートの売上高を抜く状況になりそうだ。その時のアマゾンの売上高は70兆円(1ドル=108円換算)を超えることとなる。あまりにもシンプルな試算であるが、「ベゾスであれば成し遂げてしまうかもしれない・・・」と考えさせるところが恐ろしい。


 グローバル市場でリアルの小売りをすべてネットに取り込むのは無理だろうが、圧倒的な売上高を背景にウォルマートが手に入れた「サプライヤーへの強力な価格交渉力」と「調達面での交渉力」を、将来のアマゾンも獲得できるはずだ。現在のアマゾンには、同じ商品でも納入業者により異なる価格が提示されているものもあるが、今後アマゾンの売上高がさらに大きくなれば、ウォルマートが実現している「Always Low Prices」と同様な状況を実現できるだろう。


 ウォルマートの「Always Low Prices」には2つのメリットがあると考えている。1つは、消費者に対して「常に安いものがウォルマートにあるので、買い物の際にはウォルマートを思い出して来てほしい」というメッセージを出せること。もう1つは、納入業者に対して「はじめからウォルマートが安値で販売できる価格で交渉するぞ」というメッセージを送れることだ。


 結果として、ウォルマートはベンダーとの間で無意味な価格交渉を省くことができているのではないか。価格交渉を1度でも経験した人にはわかるであろうが、ロジックを超えたところの議論に時間が費やされ、非効率であることが多い。このように、ウォルマートは規模とともに効率性も追及しているとみている。


アマゾンは、小売りを押さえ、独占に近い状況を生み出すことに、どのようなメリットを期待しているのだろうか。1つは上記の「サプライヤーへの強力な価格交渉力」だが、もう1つある。それは、いわゆるプライベートブランド(PB)商品の拡大であろう。


 この点を理解しやすいように、日本のコンビニエンスストアを例に考えてみたい。コンビニを頻繁に使う方はお気づきと思うが、大手コンビニチェーン店ではパッケージにコンビニ名が記載された商品の棚が増えてきている。こうした商品をPBと呼ぶ。こうしたPBの中にはいわゆるナショナルブランドが生産している商品もある。


 なぜこうしたことが起きるのであろうか。集客数の多いコンビニは、売れ筋商品を安定的かつ安価で調達したい。そのために生産業者のキャパシティーを事前に確保しようとする。また、そうしたコンビニは、蓄積した顧客データをもとに商品のスペックや規格まで踏み込んだ品ぞろえを拡大することで、さらに顧客満足度を上げ、競合企業との差別化をしたいとの思惑がある。一方、生産業者であるナショナルブランド側も一定の販売量が期待できるため、コンビニが要求する条件で納入するメリットがある。


 このように、小売りを押さえた企業ではPB化が進むという流れがある。アマゾンも同じである。


 もちろん、アマゾンが日本のコンビニエンスストアのように食品や日用品のPB化を狙っているとは考えにくい。私の見立てでは、電子書籍リーダー「kindle」のようなガジェットの拡販を考えていると思う。


 なぜEコマース専業のアマゾンがハードウエアの領域に手を広げるのかというと、それはアップルの垂直統合モデル(※)を強く意識しているからである。アップルは、ハードウエアであるiPhoneのユーザーインターフェースと、ネットワークを経由して活用することのできるiTunesやAppStoreといった課金可能なコンテンツプラットフォームを掛け合わせることで、ハードウエアとサービスプラットフォームの両方の価値を上昇させて大成功を収めた。その結果、インターネット企業といえどもハードウエアを無視することができない競争のルールが出来上がってしまった。


(※)詳細は『日本企業の興亡をかけた「垂直統合化」の戦い』を参照。


 アマゾンは幅広い商材、コンテンツを調達し、課金プラットフォームを運用しているが、ユーザーエクスペリエンスとも呼べる購買体験はPC/スマートフォンのデザインに依存している。逆に言えば、アマゾンが追い求めるユーザーエクスペリエンスを最大限に高めるためには、自分でデザインしたハードウエアとユーザーインターフェースを作り出すしかない。そうした中での解がkindleやfireタブレットといったハードウエアの投入であると考えている。



ここから先は私の推測の域を出ないが、次のように考えるのはどうだろうか。


 アマゾンは、アップルほどにはハードウエアに関する造詣が深いわけではない。また、アマゾンはインターネット企業ではあるが、取り扱っている商品の多くが有形である点は、広告収入がほとんどのグーグルとは異なる。では仮に、将来あらゆるハードウエア、特に家電製品などがネットワークにつながるような環境、つまり「IoT(Internet of Things)」時代になったらどうなるであろうか。


 今後もアマゾン自身でkindleのようなネットワークに接続可能なハードウエアを取り扱うことも可能である。加えて、外部のハードウェアベンダーがアマゾンの「顧客に対するリーチとサービスプラットフォームの利便性」を評価し、アマゾンのプラットフォームに最適な商品を開発・販売することもできる。これもまさにアマゾンのPB商品といえる。


 たとえば、アマゾンが家庭用エネルギーマネジメントサービス(EMS)を展開したとしよう。そして、外部ベンダーがアマゾンのサービスプラットフォームを利用できるように、掃除機や洗濯機、冷蔵庫、エアコンを開発したとする。それらは常時ネットワークに接続し、現在の稼働状況や消費電力のデータをアマゾンに送信し、使用電力がユーザーの指定した最大使用電力を上回らないように運用される。また、ユーザーが外出先からでも家電製品を好きなように稼働させることができるものとする。


 こうしたスマート家電のコンセプトは既にあるが、スマート家電の運用を誰が行うのかというと、いまだはっきりしていない。グーグルは2014年1月にスマートデバイス企業Nest Labsの買収を発表しており、スマート家電運用領域において家電メーカーだけが主要プレーヤーとは言えなくなってきている。私見だが、その運用者として、アマゾンが最も有利なポジションにいると考えている。


 その理由は、アマゾンがすでに多くの家電製品を扱っており、流通チャネルも確立していることから、家電メーカーもアマゾンに合わせた製品開発を受け入れやすいからだ。加えて、アマゾンはデータセンターも自前で保有しており、クラウドサービスの展開とともにデータセンターの拡張性もある。家電メーカーがデータセンターのキャパシティーを用意してスマート家電を運用するよりも実現性が高いのではないか。


 さて、スマート家電時代が来たとき、アップルやグーグルはどう振る舞うであろうか。アップルは、ハードウエアのデザインにこだわるため、次々とアプリケーションを生み出していくためには時間が必要である。したがって、アプリケーションを増やそうとすればスピード面でアマゾンに劣るであろう。グーグルは、Nexusのようなスマホ/タブレットのプロトタイプをデザインし、その後はサムスンのような外部メーカーにアンドロイドOS(基本ソフト)を普及させるという戦略をとり、成功した。そのモデルをアプリケーション数の多い家電で実行するためには長い時間を必要とする。したがって、グーグルは自動運転車を優先するのではないかとみている。このようにしてみると、スマート家電についてはアマゾンのポジショニングが最も良さそうである。


現状では、アマゾンのkindleやfireタブレットが十分な成果を上げているとは言い難いので、「ハードウエアをもともと扱っていなかったアマゾンが、後発プレーヤーとして参入する意味があるのか」という疑問もあるだろう。だがアマゾンは、何としてもバリューチェーンの最下流である小売りを押さえ、強い影響力を発揮したいのだ。


 小売りを押さえることの意味は大きい。たとえば、iPhone 6や同Plusの販売台数が3日間で1000万台に達したという報道がある。このニュースの意味をひも解くと、バリューチェーンにおける小売りチャネルの存在感の大きさがわかる。仮にスマートフォンの販売価格が7万円、その製造原価が3万円だとしよう。この時、3日間で1000万台販売したとすると、スマートフォンメーカーは自社のバリューチェーン内に3日で3000億円の資金が必要になる(実際には、バリューチェーンには、小売店の在庫、輸送中の製品、仕掛品、材料なども含まれるため、さらに大きな資金が必要である)。


 今回のiPhoneのように、世界規模で販売される端末の台数規模は増加している。新規参入者が既存のプレーヤーに販売規模で勝とうとするのであれば、バリューチェーンにおいてそれ以上の資金調達が必要となる。いまや、世界でハードウエアを販売する企業は、資金がなければ競争の土俵にも立てず、ハードウエアを扱うことのできるプレーヤーの数そのものも少なくなっている。


 アマゾンは、こうした状況で同社の勝機が高まったと考えているのではないだろうか。


右のグラフは、アップルのバリューチェーンを簡素化し、その棚卸資産(在庫)回転日数を積み上げたものである。アップルは、在庫をほとんど持たず、資金繰りが巧みな会社なので、自社の在庫日数が重くなることはない。141102-6しかし、アップルのバリューチェーンの川上と川下では、新商品を発売する際などには、一時的にとはいえ、かなり重い在庫を抱えることになる。


 たとえば、アップルの製品と同等かそれ以上の製品を世界で販売しようと思えば、そのバリューチェーンをサポートできるサプライヤーやEMS(電子機器の受託製造サービス)に参加してもらわなければならない。もし世界で同時発売するようなハードウエアを取り扱っていたり、新製品の量産をしながら、別の新製品の研究開発を行ったりする時などは、材料メーカーなどを含むさらに長いバリューチェーンになるだろう。バリューチェーンが長い、つまり在庫日数が長くなるということは、バリューチェーンに参画するためには強固な財務体質もしくは資本調達の選択肢を持っていなければならないことになり、参画者は限られることになる。


しかし、小売り注文をインターネットで受け付け、在庫を一括で管理し、随時顧客に配送できるシステムを完成することができれば、小売り段階での在庫日数を減らし、バリューチェーンを短縮化できる。バリューチェーンに参加する企業にとって、これは大きなメリットとなる。なぜなら、資金回収サイクルが短期化すれば研究開発や新しい商品開発に資金を回せるようになるため、そのバリューチェーンに参加していない企業よりも有利になるからだ。



「アマゾンがいるバリューチェーン」を競争優位に変える


バリューチェーンのデザインは「事業モデル」とも言い換えることができる。アマゾンは、競合するリアルの小売りやインターネット企業に対して、バリューチェーンの最下流にいることを競争優位に変えようとしているのではないだろうか。右のグラフは、アマゾンのキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)を示したものである。


 CCCを簡単に説明すると、売上債権、棚卸資産、買入債務それぞれの回転日数を計算し、仕入れから販売までの過程で「何日で現金化できるか」を示したものである。アマゾンの場合は、買入債務の支払いが売上債権や141103-6棚卸資産の回収と比較して長いため、2013年はマイナス29日程度である。これは事業を始めると同時に「29日分の現金が手元にある」という非常に資金繰りがうまいことを示している。


 そうしたアマゾンではあるが、棚卸資産回転日数をみると年々上昇トレンドにあることが分かる。CCCを改善しようとするなら、売上債権や買入債務の回転日数をさらに改善する選択肢もあるが、買入債務については100日を超えており、もはや限界であろう。


 アマゾンは世界中に巨大な物流倉庫を抱え、在庫管理が上手なように思われているが、2013年のアマゾンの棚卸資産回転日数49日は家電を販売するためにリアル店舗を抱えるベストバイの62日に対して圧倒的に良いという水準ではない。


アマゾンの課題は、売上高が年平均30%以上伸び続ける中で、いかに在庫管理を効率化し、外部のベンダーに対してアマゾンのバリューチェーンに参画するための魅力をアピールするかにある。仮にアマゾンがバリューチェーンの短縮化に成功すれば、さらに多くのベンダーが参画する可能性が高まり、アマゾンの品ぞろえが充実するということにもなる。


 こうしたバリューチェーンの改善も、「売れる商品があれば」という前提ありきの話ではあるが、アマゾンが持っていてアップルにないものは、世界中から届く注文に対して、迅速に商品を配送するシステムである。この点を理解できれば、なぜアマゾンが無人航空機(UAV)を活用した無人配送システムに挑戦するのか、合点がいく。アマゾンの競争優位を確立できる勝算の高い領域だからである。


 このようにアマゾンは、売上規模を大きく拡大させることで、将来的には様々なPBのハードウエアを扱える可能性があり、またバリューチェーンの最下流にいることでそのバリューチェーンを短縮化し、より多くのベンダーがアマゾンと協働できるようなシステムを生み出せる可能性を持っている。アマゾンを軸にそうした大きなシナリオを描くことができる今、ベゾスは明日の利益よりも「近い将来にウォルマートの売上高を抜くための投資」に突き進んでいるようにみえる。


ローカルビジネスへ拡大着々
われわれも含めて多くのメディアが報じているように、Amazonはローカル・コマース・サービス分野で大規模で野心的な将来計画を描いており、特にオンラインからオフラインにサービスを拡張しようとしている。これにはReutersが伝えているようなYelp、Thumbtack、Angie’s Listをひとまとめにしたような総合的ローカル市場が含まれる。これはすでにAmazon Freshとして一部実現しており、単なる生鮮食品の宅配だけでなく、Spotlightという新しいサービスもスタートさせている。これはレストランのテイクアウト料理からカップケーキ、紅茶葉、特製アイスクリームなど各種の「地元の良品」を選んで届けるというものだ。

またAmazonはSquareやPayPalのライバルとなる店頭支払いシステム、Amazon Local Registerをローンチしている。

Amazonはこれらのサービスを統合し巨大化することによって消費者とローカルビジネス双方の利便性が高まるようなスケールメリットを狙っているようだ。


たとえば、今回スタートしたテイクアウトとデリバリーのサービスは料金がユーザーのAmazonアカウントから支払われる。Amazonはこのつながりを利用してレストランその他のローカル・ビジネスにLocal Registerを採用するよう説得することができるだろう。

ある情報源によれば、「レストラン向けサービスやレジスター・サービスは手始めだ。今後数ヶ月のうちに更に進化した機能のサービスを他の業種にも拡大していく」ということだ。

ではAmazonはまずどの業種を狙っているのだろう? われわれも6月の記事で指摘しているが、旅行業が次のターゲットだろう。旅行業のニュースブログ、Skiftの先月の記事によれば、Amazonは新年早々にもAmazon Travelを立ち上げるという。当初はホテル予約からスタートするが、フライト予約などに順次サービス範囲を拡張していく計画だということだ。興味深いのは、Amazon Localで所在地をシアトルに設定すると、レストランのテイクアウトと配達だけでなく、「ホテル予約」というタブも表示されることだ。


Amazon Elements

巨大なネットショップであるアマゾンは近年、独自の商品を展開しています。タブレットや電子リーダーはもちろん、最近はスピーカーもでましたね。それに付随して、Amazon Basicsというラインでアマゾン印のケーブルやアダプターの販売も始めました。

そのアマゾン印がますます広がっていきます。アマゾンの新プロダクトラインAmazon Elements、日用品をプライム会員に向けて販売します。まず手始めは、オムツと赤ちゃんのお尻ふきが登場。アマゾン印のオムツです。

Elementsラインの売りは、その価格ではありません。最大の売りは品質。Elementsの商品ページには、商品に関する情報が詳細まで記載されています。

原材料はどこのものか、なぜその材料を使っているのかなど。アマゾンモバイルショッピングアプリ用にコードもついており、これを読みとれば原材料がどこで作られたものかまでトラッキングすることができます。生産された場所や日にち、配達日時、またいつが買い時かもわかります。

まさに品質を売りにしているからこそできる情報公開と言えるでしょう。 

まずはオムツとお尻ふきのみですが、赤ちゃん関連からトイレットペーパー、お風呂、キッチン周りのあれこれと、商品は今後拡大していきます。


すでに日用品をアマゾンで購入している人は少なくないはずなので、Elementsラインの拡大でショッピングがより簡単に、そして品物の品質があがるというのならば、ヒットの予感はします、よね。


 

アマゾンのスマホ戦略を分析する

アマゾンはご存じの通り、オンラインの小売りサービスの巨人だ。
同社はこれまでにも、電子書籍端末のKindleをリリースして、デバイスビジネスへの参入を果たしている。


現在Kindleは、
iPhoneやiPad、Android向けにもアプリがリリースされており、電子書籍を販売するという点では、必ずしもデバイスとしてのKindleが必須というわけではない。
ただ、Kindleがリリースされた2007年11月を振り返ると、iPhoneが登場したばかりでアプリも追加できず、電子書籍のマーケットを創るという意味で、デバイスが必要だった。


その後アマゾンは、
2011年11月に、カラーディスプレイを搭載し書籍だけでないメディア視聴を楽しむ事ができるKindle Fireをリリースした。
アマゾンによって深くカスタマイズされたAndroidを使ったKindle Fireシリーズは、タブレット市場でも存在感を示し始め、2013年にはアップル、サムスン、アスースに続く第4位、940万台を販売し約5%のシェアを獲得した(ガートナー調べ)。


アマゾンは2014年になると、
Fire TVというセットトップボックスを発売した。テレビに接続することで、アマゾンが提供するストリーミングサービスのビデオを手軽に楽しむことができるようになった。

タブレット、テレビと、「Fire」シリーズのデバイスを拡充している中で、欠けているピースであり、かつ最も市場規模が大きいスマートフォン市場に、今回のFire Phoneを投入した格好だ。



Fire Phoneは、
4.7インチHDディスプレイとクアッドコア2.2GHz駆動のプロセッサ、1300万画素カメラという内容で、2014年にリリースされるハイスペックスマートフォンとして充分な素質がある。
しかし、こうしたスペックのアピールはウェブサイトでも後ろに追いやられ、前面に出しているのが「Dinamic Perspective」と「Firefly Technology」と呼ばれる機能だ。


Dinamic Perspectiveは、
スマートフォンをタップしなくても片手で簡単に使いこなせるようになりそうだ。端末のディスプレイ側には超低電力のカメラが四隅に1つずつ内蔵されており、このカメラを毎秒60フレームで画像検知しながら、端末の動きを正確に認識する。これにより、例えば端末を左右にロールさせてメニューを表示させたり、縦に長いウェブページを送るときに前後に軽く傾けるように振る、といったジェスチャーでの操作を実現している。


Firefly Technologyは、
カメラで雑誌のページを撮影したとき、電話番号やURL、メールアドレスなどを画像の中から自動的に認識して、アクセスできるようにしてくれる。
これはスマートフォンを実空間のスキャナのような役割で利用でき、非常に便利な機能になりそうだ。


また、カメラで書籍やDVDの表紙を撮影すれば、すぐにアマゾンのウェブページでレビューを呼んだり購入したりできるようになる。カメラだけでなく、テレビや映画、音楽などをFire Phoneに聞かせることで、コンテンツを判断してくれる。


アマゾンの巨大なストア機能との連携は、他のスマートフォンにはない魅力になりそうだ。
 


プライムユーザーのエンゲージメントを高めるスマホ


筆者は米国で、アマゾンプライムというサービスに入っている。
先頃値上げされ年間99ドルになったが、遅く不確実な割に高くて馬鹿にならない送料が無料になるため、年に10回以上買い物をするのであれば、プライムに入った方が割安になり、比較的早く届く便を利用できるようになる。


アマゾンは、Fire Phone購入ユーザーに、期間限定とはいえ、プライムの1年分の利用権を付けた。AT&T契約であれば199ドルでスマートフォンが購入できるが、プライムの分を差し引くと端末は100ドル分になる。
アンドロイドを使っていたり、買い換えを検討しているユーザーで、アマゾンプライムに入っていたりする場合は、非常に魅力的な選択肢と言えるだろう。


またアマゾンは、Fire Phoneユーザーに写真やバックアップを行えるクラウドサービスを無制限に解放した。
アップルやグーグルが写真を保存するためにクラウドストレージ容量を値下げしているが、より魅力的な訴求になるだろう。


アマゾンは送料だけでも十分メリットを見いだせるプライムユーザー向けに、ビデオストリーミングサービス「Instant Video」と、つい最近サービスをスタートさせた音楽ストリーミングサービス「Prime Music」も、追加料金なしで利用する事ができる。


プライムユーザーにとって、Fire Phoneは何も考えずに便利で快適に使うことができる点で、非常に良い選択だ。
同時に、プライムユーザーではない人がFire Phoneをきっかけにプライムサービスを1年試すことで、次の1年も更新すれば、99ドルの更新料をアマゾンに支払ってくれるかもしれない。



アマゾンが利益を出す規模に成長するには非常に長い時間がかかるか、そのときは訪れない可能性が高い。

しかし、Fire Phoneを使っているユーザーは、2年目に入ったときに、プライムの料金99ドルをアマゾンに直接支払う可能性がある。
これは、アップルやグーグルがアプリやコンテンツのプラットホームの売上手数料を細かく獲得する以上に、効率の良い収益になるはずだ。


また、プライムユーザーがプライムをやめないためのツールになることも考えられるのだ。
 


アップルとの対峙で決定的な数字


しかし、もう少し別の角度でスマートフォン市場の競争を見てみると、
どれだけの人数に課金できる可能性があるか、という視点がある。つまり、クレジットカード番号を登録しているユーザーの数の比較だ。
米メディア「ビジネスインサイダー」が掲出したグラフによると、アップルに登録されているクレジットカードのアカウントは8億件に到達している。一方のアマゾンは2億件を少し超えたところだ。


もちろん、こうしたユーザーにどのような金額のコンテンツを販売し、手数料を得るのか、という違いは存在し、デジタルコンテンツ中心のアップルと、デジタルコンテンツだけでなく99ドルの会員費から500ドルを超えるテレビまで販売するアマゾンとで単純な比較はできない。


アップルにとっても、Fire Phoneとプライムサービスが連携していく姿は、あまり気分の良いものではないだろう。


iTunesで1曲単位で音楽を購入できるようにした功績は大きかった。しかし音楽を購入する、という行為は完全にダウントレンドの中にある。
人々は、音楽ストリーミングサービスへと流れているのだ。アップルもiTunes Radioを昨年スタートさせ、既にスポティファイを追い越すシェアを既に獲得したが、めざましい成功とまでは言えない。ビーツ買収によって風向きが変わるかどうか注視すべきだ。
 


目指すライフスタイルは見えるか


アマゾンのハードウェアを見ていて、いつも筆者が感じることは、本気でやっていて今回のFire Phoneも含めて良い製品を世に送り出しているが、ビジネスモデルの源泉は必ずしもハードウェアにあるわけではない、ということだ。


Kindleの時もそう感じたのだが、
「まだ世の中に電子書籍リーダーやタブレット、スマートフォンといった、電子書籍を便利に読める端末がないからKindleをつくった」と見えるのだ。


Kindle Fireシリーズ、Fire TV、Fire Phoneも、Kindleと同様に、
アマゾンが目指す新しいビジネスの形を作り上げる『過渡期』的なアイテムだとすると、アマゾンは物販からデジタルへ、所有から所有権管理へというモデルへと移行しようとしているのだろうか。





アマゾン、オンライン広告事業でグーグルへの攻勢強める

米インターネット通販大手アマゾン・ドット・コムが、オンライン広告市場で優位に立つ米グーグルへの攻勢を強めている。多数のアクティブユーザーの情報を生かした広告をインターネット上に掲載するための独自のソフトウエアを開発している。

事情に詳しい関係者によると、アマゾンはまず、グーグルが主に広告を出してきた同社サイトのスペースに自社開発した広告掲載プラットフォームを導入する計画。将来、このプラットフォームはグーグルや米マイクロソフトの広告事業と張り合えるほどに成長する可能性があるという。

アマゾンは、小規模ながらすでに他社サイトでの広告掲載事業を展開している。現在、新しいタイプの広告でこの事業を拡大する方法を探っており、もっと大きな目標があることをうかがわせる。

調査会社IDCのアナリスト、カルステン・ワイデ氏は「アマゾンは自社が持つ購買行動に関するデータを利用して、これらの広告の効果をさらに上げることができる」とし、「マーケティング担当者はグーグルとフェイスブック以外の有望な広告掲載先を強く求めるだろう」と述べた。

アマゾンは広告パートナー候補に対し、「アマゾン・スポンサーズ・リンクス」という新しい広告プラットフォームのテストを年内に始めるかもしれないと伝えている。関係者によると、同社はマーケティング担当者が2億5000万人近くの自社のアクティブユーザーに接触しやすくする計画という。

アマゾンとグーグルは、ネット通販サイトの首位の座をめぐり争っているが、だんだんと互いの縄張りに踏み込み始めている。例えば、グーグルは商品リスト広告と即日配送サービスの「グーグル・ショッピング・エクスプレス」でアマゾンの電子商取引事業を脅かしている。一方のアマゾンは独自のスマートフォン(スマホ)を発売したほか、オンラインストレージサービスではグーグルとも競争している。

アマゾンとグーグルはコメントの要請に応じなかった。

デジタルマーケティング会社アイクロッシングのメディア担当副社長、リード・スパイス氏は「アマゾンは人々がサイトでどのように検索しているかや、消費者の好みと履歴について膨大な情報を持っている。これを利用して、おそらく他の誰もできない方法で広告を作ることができる」と指摘した。

複数の関係者の話では、アマゾンのサービスはグーグルの検索連動型広告サービス「アドワーズ(AdWords)」と似たようなものになるという。アドワーズは、年間で約500億ドルの売り上げを稼ぎ出すグーグルの広告事業の土台で、テキストリンク広告ではアマゾンはグーグルの大口顧客の1社となっている。

アマゾンは現在、グーグルなど他社が出すテキストベースの検索連動型広告や自社のプロダクト広告を含む数種類の広告を自社サイトに掲載している。調査会社イーマーケターの試算では、アマゾンの今年の広告収入は10億ドル近くとなり、昨年の7億ドル余りを上回る見込みだ。

関係者によると、アマゾンは自社サイトに掲載されているグーグルの広告を外すために、広告代理店が広告枠を一括購入するのを支援するシステムを作っている。このシステムがあれば、アマゾンは他社サイトでの広告掲載事業を拡大することができる。グーグルがアドワーズで既に提供しているものと同様のサービスだ。

同社は、自社のプロダクト広告を掲載したサイトのユーザーが広告をクリックして同社のサイトで商品を購入するとサイト運営会社に少額の手数料を支払う「アフィリエイト(成果報酬型広告)」プログラムを行っている。サイト運営会社をさらに呼び込み、その収入拡大を後押しするために、ユーザーが広告を見るだけで報酬を得られる方法を模索している。この取り組みについては、IT(情報技術)系ブログZatznotfunny.comが先に報じた。

アマゾンは、他社サイトへの自社広告の掲載でのグーグルとの競争で、さまざまな大きな障害に直面するだろう。2000年に立ち上げられたアドワーズでは、100万以上の広告主が広告枠を求め、料金も上昇している。これは他のサイト運営会社にとって大きな魅力だ。グーグルは、昨年、こうしたサイトに90億ドル以上を支払ったことを明らかにしている。

アマゾンにとって、広告事業の拡大は収入増加と利益率上昇が期待できる。同社の主力事業は今も商品を仕入れて薄い利幅で消費者に販売する小売り事業だ。同社の利益率の低さは有名で、事業拡大への投資も続けているため、たびたび赤字を計上している。

一方、グーグルの広告支援事業の収益性は高い。S&PキャピタルIQによると、同事業の今年1-6月の営業利益は、アマゾンが20年前の創業時から上げてきた営業利益の累計より多かった。

アマゾンがグーグルの検索連動型広告を自社サイトから外そうとしているのには別の理由もある。それは、こうした広告に同社が価格決定権を持っていないからだ。また、グーグルが検索結果やどの広告をクリックしたかなど同社の顧客に関するデータを収集することも避けたいと考えている。 

アマゾンがグーグルの高収益事業を模倣しようとしている一方、グーグルは画像や価格、顧客評価などを加えて自社サイトのプロダクト広告をアマゾンと似たものに変えた。

アマゾンはグーグルの従来型テキスト広告の大口顧客だが、この改良後のプロダクト広告は購入していない。業界アナリストらは、アマゾンは、こうした広告掲載には欠かせない商品と在庫に関する詳細な情報を最大のライバルと共有したくないのだと指摘している。





「買いたい」気持ちと「購入」の間の壁を取り除く

気をつけて! アマゾンがあなたの生活にもっと深く入り込もうとしている――。



さまざまな投資がスマホで結び付く


アマゾンは過去何年もの間、さまざまな分野に何十億ドルものおカネをものすごい勢いで投資してきた。


たとえば、アメリカのあちこちに倉庫を建設し、可能なかぎり速く商品を届けられるようにした。また、タブレットからセットトップボックスまで、さまざまな機器を開発した。さらに、それらの機器に入れるコンテンツを創造したり、ライセンス契約を結んだりした。


これらがすべて積み重なって、現代の商業界にはこれまで存在しなかった野心的な企業が出来上がった。ウォール街は全般に歓迎の姿勢だ。一方で、競合企業はアマゾンの展開に一層の不安を感じている(今ではウォルマートからイーベイ、アップル、グーグルまでがアマゾンの競合であり、競合となる企業の数は拡大し続けている)。そして顧客は、アマゾンが売上高1000億ドルの巨大企業になるのを後押ししている


スマートフォンはこの巨大企業にとって最も重要な、すべてをつなぐ最後の部分となるものだ。しかし、アマゾンは技術的な色合いが強い企業であるものの、現在でも基本的には小売業者で、スマートフォン事業は大きな懸けとなる。なにしろ、最も優れた技術系の企業でもスマートフォン事業にはてこずっているのだから。



何もしないリスクの大きさ


フォレスター・リサーチのアナリスト、ジェームズ・マクィビーは言う。「モバイル機器には利便性だけでなく優位性もある。あなたがアマゾンの立場だったら、次に現れてくる大きな顧客との接点から締め出されるのではないかと気掛かりになるはずだ。だからアマゾンは参戦して、顧客がバスルームにいても台所にいても、車に乗っていてもかかわっていようとする。一か八か、やってみるのだ」


アマゾンにとっては、何もしないリスクとは、競合企業のうちの1社によって完全に外に追い出されることだ。マクィビーはココナツ粉を例に説明する。


グーグルでココナツ粉(coconut flour)を検索すると、検索結果の上位2つにアマゾンが表示される。うちひとつが有料の広告だ。しかし、グーグルが描く未来では、ユーザーが外出した際に検索エンジンはその人が探していたものを思い出し、グーグルはその機能を利用した広告も販売する。


つまり、次回そのユーザーがトレーダージョーズ(食品スーパー)の前を通りかかると、アンドロイドのスマートフォンが次のようなメッセージを送ってくるのだ。「ココナツ粉がここから15メートルほどのところで販売されています」。


こうした情報が頻繁に送られるようであれば、ココナツ粉はアマゾンの倉庫で腐ってしまうだろう。


アマゾンならではの強みも


スマートフォンを作るにあたっては、アマゾンにはほかのメーカーが持っていない優位性がある。2億5000万人の顧客に対して、中間業者を介せずに販売できることだ。会員サービスのアマゾン・プライムと機能を組み合わせることもでき、実際に6月12日には会員向けの音楽配信サービスを開始した。


それに加えて、アマゾンは市場シェアを拡大し続けるかぎり、利益が減少しようともウォール街から評価される。ただし、その熱気は少し収まっているようだ。現在の株価は最高値から20%ほど低い水準にある。


「ダッシュ」が示していた野望


消費者の買い物に関して、アマゾンが何をしたいと考えているのか。それを先立って示していたのが、今年、同社が静かに導入した魔法の杖「ダッシュ」だ。


アマゾンの食品サービスに加入している顧客は、この注文用の端末を使うことができる。ダッシュはバーコードをスキャンしたり声による注文を聞きとったりでき、冷蔵庫や戸棚の中身を補充するのに使える。


このダッシュが世界に解き放たれることを想像してみると、スマートフォンによるアマゾンの長期的な展望も見えてくる。アマゾンのモバイル担当幹部のサム・ホールは、数年前のインタビューで簡潔に同社の狙いを表現した。「私たちは、『これが欲しい』と『もう持っている』の間にある障壁を取り除こうとしている」。


なお、18日の発表イベントには、記者や一般の人々のほか、スマートフォンのモーションセンサーを用いたアプリを開発した経験のある開発者も招待された。彼らは「機械学習」に関する経験があるかも尋ねられた。ここから推測されるのは、アマゾンがユーザーの行動に基づいて文脈的な情報を提供する機能を盛り込もうとしているのかもしれない、ということだ。


たとえば、あなたがアマゾンでカメラを買い、イタリアのフィレンツェにあるホテルを検索し、イタリアの鉄道の時刻表をダウンロードしたとする。するとアマゾンが、「このパスポートケースはいりませんか? 本日のみ、特別価格です」と聞いてくるという具合だ。


電子書籍もスマホで強化か


さらに、スマートフォンはアマゾンがデジタル・メディアの事業を再活性化するチャンスともなる。今年第1四半期の北アメリカにおける同社メディア事業の売り上げは、前年同期比12%の伸びだった。アマゾンの観点からすれば、ほとんど成長とは言えない数字だ。


しかし、アマゾンは2007年の「キンドル」で電子書籍を一般化し、2011年のタブレット「キンドルファイア」でさらにそれを広げた。スマートフォンでまた次のステップということになる。


アルティメター・グループのアナリスト、レベッカ・リーブは言う。「もしも、消費者がアマゾンのスマートフォンを受け入れたら、アマゾンは電子書籍リーダーをスマートフォンに統合することができる。ちょうどカメラや音楽プレーヤーが統合されたように。ただし、この『もしも』は大胆な仮定だ。消費者はiPhoneやアンドロイドのスマートフォンをとても気に入っているのだから」。


アマゾンは現在、サプライヤーである数社のメディア企業と公に争っている。たとえば、アメリカではアシェットやワーナー・ホーム・ビデオと、ドイツでは出版社のボニエと。アマゾンはつねにそうしているように、よりよい取引条件を求め、メディア企業はそれに抵抗している。


「スマートフォンが軌道に乗ったら、サプライヤーとの争いが増える可能性がある。サプライヤーはアマゾンに対する恐怖心と、もっと商品を売りたいという願望の間でバランスを取らなければならなくなるだろう」とリーブは話す。

「興味深い展開になりそうだ」。





アマゾンはどこまで行けるのか

アマゾン・ドット・コムは様々な業界のあり方を根底から覆し、世界の買い物の形を変えてきた。だが、その力の乱用には気をつけなければならない。


20年前金融界の職を辞し、新しい会社を起こすためにシアトルへ移ったジェフ・ベゾス氏は、ガレージ付きの家を借りた。米アップルや米ヒューレット・パッカード(HP)のような会社が生まれたのが、まさにこうしたガレージだったからだ。


ベゾス氏が始めたのは書籍の販売だったが、彼は自らの野心の大きさを大河になぞらえ、その会社を「アマゾン」と名づけた。


世界最大のEコマース企業となったアマゾンは6月18日、同社初のスマートフォンを発表した。アマゾンはそのスマートフォンを単なる通信デバイスというよりも、独創的なショッピングプラットフォームとして、さらには消費者のデータを集めてより正確に商品を勧めるための手段として捉えている。


このスマートフォンは、アマゾンの特徴をよく表している。そこに見えるのは、とどまることを知らない拡張路線だ。本や洗濯機を売れるのなら、携帯電話を売れない理由があるだろうか? 


原子からなる現実の世界と、ビットからなるデジタルの世界を行き来できる能力も、アマゾンの特徴だ。アマゾンは現実世界で最高レベルの流通システムを持つと同時に、クラウドコンピューティングや電子書籍、ビデオストリーミング、音楽ダウンロードにも手を広げている。そこには、目先の利益よりも市場シェアを追求する意欲も見て取れる。


一方で、「アマゾンは既にユーザーの個人情報を知りすぎている」というやや気味の悪い感覚もある。これまでのところ、アマゾンの飽くことのない欲求は、消費者のためになってきた。だが、会社の規模と力が大きくなるにつれ、行き過ぎの危険が生じている。




この商品を買った人はこんな商品も ・ ・ ・


差し当たりは、恐れを抱くよりも称賛すべきだろう。いまや世界が当たり前と思っていることの多くは、ベゾス氏が導入したものだ。


ウェブブラウザーにクレジットカード番号を入力するなどという行為は、かつては狂気の沙汰と考えられていた。だがそれも、アマゾンがオンラインでの買い物がいかに簡単かつ安全に可能かを証明したことで変わった。ひとたび本を買った人たちは、ほかのものも買うようになった。いまや世界のEコマース市場は、1兆5000億ドル規模に達する。


購入者によるレビューの登場を後押ししたのもアマゾンだ。アマゾンはサービス開始当初から、購入者に書籍のランクづけやレビューをさせている。今でもそれを不快に思うプロの批評家はいるし、度を越した5つ星の評価のいくつかは、著者の配偶者によるものかもしれない。だが全体としては、購入者にとって貴重なアドバイスになっている。


今では、アプリケーションからホテル、ホースに至るまで、あらゆるものがオンラインでランクづけされ、購入者レビューのない小売りサイトは何か足りなく見えるほどだ。


さらに、アマゾンは様々な業界を根底から覆してきた。最初は書籍だ。アマゾンは出版業界を2度にわたって変えた――まず世界中のあらゆる本をすぐに買えるように変え、次に電子書籍をメインストリームに押し上げた。


2007年にアマゾンが「Kindle(キンドル)」を発表するまで、電子書籍リーダーは扱いにくいガジェットで、利用者はごくわずかしかいなかった。キンドルは扱いやすく、どこでも使えて、購入した書籍を即座に、(パソコン経由ではなく)直接リーダーにダウンロードすることができた。


アマゾンはクラウドコンピューティングの新たなモデルの先駆者にもなった。アマゾンは2006年、コンピューターの処理能力を時間単位で貸し出すサービスを開始した。処理能力を買うのではなく借りるという選択肢ができたことで、新企業を立ち上げる際のコストと複雑さが大幅に低下した。


以来、アマゾンのクラウドサービスは、米ネットフリックス、米インスタグラム、米ピンタレスト、スウェーデンのスポティファイ、米エアビーアンドビーなどの新興企業に利用され、全く新しい産業を生み出してきた。


イノベーターとしてはアップルの方がよく知られているかもしれないが、アマゾンもそれに劣らぬほど大きな影響をデジタル世界の仕組みに及ぼしてきたと言えるだろう。しかも、アマゾンは実験の姿勢を持ち続けている。特定の事業に携わる企業という自己像にとらわれず、インターネット検索からロボット工学、映画製作やテレビ開発といった分野にまで手を出している。


それどころか、とりわけ楽観的な人の目には、アマゾンは「長期的」という概念をアングロサクソン的資本主義に呼び戻しているように映るだろう。ウォール街が四半期決算や株の買い戻しにとりつかれている時代にあって、アマゾンは株主に対して、利益を出すか新分野に投資するかを選べるのなら、常に後者を取ると明言してきた。


他のハイテク大手が記録的な額の手元資金を抱え込んでいるのに対し、アマゾンはいまでも、投資すべき分野や革新すべき分野のアイデアを山ほど持っている。


そして、投資家も満足しているようだ。アマゾンの株価収益率(PER)は時に3500倍を超えることがある。アマゾンは経営幹部の報酬の大部分を株式で支払うことで、幹部の利益と株主の利益のバランスを取っている。アマゾンの給料は最高額で年17万5000ドルだ。




大きな品揃え、小さな税金


問題は、そうした美徳の多くが悪徳も伴っていることだ。アマゾンは不公平な競争という点で非難されている。悪質な雇用主であり、税金逃れをし、競合相手へ不当な圧力をかけていると責められているのだ。


アマゾンによれば、同社の米国倉庫の労働者の平均賃金は、大規模小売店よりも30%高いという。税金については、状況はもう少し微妙だ。アマゾンが納める税金は非常に少ない。その最大の理由は利益を上げていないからだが、税金の安い国での(合法的な)利益計上に極めて積極的に取り組んでいるからでもある。


アマゾンは長年にわたり、オンライン取引に対する売上税徴収に反対する運動を展開してきたが、最近は方針を変え、米国の各州で徐々に売上税を上乗せするようになっている。


競合相手に対する圧力に関しては、その大部分は資本主義の残酷なマジックに過ぎない。アマゾンは町の書店をつぶしているが、それは英テスコや米ウォルマートが食料雑貨店をつぶした経緯と変わらない――より安く、簡単な買い物の手段を提供しただけだ。


だが、独占規制当局は、アマゾンに市場の支配力を乱用させないように、臨機応変に対応する必要がある。


例えば、最近のアマゾンと仏出版大手アシェットの争いは、大筋では小売事業者と供給業者のありふれた諍いかもしれない。だが、電子書籍分野を支配する販売業者であるアマゾンがアシェットの刊行書籍の予約注文ボタンを消し、出荷を遅延するような行為は、ベゾス氏自身が強調する「顧客サービス」とは到底相容れない。




アマゾンに対する最大の懸念


恐らくアマゾンを巡る最大の懸念は、逆説的ではあるが、同社の長期的なビジョンがもたらす結果だろう。株主が利益を期待していない企業と競合するのは難しい。アマゾンの巨大な規模と、ゼロまたはマイナスの利ザヤでの経営を厭わない姿勢は、潜在的な競合の参入を阻む高い障壁となっている。このような経営を永遠に続けることは不可能だ。


懸念されているのは、競合相手が市場から撤退するのを待ち、それからアマゾンが価格を引き上げることだ。その場合には、規制当局は厳しく対応しなければならない。そうなれば、例えば中国のアリババなど、別の企業にチャンスが訪れ、一部の投資家はアマゾンが利益を出さなかったことを悔やむことになるかもしれない。


だが、その場合も消費者が得をすることになるだろう。これまでも実のところ、ベゾス氏の強気な新興企業が日常の暮らしの様々な面に手を広げていく間、得をしてきたのは概ね消費者だったのだ。






ファイアーフォン

米アマゾン・ドット・コムは18日、3D(3次元)の画像表示・認識に対応したスマートフォン(スマホ)「ファイアフォン」を発売すると発表した。
米通信大手AT&Tが2年契約199ドル(約2万円)で独占的に販売し、同日、予約を受け付け始めた。



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Firefly

Fireflyは、Amazonの携帯だからこそ意味がある。それは“物のShazam”のようなもので、あなたのカメラが見た物をAmazonで買えてしまうのだ!


撮ったらそれを買え

カメラが電話番号や本の表紙や商品のバーコードを見たら、Fireflyがその電話番号の完全な形や本の名前や製品を自動的に見つけ出す。


映画や音楽も分かる

カメラがテレビ画面を見たら、今映っている番組や映画の名前を当てる。Shazamのように、音楽の曲名も当てる。



Firefly専用の物理ボタンがある

Fireflyはデバイスの側面の物理ボタンで起動するから、カメラが物を見たらその直後に2〜3秒でそれをAmazonで買える。



写真のストレージは容量無制限

Fire Phone本体のストレージは32GBまたは64GBだが、AmazonのCloud Driveは無料で容量無制限だ。


メーデー! メーデー!

昨年Kindle Fire HDXが出たときは、最大の目玉がメーデー機能(救難信号)だった。一度タップするだけでAmazonのカスタマサポートの人が画面に現れて、あなたを助けてくれる。Fire Phoneにも、その機能があるのだ。


視界が動く3D効果

単なる立体写真ではない。あなたの顔〜頭が右へ動けば右から見た像になるし、左へ動けば左からの像になる。上下に関しても同じ。Amazonはこれを、ヘッドトラッキング機能(頭を追跡する機能)と呼んでいる。


なんでも3D

フロントカメラがつねにユーザの頭の動きを追っているから、写真でもロック画面でも、ありとあらゆるインタフェイスがその動きに追随する。なかなか感動的ではあるが、果たしてそれほど重要な機能かな。


SDKがある

サードパーティのデベロッパが自分のアプリやゲームから4つのカメラを利用して、3D効果〜頭追跡機能を実装できる。そのためのSDKがすでに提供されている。


Amazon Primeのエコシステム

Fire PhoneはAmazonのPrimeアカウントに統合されている。だからInstant Video、Prime Music、Kindleのeブックなどなど、PrimeのコンテンツのすべてにFire Phoneからアクセスできる。本来は有料のアカウントだが、Fire Phoneを買うと1年間、無料で優待される。



       

 グローバル・エクイティ・リサーチのトリップ・チャウドリー氏は、アマゾンが発表したことのすべて、特に拡張現実能力を持ったかのようにカメラを通じて世の中の物体を認識し、それをネットで購入できるようにする「ファイアフライ」サービス、ウェブページの自動スクローリングなどを含むさまざまな特徴的機能を可能にする複数のカメラの使用は期待していた通りだったと述べた。


シティバンクのマーク・メイ氏は、「ダイナミック・パースペクティブ動作追跡、3Dイメージ性能、ファイアフライのインタラクティブスキャンと商取引アプリ、そしてアマゾン・プライム・サービスの12カ月間無料といったセールスポイントは、競合製品に対してかなりの魅力があるとわれわれはみている」と書いている。


 とはいえ、それがアマゾンにどれほど貢献するかに関して、同氏は過大な期待を抱きたくないという。


 「初出荷分の300~500万台、最初の1年間の1000万台はハードウエアの売上高の伸びやプライム・サービスの新規会員数を後押しし得るが、ハードウエアの利益幅はかなり小さいか無に等しく、アマゾンはハードウエア市場の長い混乱の歴史も経験していない。


したがってわれわれは、アマゾンがイノベーション、自社のデジタル・メディアや商取引の足場の構築に継続的に投資すること、この製品にキンドル・ファイアやストリーミング装置ファイアTVの売上高と販売台数の拡大にハロー効果をもたらす可能性があることを評価するが、現時点でファイアフォンの可能性に期待し過ぎるということもしたくない」。





アマゾン、電子通貨ビジネス拡大

 米電子商取引大手アマゾン・ドット・コムは数年内をめどに自社のサービス内で運用するデジタル通貨の用途を広げる。欧米でのゲームの購入などに加え、先進国でネット通販の決済などにも使えるようにして利便性を高める。物販からコンテンツ配信まで手掛ける巨大な市場規模を生かし、「アマゾン経済圏」を自社通貨で補強する。


 アマゾンは昨年から、米で同社のタブレット(多機能携帯端末)「キンドル・ファイア」の新製品を購入した特典として、ソフトの購入に使える自社通貨「アマゾン・コイン」を提供し始めた。今年に入り、自社端末だけでなく、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したスマートフォン(スマホ)やタブレットなどの端末でも使えるようにした。


 さらに5月に米英独のみだった利用可能地域をフランス、イタリア、スペインなどにも拡大。今後、日本などにも展開地域を広げる計画だ。アマゾンはデジタル通貨を使い、コンテンツに限らず様々な商品で自社が管理できる決済手段を経由した取引を増やす。取引の拡大やマーケティング情報の蓄積が期待できる。
 

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 アマゾンコインは販促のための簡易デジタルクーポンのような機能を持つ。約1年の有効期限はあるが、コインを決済に使えば消費者は1割安く商品を購入できる。一方、ソフト会社はアマゾンコインで支払われた売上高の7割を得る。コインを利用者に配り、ゲーム内でのアイテムの購入を促すなど販促の道具として使える。


 アマゾンコインは期限なしの条件で1コインあたり1セント(約1円)程度で直接購入することも可能で、価値は安定している。アマゾンは一定期間内のコインの量に制限を設けて、流通を調整している。友人に贈与できる仕組みを生かし、流通拡大を目指す。


 デジタル通貨としては人気ゲームの内部で、アイテムを買うためなどに使われるものが既に普及しつつある。コンテンツだけでなく、巨大な物販を手掛けるアマゾンが自社サービス全般に用途を広げることで、デジタル通貨の普及に弾みがつきそうだ。






音楽ストリーミング・サービス

Amazonプライムでまもなく音楽ストリーミングが開始されるという。このサービスがストリーミングするのはリリースされて一定時間後の楽曲らしい。サービスがスタートするのは6月か7月だという。


音楽ストリーミングは、既存のAmazonプライム、つまり無料の2日以内配送とビデオ・ストリーミング、eブックのレンタルにバンドルされて提供されるのだろう。


ただし新曲が即刻流れるわけでないので、RdioやSpotifyのユーザーが多くが乗り換えを急ぐようなことにはならないだろう。BuzzFeedによれば、当面提供されるのは発売後6ヶ月以上たった曲とアルバムだという。しかし新事業を小さく始めるのはAmazonの通例だ。


Amazonがビデオ・ストリーミングを始めたとき、タイトル数は限られており、Netflixのライバルというよりも既存のプライム・サービス契約者への「おまけ」といったおもむきだった。しかしユーザーベースが拡大するに連れてビデオのライブラリーも急速に充実していき、6年経った今ではコンテンツはNetflixに匹敵するほどになった。音楽ストリーミングの場合も多分同じコースをたどるのではないか。


アメリカにおけるAmazonプライムの料金は年額99ドルに値上げされたが、依然としてコストパフォーマンスは抜群だ。ことにHBOの番組が配信されるようになった点が大きい。音楽ストリーミングの開始でプライムの魅力は一段と増しそうだ。.






アマゾン、「Amazon Dash」を発表

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アマゾン(Amazon)は米国時間4日、バーコードスキャナーやマイクを搭載するショッピング用端末「Amazon Dash」を発表。同端末は、同社が米国の一部で展開する「AmazonFresh」サービスのユーザー向けに試験的に配布されるという。

          

「Amazon Dash」は、Wi-Fi経由でコンピューターやスマートフォンと連携する15センチほどのスティック状端末で、バーコードスキャナーで食品や家庭用品のバーコードを読み取ったり、内蔵マイクに商品名を話しかけることで、簡単に必要なものを注文リストに加えることができるという。


「AmazonFresh」はアマゾンが現在サンフランシスコ、シアトル、ロスアンゼルスの3箇所で展開している生鮮食品や家庭用品の翌日配送サービス。アマゾンでは2014年中に同サービスの提供地域を、米国内を中心に20都市まで拡げる予定だという。


アマゾンのウェブサイトによれば、同社は現在「AmazonFresh」ユーザーの中から「Amazon Dash」のテスターを募集しており、これに選ばれた一部ユーザーに試験的に無料提供されるという。


 <「Amazon Dash」はネットショッピングに革命を起こしそう

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日々のお買い物も、もっともっと楽になっちゃいます。


アメリカの一部地域向けに展開されている「AmazonFresh」は、肉や魚、バターに洗剤、トイレットペーパーなどなど普通のスーパーにあるような日用品と食品、飲料を、早ければ当日中にお届けするサービスです。大物小物千差万別なノーマルAmazonとは違う、いわゆる一つのネットスーパーです。


これだけならAmazonである必要性はありません。当日配達を行っているネットスーパーは他にもたんまりありますし。


Amazonにあり、他者にはない優位性。それを模索してのことでしょう。彼らはAmazonFresh専用お買い物デバイス「Amazon Dash」を公開しました。


バーコードリーダー&マイクが組み込まれた「Amazon Dash」は、パッケージのバーコードを読み取る、もしくは生鮮品名をマイクに吹き込むことで、AmazonFreshのカートに登録できるアイテム。最後の1クリック、チェックアウトはPCやスマートフォンでAmazonFreshにアクセスしなければなりませんが、細かい日用品をいちいちキーワード検索する手間が省けるだけでも価値あるでしょう。


スマホアプリでも同様の機能は持たせられそうですが、「Amazon Dash」のUIはバーコード読みよりとマイク録音の2ボタンのみ。冷蔵庫のドアにつけておいて、「そろそろマヨネーズが切れるかかな?」といったタイミングで即カートにダンクシュートです。


Internet of Things、ユビキタスネットワークの観点から見ても「Amazon Dash」って興味深くないですか?


Internet of Thingsはなんでもネットで繋げちゃえという概念で、従来はインターネット冷蔵庫とかインターネットエアコンなど、ネット機能つきのモノが中心でした。そこにクルマのテレマティクスなど、意識しなくてもネットの恩恵を受けられ、新たな社会基盤となるInternet of Thingsなサービスが浸透しつつあるのが、今日です。


「Amazon Dash」×AmazonFreshもまさにInternet of Thingsなサービスの一環。日用品の買い物という日常生活をよりネットにシフトさせ、ライフスタイルを一変させるポテンシャルがここにはあります。「チャーミーグリーンとネピアだけ注文して届けてもらうのも何かなあ」という申し訳ない系抵抗感が薄まるといった効果も期待できそう。


日本での展開はまったくもって未定(全米展開ですら先の先の先でしょう)ですが、これは期待せざるをえませんな! な!

 <Amazonという社会的インフラ> 


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Amazonは徹底的に利益を出さない企業です。利益は徹底的に投資し続け、新しい製品を投入しては企業価値を伸ばし続ける会社です。


CEOのジョフ・ベゾス氏の仕事のほとんどは、社内でプレゼンを聞き続けること。”次世代の主流”というものにアンテナを貼り続けて、その可能性に巨額の投資を続けています。


Amazonのすごさは結局のところ、この未来を感じて生み出す力。問題を解決するという領域を超えて、機会を発見して、それをライフスタイルごとガボっと入れこんでくる力です。


日本の企業にとって驚異と捉えられるところはあるわけですが、一つレイヤーをあげて考えてみると、私はこれらの大企業はいずれ人類のインフラと捉えられていくと思っています。


当然、その透徹した結論に到達するためには、一悶着二悶着ありますが、現在の”共有経済”という新しい資本主義のあり方が浮き彫りになるに連れて、その議論は大きくなっていくと信じています。


例えばですね、アメリカの最大手ホテルの部屋数よりも空き部屋共有サイトAirbnbの部屋数の方が多くなっています。この事態を数年前に一体だれが想像したでしょうか。


私は、ドローンで30分以内に商品を届けるAmazonの「Prime Air」も共有経済を加速するために利用されたらどれだけ良いかと思ったりします。


あらゆるものは、人類の共有資産となる。新しい社会のカタチが少しずつ見え始めています。




◇ アマゾン、有料会員向け動画配信が1年で3倍増

インターネット通販大手の米アマゾン・ドット・コムは、有料サービス「アマゾンプライム」の会員向けに配信する動画が前年同期比で3倍近くに増加したことを明らかにした。独自番組やコンテンツ開拓への多額の投資が実を結んだ。


 デジタル動画・音楽担当バイスプレジデントを務めるビル・カー氏は「プライム会員向けの優れたテレビ番組や映画へ何億ドルも投資したが、それが奏功した」と述べた。


アマゾンは先週、動画やゲーム、音楽をテレビにストリーミング(逐次再生)するセットトップボックス(STB)「ファイアTV」を発表した。これまでハードウエアでは、ロクなどSTBメーカーからの供給に頼っていた。


 アマゾンは政治家を題材にしたコメディードラマ「アルファ・ハウス」の放送などで、ネットDVDレンタル大手ネットフリックスへの攻勢を強めている。事情に詳しい複数の関係者は先に、アマゾンが新たな独自番組を先月選定したほか、広告を挿入した動画配信サービスの追加でより幅広い視聴者を取り込むことも検討していると語っていた。





産業の垣根溶かす革新力 アマゾン

米アリゾナ州フェニックスの自動車メーカー。倉庫のような建物に生産ラインはない。工具や部品と6台分の作業スペースがあるだけだ。Tシャツ姿のスタッフがiPadに映した設計図を見ながら車を組み立てる。


ベンチャーのローカルモーターズ。その車作りは自動車大手が1世紀かけて築いた方式と全く違う。世界中のデザイナーや技術者3万7千人がネットで車のアイデアを検討。採用者は売上高の2~5%を得る。2009年に発売した最初の車は9万9千ドルと高額ながら60台以上売れた。


 「大量生産はコストは安いが市場の変化への対応は遅い。車作りのイノベーションを加速する」。最高経営責任者(CEO)のジョン・ロジャーズ(40)は語る。


 人類の英知をネットで束ね、求められる商品だけ生産する。その手法は巨大企業も吸い寄せる。「製造業の新たな夜明けだ」。米ゼネラル・エレクトリック(GE)は3月、同社と提携した。


 狙うのはモノ作りの革新だ。大衆化した家電のイメージを刷新する。第1弾はこれまでにない夢の調理家電。機能、使いやすさ、デザインは? 技術者、科学者などがネットで議論し、今年後半にも発売する。1892年にエジソンが興したGEが自己革新を急ぐ。
 


 リーマン・ショック後の危機モードから脱し、企業が再び走り出した。だが古い手法の焼き直しでは通じない。世界中の情報が瞬時に得られる時代。消費者は画一的な商品にそっぽを向く。従来の常識や区分ではとらえられない革新力を持つ企業が今、強い光を放つ。


書店、小売り、コンテンツ会社……。1994年に誕生した米アマゾン・ドット・コムは様々な業種に進出する行動力をバネに成長してきた。


 「乞うご期待」。CEOのジェフ・ベゾス(50)が次に狙うのはスマートフォン(スマホ)への参入だ。実際、水面下でスマホ用基本ソフトに精通した技術者を集めており、年内にも格安の「アマゾンスマホ」を投入するとの噂が絶えない。


 「端末を売る時ではなく、利用者が使った時にお金を稼ぐ」。安い価格で端末を広め、ネット通販やコンテンツ配信で収益を得るのがベゾス流。世界2億4千万人近い顧客を持つアマゾンから格安スマホが登場すれば、モバイル経済圏の競争ルールは変化を迫られる。


 ITイベント「テコノミー」の主宰者デビッド・カークパトリック(61)が言う。「産業の垣根が崩れる破壊的な変化が起きている。技術を使いこなす以外に企業が生き残る道はない」


世界の株価の動きを示すMSCI世界株指数がリーマン後の安値を付けたのは09年3月9日。今年3月末までの上昇率は米国が2.8倍。2.2倍の欧州、1.6倍の日本を突き放す。米グーグルやアマゾンのように業種の壁を越えて膨張する企業がけん引役だ。


 経済学者シュンペーターはイノベーションの神髄を「創造的破壊」と説いた。予期せぬ事業が相次ぐ時代。自ら革新できなければ代償は大きい。


 「新旧逆転」は目の前の現実だ。空き部屋を貸したい人と借りたい人をネットで仲介する米エアビーアンドビー。192カ国に60万を超す物件が登録され、計1100万人が宿泊した。08年創業で企業価値は推定100億ドル。ホテル業界の名門ハイアットをしのぐ。


 中韓勢に押され経営立て直しに動くパナソニック。社長、津賀一宏(57)の危機感は強い。


 社長が中村邦夫時代のライバルはソニー、大坪文雄時代は韓国サムスン電子だった。だが自動車や住宅の強化を掲げる津賀に、もはや特定の業種の概念はない。あらゆる企業がライバルであり、組む相手となり得る。


 昨年5月、多忙な津賀があえて訪ねた会社が米国にある。米ノッティンガム・スパーク。既存技術を組み合わせて5ドルの電動歯ブラシを開発するなど「イノベーションを売る」会社だ。脱自前主義を掲げる津賀は革新力の回帰に策をめぐらす。


アマゾン、6月にもスマホ発表―9月末までの出荷目指す

インターネット通販大手の米アマゾン は今年後半にスマートフォンを発売する準備を進めている。発売計画の説明を受けた関係者が明らかにした。

 関係者によると、アマゾンはここ数週間、サンフランシスコや本社のあるシアトルの開発業者にスマートフォンを披露している。
アマゾンは6月末までにスマートフォンを発表し、年末商戦前の9月末までに出荷を開始したいと説明したという。

 特殊な眼鏡を使わなくても画像が3D(3次元)のように見えるスクリーンを搭載し、差別化を図る。
利用者の網膜を追跡する技術をスマホの前面の4つのセンサーに組み込んで、一部の画像が3Dのように見えるようにするという。

 アマゾンの広報担当者はコメントを差し控えた。

 スマートフォン市場では既存メーカーがしのぎを削っており、一時は人気を集めたブラックベリーやモトローラなどのメーカーは脱落寸前に陥った。
市場調査会社IDCによると、アップルとサムスン電子だけで世界市場の49%を握っており、新規参入の余地はほとんどない。

 アマゾンは現在、ハードウエアの設計・製造への事業展開を進めている。先週には動画などをテレビでストリーミング(逐次再生)するセットトップボックス「ファイ アTV」を公開。
また、家庭用のバーコードリーダーの配布を開始することも発表、利用者はパソコンにログインしなくても食料品などを再注文できるようになるとしている。
昨年はタブレット型端末「Kindle Fire(キンドルファイア)」の最新版を発売した。

 アマゾンの事業方針は他の多くの企業とは異なっている。ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は以前から、ハードウエアそのものから利益をあげるより、独自のハードウエアを通じたサービスの販売から利益を得たいと話している。



アマゾンが「お茶の間」制覇に乗り出した

Fire TVとは?


アマゾンは書籍のECサイトとしてスタートした。その後販売するものをCD、DVDなどのメディアや電気製品、ファッション、そして赤ちゃん向け用品などへと広げて、オンラインデパートの最高峰に位置している。アマゾンの決済サービスは、Kickstarterなどのほかのサイトからも利用できるよう解放するなど、ビジネスのプラットホームとしても有望だ。


また電子書籍デバイスと書籍販売のKindleを立ち上げ、iTunes Storeとともにコンテンツの電子的な配信へと時代を大きくシフトさせた。現在のキンドルファイアシリーズは、アンドロイドベースのタブレットとして、大きなシェアを確保するに至っている。コンテンツをネットを経由してモバイル端末で楽しむ、そんなエコシステムを作り上げた。


次は何か? そこで打ち出したのが、リビングルームのテレビに接続するセットトップボックス、Fire TVだ。


Fire TVは販売価格99ドルで、テレビに接続するデバイスだ。HDMI端子をテレビに接続し、Wi-Fi接続を行いさえすれば、すぐに使い始めることができる。


Kindle Fireシリーズのようにアンドロイドをベースに動作し、アマゾンが提供するストリーミングビデオサービス「Instant Video」だけでなく、ネットフリックスやHulu Plusといったストリーミングサービス、MLB、NBA、ESPNなどのスポーツチャンネル、ブルームバーグなどの経済やニュースチャンネルのコンテンツも見ることができる仕組みだ。


このあたりまでは、競合するRoku 3やApple TVと、価格面、できることなどは大差ない。Fire TVはクアッドコアのプロセッサと2GBのメモリ搭載しており、後発の分、競合製品よりも高いスペックを誇っている。


リモコンはBluetoothに対応しており、赤外線受光部を狙ってテレビに向けなくてもよい。そればかりか、音声入力に対応し、映画などのコンテンツを声で検索することができる。十字キーを駆使して文字入力をしたり、キーボードで入力するよりもずっとスマートだ。


また、無線のゲームコントローラーも39.99ドルで発売され、最大4つまでコントローラーを接続してゲームを楽しむことができる。ゲームは、ディズニーやEAなどのブランドのタイトルや、アップルのiPhone・iPad向けApp Storeのように、無料もしくは非常に安価なタイトルを、ダウンロードして楽しむことができる。



3つの問題解決


Fire TVをリリースしたアマゾンは、このデバイスにどんなゴールを持っているのか。3点を紹介したい。


一つ目は、複雑さを解消することだ。


アマゾンのプレスイベントの壇上に立ったKindle担当副社長ピーター・ラーセン氏は、リビングルームを模した会場で、ストリーミングデバイスで43%とトップシェアとなっているApple TVを例に挙げ、「Apple TVでAmazon Instant Video」が見られない点を指摘した。RokuではiTunes Storeで購入したコンテンツが見られないし、シングルコアのChromecastは貧弱なパフォーマンスだ。


つまり、現在、市場に最適なデバイスがまだ存在していないことを意味している。これは、iPadを前に攻め切れてなかったアンドロイドなど他社製のタブレットをよそに、Kindle Fireが大きなシェアを獲得したことに似ている。



iPadはイノベーターでありアップルというブランドがある。アプリの充実も背景にあった。しかしアンドロイドタブレットは、動機も、強いブランドもない。そこで、アマゾンは、電子書籍をはじめとしたコンテンツを楽しむという前提のデバイスとしてKindle Fireをリリースし、受け入れられた。リビングルームでも、オールマイティで目的性の強いデバイスによって、シェアを確保していきたい考えだ。


続いて、Amazon Instant VideoをはじめとするKindleエコシステムの利用向上だ。


アマゾンは、独自のストリーミングビデオサービスを立ち上げ、「Amazon Studio」製作のオリジナルドラマなども配信している。ストリーミングビデオ市場は年間350%の高成長市場だ。しかしKindle Fireシリーズの世界でのシェアは2%にとどまっており、それ以外のデバイスではアプリを介してアマゾンのストリーミングを楽しむことになる。ユーザーの活性化のためには、視聴するスタイルを多様化させる必要があり、リビングルームでの視聴は、大きな助けになるだろう。


Fire TVには「X-ray」と呼ばれる仕組みが備わっており、すでに利用しているKindle Fire HDXで見ていたコンテンツにテレビからアクセスできる。すでにKindleを使っているユーザーの利便性を高めることは、次のポイントにも通じる。


3つ目は、ユーザーのロイヤルティ向上だ。


Business Insiderによると、Kindleを所持しているユーザーは所持していないユーザーよりも、年間平均で443ドル多くアマゾンを介して購買するという。これはデジタルコンテンツに限らないデータだ。つまり、アマゾンのデバイスを使っているユーザーが増えれば増えるほど、ユーザー当たりの売り上げが向上する。Fire TVは「アマゾンのデバイス」の選択肢を広げることができ、売り上げ拡大に貢献する可能性が見込まれる。


グーグル、アップル、マイクロソフトとも競合へ


Fire TVの登場で、テレビのセットトップボックス市場は、新興のカナダRoku、アップル、グーグル、そしてXboxを擁するマイクロソフトが競合する市場へと変化した。アマゾンは「複雑性を解消する」という言葉どおり、現状のセットトップボックスでは解決できていない問題の解決に自信を見せている。既存のネットフリックスやHulu Plusといったストリーミングサービスから、Amazon Instant Videoへと、緩やかに移行してもらう道筋も取っていくだろう。


もうひとつ注目すべき点は、ゲーム市場だ。ゲーム市場は、任天堂、ソニー、マイクロソフトの3大勢力がテレビとポータブル市場で競合しているが、アップルやグーグルのスマートフォン、タブレットは、これまでのゲームとはまったく違うエコシステムを築いてきた。


Fire TVは、これまでのコンソールゲーム機と、モバイルデバイスとのちょうど中間のような位置でのゲーム体験を作っていくことになるのではないだろうか。当然、ネットワークを前提にしながらも、パワフルなプロセッサで表現力豊かな、大型テレビの画面にフィットする体験が広がるはずだ。


アマゾンがFire TVをリリースし、用途が限定されていて本気ではないと批判されているApple TV、小さいのはいいが性能も低いというChromecast、ゲーム機としての認識が強いXboxは、今後、どのような展開をしていくのか。


「複雑性の解消」というコンセプトはいいが、インターネット回線の帯域確保の問題、テレビ映像の問題、ゲームタイトルの充実など、決してリビングルームのネット化における問題が解決されているわけではない。また、放送やコンテンツが絡むと、国ごとに対応が変わっていることも確かだ。日本のユーザーがどのようなメリットを手にするか、もう少し待たなければならないだろう。




Amazon.com、広告付きのメディアストリーミングサービスを計画

 米Wall Street Journalは現地時間2014年3月27日に、米Amazon.comが広告付きのメディアストリーミングサービスを計画していると報じた。
メディア企業からライセンスを受けたテレビ番組や、自社オリジナルの番組に加え、ミュージックビデオを無料配信するという。Amazon.comは数カ月以内にサービスを開始する可能性があると同紙は伝えている。


 Amazon.comでは現在、商品配送優遇プログラム「Prime」の会員に対し、約4万本の映画/テレビ番組を追加料金なしで視聴できるストリーミングサービス「Prime Instant Video」を提供している。


Wall Street Journalによると、新サービスはこの戦略とは異なる。
同社はネット通販企業からマルチメディアの一大勢力に変貌しようとしており、広告付きビデオサービスはその一環という。


 また同社には、一般向けのビデオ配信サービス「Amazon Instant Video」がある。
同サービスはパソコン、タブレット端末「Kindle Fire」シリーズ、iOS向けアプリケーション、「Xbox 360」などのゲーム機、他社製STBやテレビなどで利用できる。
しかし今後はこの形態に変化が表れると同紙は伝えている。


 Amazon.comは3月27日に、翌週ニューヨークで開催するイベントの招待状を報道関係者に送った。
ここでかねて噂されていた映像配信端末を発表すると見られている。
Amazon.comは自社専用端末を用意し、米Googleの「Chromecast」や米Appleの「Apple TV」などの他社端末に対抗するという。


 Amazon.comがどのような形で広告付きストリーミングサービスを提供するのか具体的なことは分かっていない。
その一方でWall Street Journalは事情に詳しい関係者の話として、新サービスや映像配信端末は先ごろ値上げを発表した「Prime」の会員つなぎとめに向けた取り組みでもあると伝えている。


このほかAmazon.comは、新サービスが商品の販売増につながると期待している。
従来の購入履歴、検索履歴に、コンテンツ視聴履歴という新たなデータを加えることで、これまで以上に顧客のニーズに合った商品推奨が行えるという。



競合を見るな、顧客を見ろ

インタビュアー:Amazonの目的は、世界一大きい小売業者になることだと思う。それ以外にも何かある?


ベゾス:我々のゴールは「世界一の顧客志向の会社」になることだ。


インタビュアー:それってどういうことなの?


ベゾス:例えばSONY。第二次世界大戦後にSONYを創設した盛田さんは、会社の目標を、日本製品を『品質の良さ』で世界的に有名にすることだった。忘れないでほしいのは、この時期の日本製品は“壊れやすい偽物”として有名だったこと。だから盛田さんはSONY製品の品質の良さを有名にするのではなく、日本製品の品質の良さを有名にしたいと考えた。


彼はSONYそのものよりも大きな目標を建てた。私たちの言う「世界一の顧客志向の会社」というのは、盛田さんの目標と似ている。他の会社のように競合会社に夢中になるのではなく、顧客を見ていくべきだ。だから私たちは取り扱う商品の種類を増やしたり、商品管理を重視したりしてきた。


何かを作り出すのであれば、いろいろな所からの批判を我慢しなくてはならない。Kindleは良い例えだ。すでに500年前からある産業の再発明に一生懸命取り組んでいるだけだから、それに対して反対する人も出てくる(笑)
 
インタビュアー:ウォルマートが本気でオンライン販売を始めた時に、多くの人、特に株主はAmazonが潰れると考えた。でもそんなことは起きなかった。なぜか?


ベゾス:顧客への対応を丁寧にやったからだろう。私たちがAmazonを立ち上げて最初の3年間、Amazon.con(詐欺師)やらAmazon.bomb(爆発)やらとよく揶揄された。


例えば、私はKindleがiPadに脅かされることはないと言っているが、なぜかそういった批判記事がひっきりなしに出る。なぜiPadが我々にとって脅威にならないのか、私ははっきりと伝えている。Kindleは139ドルの商品で、日光が反射しても画面が見やすい。そして軽いため片方の手で持てるし、バッテリーは1ヶ月間もつ。こういった商品が139ドルで買える。買おうとしない人はいないだろう。


インタビュアー:ウォルマートの話に戻りますが、あなたは世界一の小売業者からの挑戦を受けて、なぜ乗り越えられたんですか?


ベゾス:我々が「依存」と思われるほどに、顧客のことを考えているからだ。


インタビュアー:ウォルマートだって顧客のことをよく考えてるじゃん。


ベゾス:いや、やり方が全然違う。私たちのやり方には重要なところが3つある。「選択」「低価格」「素早い配達」だ。


インタビュアー:ちょ、ちょっと待って。ウォルマートの商品だって安いし、早く届くし、便利じゃない?


ベゾス:Amazonの方がより多くの商品を売っているし、そしてオンラインのみで売っているために、多くの場合、実店舗よりも安く購入できるようになっている。


顧客にとっては私たちの利益などどうでもいい。だから私たちは利益を得るために物の値段を決めるのではなく、他社より安くするために物の値段を決めている。もし、それで赤字になっても問題ない。顧客との信頼関係は育つから。利益のことはそのうち解決方法が見つかる。もしどうしても利益にならない場合は、その商品の販売をやめればいいだけだ。


インタビュアー:でもKindleは赤字でしょ?


ベゾス:新しいプロダクトはだいたい時間がかかる。ほとんどの場合、最初の5〜7年の間は影響がないか、悪い影響があるかどっちかだ。だから私たちはさまざまな新規事業を展開している。会社が金銭的に順調である今は、積極的に進めている。すべてが顧客のことを考えてきた結果だ。


Amazon.con(詐欺師)とか言われていた頃は、従業員が150人くらいしかいなかった。一方でバーンズ&ノーブルは3万人くらいいた。どこかの記事で、「Amazonは2年ほど頑張ってきたけどバーンズ&ノーブルの進出によって潰れるだろう」という論評が出た。


そこで全社ミーティングを開くことにした。150人、みんなでね。従業員の全員がその記事を読んでいたし、従業員の親も読んでいた。その親からも電話がかかってきて、「大丈夫なのか?」とよく聞かれていた。だから全員参加の会議を開いて、「他社のことを恐れるな。お金を出して商品を買ってくれるのは競合他社ではない。顧客だ。顧客のことに集中しよう」と言った。


ウォルマートといったライバル企業の成功が我々の成功を妨げるわけではない。小売業界はもの凄く大きいし、成長している。だから、競合と戦うことに意味はない。商売をスポーツに例える人がよくいる。必ず勝つ人と負ける人がいると。だがほとんどの場合、勝敗は無関係だ。私の考え方としては、我々が成功するにあたって他社が失敗する必要もないと考えている。電子書籍にしてもそうだ。市場自体が成長し、複数の勝者が現れるだろう。


インタビュアー:現在、Amazonにはバーンズ&ノーブルやSONY、Appleなど多くのライバル社がいる。


ベゾス:50社以上の競合を知っている。競合の動きに注目はしているが、夢中になったりはしない。我々は消費者に対して夢中になる、商品を購入してくれるからだ。




利益率たった1%で突き進むアマゾンの奇才経営者

アマゾン・ドットコムのCEO(最高経営責任者)、ジェフ・ベゾスはクリスマス商戦を目前にして、自動操縦のミニヘリコプター(ドローン)で空中から商品を配達する「プライム・エアー」という構想をテレビ番組の中で公開した。もちろん法的規制を考えただけでも実用化されることは当分ありそうにないが、アマゾンが公開した動画はあっという間に1300万回も再生された。


 一見破天荒なアイデアをブルドーザーのようなパワーで最後には実現してしまうことで知られているベゾスのこと、そのうち本当に玄関にアマゾンの配達ドローンが飛んでくるようになるのかもしれない。ジェフ・ベゾスはスティーブ・ジョブズ亡き後、その後継者と目され、動向が常に注目を集めている。ジェフ・ベゾスとはいったいどういう人物なのか?


アマゾン・ドットコムはいろいろな意味で型破り、かつ謎が多い企業だ。書籍、おもちゃ、カメラ、電気洗濯機をオンラインで売り、Kindleタブレットを独自に製造販売する一方で、世界最大級のクラウド・コンピューティング・サービスの提供者でもある。最近はIBMを退けてCIA(アメリカ中央情報局)から大規模な情報共有システムの構築を受注して注目されている。アマゾンはなぜ一見無関係とも見える分野に貪欲に進出するのか?



 もう一つ、アマゾンには大きな謎がある。グーグル・ファイナンスによれば、2014年1月のアマゾンの時価総額は1814億ドル(約19兆円)、従業員8万8400人と、どんな基準からみても世界的大企業だ。ところがその営業利益率は非常に低く、このところ1%を上下している。マイクロソフトの34%、アップルの28%など巨大テクノロジー企業の営業利益率と比較にならないのはもちろん、同じ小売業のウォルマートの6%、ターゲットの7%に比べても格段に低い。


 しかし、アマゾンの株価は2008年11月に38ドルの安値を付けて以降、一本調子で上がり続け、現在は400ドル前後になっている。これほど低い利益率でなぜ株価が5年で10倍以上になるのか?


 こういった謎を解く鍵は、アマゾンの創業者、会長、社長、CEOにして最大株主のジェフ・ベゾスにある。。『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』に、ジェフ・ベゾスのこんな言葉が紹介されている。



☆我々は正真正銘、顧客第一ですし、正真正銘、長期的です。また、正真正銘、創意工夫を重視しています。ほとんどの会社は違います。顧客ではなく、ライバル企業のことばかり気にします。2年から3年でリターンが得られることばかりやりたがりますし、2~3年でうまくいかなければほかのことを始めます。新しいことを発明するより、誰かの発明をまねするほうを好みます。そのほうが安全だからです。これがアマゾンが他社と違う理由であり、アマゾンの実態です。この3要素をすべて備えている企業はほとんどないのです。
――『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』プロローグより



実はアマゾンの顧客第一主義と長期的な視点を個人的に実感したのが、私がアマゾンに興味を持ったきっかけだった。もう7年近く前になるが、アメリカのアマゾンで日本では発売されていない映画のDVDを注文したことがある。カタログには「リージョンフリー(世界中どこの地域でも再生できる)」と表示されていたのに、届いたDVDはリージョンが違っていて再生できなかった。アマゾンのカスタマー・センターに「返品したい」とメールすると、3時間ほどで「代金は返金する。DVDを送り返す必要はない」という返事が返ってきた。「通販は便利だが、ひとたびトラブルがあると厄介なもの」と思っていたのでこの迅速な対応には正直、驚いた。


2012年にre:Inventという開発者向けカンファレンスでベゾス自身がアマゾン経営の哲学をユーモアを交えて語ったビデオが公開されている。少し長くなるが内容を訳して引用してみよう。


☆私はよく「5年後、10年後には何が変わっているだろうか?」と尋ねられる。しかし本当に重要な質問は「5年後、10年後にも何が変わっていないか?」だ。なぜなら、ビジネスの根本を長期にわたって不変な原則の上に建てることができるからだ。今から5年、10年経ってユーザーが私のところに来て「ジェフ、値段をもっと高くしてくれないか」ということは想像できない。「配達を遅くしてくれ、品揃えを少なくしてくれ」などということもあり得ない。低料金、速い配送、幅広い品揃えは何十年経ってもユーザーが望むものだ。
高利益率ビジネスはうらやましい。しかし高利益率ビジネスからは日本人の言うカイゼン、効率化は生まれない。なぜならその必要がないからだ。必要は発明の母だ。18年にわたってアマゾンはリーンな低利益ビジネスを追求してきた。それはアマゾンの文化だ。



「顧客第一」と口先で言うことはやさしい。しかし、赤字覚悟の低料金で大規模な新事業をスタートさせたり(もっと細かいところではユーザーに返品を求めずに返金するようなカスタマーサポートのポリシーを設定したり)するのは難しい。それを18年にわたって続けるのは至難の技だ。


ほかにも『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』では、ジェフ・ベゾスの長期的で顧客第一の戦略の数々が紹介されている。そのいくつかを紹介しよう。


 ドットコム・バブルの破裂でIT企業が軒並み倒産する中、2000年夏にはアマゾンの株価も3週間で半減するなど苦戦が続いていた。


☆この年の7月、シリーズ4作目となる『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』が出版された。アマゾンは40%の値引きとともに、配本日の7月8日土曜日に顧客が受けとれるよう、通常配送料金でお急ぎ配送を提供するとした。1冊あたり何ドルかの損失が出る条件で25万5000冊ほどもの注文を受けたわけで、話題作りには損失が大きすぎるとウォールストリートは渋い顔だった。
――『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』第4章より



総額100万ドル(約1億円)の赤字が予想されたがベゾスはひるまなかった。結果としては、顧客から感謝の声が上がり、700件を超えるアマゾンに好意的な報道があり、大きな効果を上げた。ベゾスは賭けに勝ったのだ。


電子書籍Kindleスタート時のコンテンテンツの価格設定は、もっと大規模な例だ。


☆人気の書籍や新刊書はデジタル版をすべて9ドル99セントの均一価格で提供するとベゾスが決めたのだ。(中略)たとえば30ドルの本なら15ドルで出版社から仕入れるわけで、それを9ドル99セントで売れば、売れば売るほど損することになる。それでいいというのがベゾスの考え方だった─出版社は、出版の費用が少ない分、電子書籍の卸売価格を下げざるをえなくなると予想したからだ。それまでのあいだは、ベゾスお得意の未来に対する投資というわけだ。
――『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』第8章より



この販売価格は出版社からの仕入れ価格を大幅に下回っており、売れば売るほど赤字になるはずだった。ぎりぎりまでこの価格を知らされなかった大手出版社は激怒し、長く続くKindle戦争が勃発する。それでも、Kindleの低価格は顧客に喜ばれ、電子書籍が普及する後押しとなった。


 もちろんベゾスの「顧客第一主義」は単に博愛の精神から出たものではない。「顧客第一主義は顧客のためになると同時に長期的に見て、アマゾンの利益になる」という確信から生まれたものだ。また、低利益率の追求には顧客の満足以外にもきわめて戦略的な隠れた目的があった。次回で紹介するが、ベゾスはスティーブ・ジョブズを非常に尊敬していたが、にもかかわらずiPhoneを高利益率ビジネスにしたことをジョブズの大きな失敗と考えていたのだった。





アマゾンの超速配送を支える“逆転の発想”

 キヴァ・システムズと言う名前は聞いたことがなくても、アマゾンの配送センターを支えている技術と言えば、誰でも聞き耳を立てたくなるだろう。しかもキヴァ・システムズはただの技術ではなく、ロボット技術でアマゾンの競争力を背後からサポートする。ミック・マウンツは、そのロボット技術を考案した人物だ。

マウンツがキヴァ・システムズを創設したのは2003年。2012年にアマゾンは同社を7億7500万ドルで買収した。その技術にほれ込んでのことだ。


それでは、キヴァ・システムのロボットはいったい何をするのか。簡単に説明しよう。


これまで配送センターでは、作業員が忙しく倉庫内を歩き回るのが普通だった。商品はそれぞれの棚に整頓されているが、オンライン・ショッピングなどで客が注文する商品はまちまち。作業員は方々の棚に商品を取りに行くのが当たり前だった。複数の商品が注文されると、それらがまとまって並んでいることはまれなので、その場合は箱を持っていくつもの棚へ向かわねばならなかった。


やや進んだ配送センターならば、ベルトコンベヤーを設置したりして、作業員が歩き回る範囲を担当ごとにうまく区切り、歩き回る無駄な時間を多少はカットしていただろう。それでも、商品があるところへ作業員が向かうというのが前提だった。


キヴァ・システムズはこれを逆転させた。つまり作業員の元へ商品がやって来るのだ。それを運んでくるのがロボットだ。


ロボットと言っても、同社のロボットは低い箱のようなかたちをしている。別に手足がついているわけではない。だが、やることは強力だ。何と言っても、商品の入った棚をそのまま持ち上げる。そして棚ごと作業員の元へ持って来る。作業員はその棚から商品を抜き取り、目の前に準備された箱に詰めるだけだ。複数の商品が注文されていれば、複数のロボットが複数の棚を順々に持って来るので、それを順々に詰めるだけ。用事が済んだ棚は、ロボットがまた元へ戻す。


要は、これまで商品中心主義で運営されてきた配送センターを作業員中心主義にすることによって、人間の作業の無駄を省き、その代わり疲れを知らないロボットに延々と働いてもらおうというわけだ。発想の逆転とは、こんなことを指すのだろう。作業員の仕事はこのロボットによってかなり効率化され、これまでの2~4倍の発送ができるようになるという。


もちろん、キヴァ・システムズのロボットをうまく動かすためには、優れたソフトウエアが必要だ。倉庫の中では、何十台、何百台というロボットが走行しているのだが、決して互いにぶつかることはない。ロボットが読める信号を配したシールが床にグリッド状に張られており、何百台のロボットがいても、それぞれが空いたシールを目指して走行する仕組みだからだ。


注文に従って、どのロボットがどの棚を取りに行くか、どの作業員の元へ届けるかも指令される。その指令によって、間違いなく正しい棚が正しい作業員の元へ運ばれて来る。


そして、作業員の手元では、複数の注文を一度に箱詰めすることができる。というのも、やってきた商品のバーコードをスキャンすれば、入れるべき箱のランプが点灯するという仕組みになっているからだ。いちいち注文内容を確認しなくても、すべてはソフトウエアがやってくれるというわけだ。


キヴァ・システムズがアマゾン以外にも、オフィス製品、デパート、日用品などの配送センターで広く使われているのは、逆転の思想によって考案されたこのロボットとシステムが、これまでの面倒な作業を大幅に軽減し、間違いも少なくしてくれるからである。


今では、こんなに評価されているキヴァ・システムズだが、マウンツが創業しようとしたときには、資金集めに苦労したという。ベンチャーキャピタル会社が多く集まるシリコンバレーのサンドヒル・ロードにもやって来て、アイデアと技術をプレゼンテーションして回ったが、軽く50件は断られたという。


ようやく集めた資金を大切に使いながらロボットを開発した。そして、一つひとつ段階を経ながら、これまで着実に前進してきた。当初から6~7年先のロードマップを描き、すべてを一度に完成させようとするのではなく、つねに改良を重ねるという考え方で会社を運営してきたようだ。


マウンツは、マサチューセッツ工科大学で機械エンジニアリングを専攻し、ハーバード大学ビジネススクールでMBAを取得。モトローラでキャリアをスタートさせた後に、アップルに3年間在籍し、製品マネジャーとして、ファイアーワイアーや3Dグラフィックス開発にかかわった。


配送センターの技術に触れたのは、ウェブバンというスタートアップにかかわったときだ。ウェブバンは今でもよく語り草になるドットコム・バブル時代の大失敗例。客がオンラインで注文した生鮮食料品を、トラックで届けるというサービスサイトだった。大掛かりな機械を装備した倉庫を建設したものの、売り上げとこの倉庫のコストとの折り合いがつかず、倒産。アイデアは悪くなかったのだが、実現可能性が低かったというビジネスの一例だ。


その後、もっと効率的に配送センターを運営できないものか。ずっと考え続けてきたマウンツの頭にひらめいたのが、一度導入してしまえばせっせと仕事するばかりのロボットを使い、配送センターの運営方法を逆転することだったのだ。


マウンツは、「配送センターを並行処理のコンピュータのように考えている」と言う。配送センターの内部では、中央にあるのは棚だけで、発送作業員は周りに配置される。大部分の床面積の上は、多数のロボットが忙しく行き来する場所だ。こうして何工程ものプロセスが同時進行する。そのおかげで、1人の作業員が休憩を取ったからと言って、ほかに遅れを及ぼすわけではない。


発想の転換によって、配送センターという古くさい場所をデジタル時代にフィットさせたマウンツの功績は、かなり大きいのだ。




アマゾン、独自配送を実験

米アマゾン・ドット・コムの将来はサンフランシスコの駐車場のありふれた光景に潜んでいる。

アマゾンは最近閉鎖されたスタジアム「キャンドルスティックパーク」の近くで、「ラストマイル」と呼ばれる消費者宅までの最後の配送区間について独自の配送実験を行っている。アマゾンの契約業者が運転する、同社の小包を積んだトラックがこの駐車場からサンフランシスコ一帯の家庭や事業所に向けて出発する。アマゾンはロサンゼルスとニューヨークでも同様の取り組みを進めている。

昨年のクリスマスシーズンの配達遅延で痛手を受けたアマゾンは、商品を自社で配達することでショッピングの過程を一層管理できるようになる。配達スケジュールも柔軟になり、昨年29%増加した配送費用の抑制に寄与するだろう。証券当局への報告書によると、アマゾンの配送費用は2009年から毎年増加している。

同じように重要な点は、アマゾンが電子商取引の至高の目標に近づくということだ。商品が購入当日に手元に届けば、消費者が実店舗に出かける必要性は薄れる。アマゾンは自前のトラックで配達すれば、深夜や時間指定の配達に対応できるようになりそうだ。

米UPS、米フェデックス、米郵政公社(USPS)など、アマゾンの小包の大半を取り扱っている宅配サービスには警戒信号が灯る。

アマゾンの元幹部によると、アマゾンは他社の小包も取り扱う本格的な物流会社に変身する可能性がある。ただ、そうなる場合でも実現は何年も先だという。

アマゾンが目標を達成できるかどうかは不透明だ。業界関係者は、アマゾンが一地域で配送する小包の絶対量が少ないとして、効率ではUPSやフェデックスに対抗しにくいとみている。

アマゾンは昨年終盤に米国でひそかに独自の配送網を立ち上げた。顧客サービス担当者や元従業員によると、「AMZL」と「AMZN_US」というラベルのついた小包は社内配送ネットワークの利用を意味する。そうした小包を受け取った顧客によると、他の配送業者へのリンクはなく、別の荷物追跡システムを使っているようだ。

アマゾンの次の目標はサンフランシスコ湾のトレジャー島だ。この件に詳しい関係者によると、アマゾンはこの人工島の用地をリースしてトレーラーやトラックの拠点とし、そこからサンフランシスコ一帯に小包を配達することを検討している。

アマゾンが最近ウェブサイトに掲載した求人情報に、配送システムに関する計画が垣間見える。アマゾンは「われわれの成長ペースは、当社の小包の大半を配達するUPSとフェデックスより速い」と述べた。また「これを踏まえると、アマゾンは従来型の物流業者に頼り続けることはできない。頼り続ければ、われわれの成長は制限され、費用が膨らみ、配送能力の技術革新が遅れるだろう」と述べた。

アマゾンは米国での取り組みに先立ち、英国で配送実験を行っている。ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は今月、株主宛ての年次書簡で「われわれは英国に独自のラストマイルの配送網を作った。ここでは商業運送業者は当社のピーク時の荷物量を処理できない」とし、「さらに革新を続ける」と述べた。

アマゾンのデーブ・クラーク副社長は昨年11月に、ロンドンで自社のトラックを使って日曜日に配達すると述べていた。

アマゾンの小包は通常、流通センターからフェデックス、UPSか地方運輸会社の主要拠点に輸送される。これらの輸送業者は消費者宅に商品を届けるまでの最後の区間を自社で手掛けるか、USPSに任せるかのどちらかだ。アマゾンは昨秋、米国での日曜配達を始めるためにUSPSを利用すると明らかにしていた。

事情に詳しい2人の関係者によると、アマゾンは数年前に独自の配送網を企画し始めたが、昨冬にUPSとフェデックスがアマゾンの小包を注文通りクリスマスに間に合うように配達できなかったことでプロジェクトの緊急性が高まった。

サプライチェーンや物流の専門家の見方では、アマゾンが独自の配送網を拡充するとすれば、当初は割安で柔軟な地方運送業者を利用する公算が大きい。その場合、UPSとフェデックスの取扱量は減りそうだ。

サンフォード・バーンスタインの試算によると、アマゾンが昨年、米国で出荷した小包は約6億0800万個。その35%をUSPS、30%をUPS、18%を地方運輸業者、約17%をフェデックスが配送した。この割合は数年前からあまり変わらない。

UPSとフェデックスはここ5年間、陸送料を毎年平均3~5%引き上げてきた。これがアマゾンにとって独自の配達サービスを開発する動機になったと業界関係者はみている。アマゾンは今年、輸送費の増加を理由に、米国での無制限の当日・翌日配達サービス「プライム」の会費を20ドル(25%)引き上げた。

専門家によると、アマゾンが小包1個の配達に支払う料金は2~8ドル。最も低価格なのはUSPSで、最も費用がかかるのはUPSとフェデックスだ。

アマゾン独自の配達には問題も起きている。英国では配達の遅れや間違いの報告が消費者から相次いでいる。配送子会社「アマゾン・ロジスティクス」に割り当てられた数個の小包がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のサンフランシスコ事務所に到着したのは、保証された配達日の数日後だった。

 サンフランシスコ在住のデビッド・スタイグマン氏は最近DVDを2回注文したが、「AMZN_US」の荷物追跡情報のついた小包の配達は2回ともアマゾンの約束した期限より遅れた。




アマゾン、動画ストリーミング装置を4月に発売

 米ネット通販大手アマゾン・ドット・コムは4月初旬、自社サイトや米家電販売チェーン大手ベスト・バイ、米事務用品小売り大手ステープルズを通じて待望の動画ストリーミング(逐次再生)装置を発売する。同社の計画に詳しい関係筋が明らかにした。


 この装置は米ロクや米アップルのセットトップボックス(STB)で利用可能な多様なアプリが搭載されるほか、アマゾンのタブレット型端末「キンドルファイア」など米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した端末にも対応するという。ロクはスティック型のストリーミングプレーヤーで、その最も人気のアプリには動画配信サービスのネットフリックスやフールー、音楽配信サービスのパンドラ、アマゾン独自の動画ストリーミングサービスなどがある。


 価格は不明だが、関係筋によると、動画ストリーミングやお得な配達サービスが受けられる「アマゾンプライム」の会員向けに何らかの販売促進策が提供される可能性がある。アマゾンは先週、動画の権利取得コストの上昇などを理由にプライムの年会費を20ドル値上げし、99ドル(約1万円)にすると発表した。


 アマゾンはこの装置で競争がし烈化しているSTB市場に参入することになる。現在、同市場ではロクやアップルTV、アマゾンのサイトで最も売れているグーグルの「クロームキャスト」が競争を繰り広げている。ロクのストリーミング装置の価格は安いもので50ドル、一方クロームキャストは35ドルだ。


 しかし、この製品によってアマゾンは家庭進出への足がかりを得ることができる。同社は独自の動画ストリーミングサービスを提供し、オリジナル番組も制作している。しかし現在のところ、このサービスは他社の端末でしか利用できず、広告やアプリのダウンロード収入、消費者の履歴データを逃すことになっている。


 この件について、アマゾンの広報担当者はコメントを控えた。


 動画ストリーミングは同社にとって重要な新事業になりつつあり、ネットフリックスやフールー、米メディア大手タイム・ワーナー傘下のケーブルテレビ(CATV)HBOと視聴者を奪い合っている。


 また、プライム会員向けに無料配信した政治コメディードラマ「Alpha House」の昨年の成功を受け、オリジナルの新番組を相次いで制作する予定だ。


 さらに、事情に詳しい関係筋によると、プライム会員向けにオンデマンドの音楽ストリーミングサービスを提供することを目指して、ここ数週間レコード会社や音楽出版社とも協議しているという。


 関係筋によると、アマゾンはストリーミング装置の試作品を一部のアプリ開発会社に渡している。また、装置の名前はタブレットにも使用している「ファイア」が付く可能性があるという。


 テクノロジー関連のニュースを配信する「テッククランチ」は17日、アマゾンのストリーミング装置はクロームキャストに似たドングル型のものだと報じた。クロームキャストはテレビの端子に差し込んで使用する装置で、USBメモリーのような形をしている。


 ただし、アマゾンの計画に詳しい関係筋は、財務面や性能面、その他何らかの理由で発売計画が見直される可能性もあると警告した。


 ストリーミング装置の開発は少なくとも昨年4月から進められていた。計画に詳しい関係筋によると、装置にはシンプルなリモコンが同梱(どうこん)される予定だという。ただし、今月報道されたところによると、アマゾンはそれとは別に、より高性能なリモコンも発売する可能性があるようだ。


 アマゾンは昨年、同社の最新のタブレットをテレビと接続し、リモコンのように使用する方法をデモで紹介している。




アマゾン、アマゾンサイト敬遠業者の取り込み目指し

インターネット通販大手の米アマゾン・ドット・コムは、Jクルーのカーキパンツ、ラルフローレンのポロシャツ、それにロード・アンド・テイラーのスーツをアマゾンのサイトに掲載することを目指して協議を行っている。この協議に詳しい人々が明らかにした。

彼らによると、この協議にはアパレル大手のアバクロンビー&フィッチや高級百貨店のニーマン・マーカス・グループなど、およそ10社の有名小売業者が参加している。アマゾンは協議を通じ、アマゾンのオンライン市場を避ける傾向のある小売各社を取り込みたいと考えている。

アマゾンは商品を直接販売することにはならない。つまり、掲載されたページは小売業者自身のサイトにリンクされる見通しだ。合意に達すれば、小売業者のトラフィックが増える一方で、アマゾンが得られる顧客データが増えるほか、配送プログラム「プライム」の魅力が高まる。アマゾンはプライムの料金引き上げを計画している。

小売業者にとってアマゾンとの合意は悪魔との取引のようなものだろう。2億4000万人近くの顧客データを持ち、新たな取り組みで損失を出すことをいとわないアマゾンは、ライバルだと広く恐れられている。アマゾンのサイトで商品を販売する業者でさえそうだ。

コンサルティング会社カート・サーモンのシニアパートナー、ブルース・コーエン氏は、「大半の小売業者は、アマゾンを友人であると同時に商売上のライバルだと考えている」と話し、「アマゾンについて難題の一つは、サイトにおける商品の配置、外観、それに画像といった広告手法をアマゾンがコントロールしていることで、それは多くの小売業者にとってアマゾンに明け渡しにくいものだ」と述べた。

事情に詳しい人々は、この取り組みが今夏にも始まる可能性があると話している。協議中のシナリオの一つは、アマゾンがプライム(年会費79ドル=約8000円)の会員に無料で商品を配送するが、配送は小売業者が手配し、その料金も小売業者が負担するというものだ。

アマゾンの計画は、ライバルのショップランナー社のビジネスモデルに似ている。ショップランナーは79ドルで無制限の配送サービスを提供している。これにはトイザラスやティンバーランドといった数十の小売業者が参加しており、小売業者自身が配送を受け持つ。

関係者が指摘するように、アマゾンは主に中小の小売業者を引き付けている既存のプログラムを拡大する意向だ。小売業者は自身のサイトへのトラフィックの誘導に対し、また、その結果の購入に対し、アマゾンに手数料を支払う。これらの小売業者は顧客のクレジットカードを決済する。アマゾンはというと、既存客の買い物傾向に関するさらなるデータを取得できる。

アマゾンにとって、提案されているやり方では、品ぞろえの穴を埋め、プライム・プログラムの増強に役立つとみられる。アマゾンは米国のプライム会員の年会費を20ドル〜40ドル引き上げる見通し。

アナリストたちは、アマゾンには2000万人を超えるプライム会員がいて、その大半が米国にいると考えている。プライムは昨年、アマゾンの売上高を前年比22%増の745億ドルに押し上げる一助となった。

アマゾンとの取引が成立すれば、実店舗を持つ従来型小売業者のネット販売を増やす可能性があるが、リスクもはらんでいる。従来型小売業者のネット販売が全体の売り上げに占める比率は、依然として10%に満たない。

交渉に詳しい人々によれば、小売業者たちは、アマゾンが蓄積した顧客データをどのように使うのか懸念している。アマゾンのサイト上の小売業者の中には、アマゾンが競争して価格戦略をテストしたり、販売する新製品を見つけたりする実験の場としてネット市場を使っているとして、アマゾンに憤りを感じている業者もある。

同様に、こうした小売業者は、自分たちの製品がアマゾンの膨大な商品の中に埋没し、自社製品の評判が失われかねないと心配している。

アマゾンのこのプログラムに関して契約を結んだ小売業者がいるかどうか明らかでない。ただし一部では、アマゾンが向こう1カ月以内に小売業者に提供できるソフトウエアを準備しているとの指摘もある。

アマゾンは、最終的にはアマゾンの倉庫や輸送ネットワークを代金を支払って利用できるようになると一部の小売業者に伝えているという。「Fulfillment by Amazon(FBA=アマゾンが出品者に代わって注文を受け、商品を出荷するプログラム)」という名前で知られるプログラムだ。それは、自らの商品の倉庫料を支払いたくないとか出荷の煩わしさを管理したくないといった、アマゾンのサイト上の第3者の小売業者の間で人気の高いサービスだ。

何百万もの小売業者を擁するアマゾン市場は、収入と利益にとってますます重要になっている。とりわけアマゾンがタブレット端末、ビデオゲーム・プログラミング、TV番組制作など、同社の提供するものを拡大しているからなおさらだ。一部のアナリストは、こうした第3者の売り上げは、アマゾンの商品販売収入の半分以上を占めているとみている。



Amazonが自社製作のオンラインテレビ番組配信サービスを計画中

Amazonは、最新映画からドラマ・アニメまでさまざまな映像コンテンツをPC・スマートフォン・タブレットなどから視聴できるAmazon インスタント・ビデオというサービスを提供していますが、さらにこのサービスを強化し、オンラインでのライブテレビ番組配信を計画していることが判明しています。

The Wall Street Journalの報告書によると、Amazonはオンラインストリーミングサービス「Amazon インスタント・ビデオ」より大規模なサービスの提供を計画中とのこと。そのサービスはインターネット上でオリジナルのライブテレビ番組を配信するというもので、まだまだプロジェクトは初期段階にあるようですが、コンテンツ作成のためにAmazonが大手メディア3社とコンタクトを取ったことも明らかになっています。

もしもAmazonがオンラインストリーミングサービス上でオリジナルのテレビ番組を配信するようになれば、これは既存のテレビやケーブルテレビなどの新たな競合相手となるのは明らかです。また、Amazonが作成しようとしているテレビ番組は「Amazon インスタント・ビデオ」と統合するのか、はたまた別のサービスとして提供されることになるのかは明らかになっていませんでした。

しかし、Amazonは「Amazon インスタント・ビデオ」サービスを継続しながら、オリジナル番組の作成を続けることを明かしており、さらに「テレビチャンネルのライセンス化や有料放送サービスなどは現状では計画していない」とコメントしています。

また、2013年にAmazonはRokuやApple TVのようなセットトップボックスを販売するのではと噂されていましたが、これはまだリリースされていないので「Amazonが計画しているオンライン上でのテレビ番組配信サービスは、このセットトップボックスとともにリリースされるのではないか」とThe Vergeは推測しています。

もしもこれらの噂が真実ならば、Amazonはオンラインでのオリジナルのテレビ番組配信サービスを提供するアメリカで最初の企業になります。しかし、ソニーがクラウドベースのテレビサービスの立ち上げプランをCESで提案したり、Appleも長い間そういったサービスを計画しているのでは、と噂されていたり、インテルのテレビ事業がベライゾンに買収されたりと、オリジナルのテレビ番組がインターネット経由で配信されるようになる未来はすぐそこまで来ているように思われます。

これまでオンライン上でのテレビ番組配信サービスは、コンテンツプロバイダーとテレビ局やケーブルテレビなどとの強いつながりにより妨害されてきましたが、ついにネット上でもオリジナルのテレビ番組が配信されることになるのでしょうか。



iPhoneで撮ってその場で買える、アマゾンアプリの新機能「Flow」

アマゾンは、iPhoneのカメラでさまざまな商品をスキャンすると、即座にオンラインで注文できる機能を発表した。商品の形状やサイズ、色、箱の文字など全体的な外観を認識するという。

アマゾンは2月5日(米国時間)、同社のモバイルショッピング・アプリの新しい機能を発表した。

ユーザーがスマートフォンのカメラでさまざまな商品をスキャンすると、即座にオンラインで注文できるというものだ。
この新機能「Flow」は、アマゾンの「iOS」向けショッピング・アプリで利用できる(ほかのプラットフォームおよびアマゾンの「Kindle Fire」でいつ登場するかについては、発表はなかった)。

Flowでは、商品の写真を撮影したり、バーコードをスキャンするのではなく、商品の形状やサイズ、色、箱の文字など全体的な外観を認識する。

商品棚やカウンターに並べてある商品にiPhoneを向けて、内蔵カメラで数秒間それを「見る」。すべての認識可能な商品がキューに入れられ、それをアマゾンのカートに追加することができる。

スキャンしている間、商品の上にはキラキラ光る青い星印が表示される。
まるで、小さなティンカー・ベルたちが、ユーザーの銀行口座を空にするのを手伝ってくれているかのようだ。アマゾンによると、このきらきら輝く光は、Flowが機能していることを表すヴィジュアル・インジケーターだ。

アプリがアマゾンのデータベースに対するクエリを通じて、スキャンをする対象物を判断している間、表示される。

スキャンしている対象商品を即座に判断できるアプリの性能は、家庭にある物品(本、電化製品、DVD、Blu-ray商品なども認識可能だ)を買い換えるのに役立つだけでなく、小売店で商品を見てからオンラインで購入する「ショールーミング」にとっても、うってつけのアプリとなる。
Flowで複数の競合製品をスキャンし、キューにそれらが入ったら、それぞれの価格とアマゾンのレヴューを比較するわけだ。

筆者がこのアプリを試してみたところ、5秒ほどかかる商品も一部あったが、ほとんどの場合は、2秒以内に商品を認識した。ただし、アプリはスキャンされた商品を見つけたものの、キューではサイズが異なっていることがあった。例えば、5オンス・ボトルのタバスコをスキャンしたのに、一番最初の検索結果には128オンスのボトルが表示された。幸い、冒頭の検索結果の下にある「もっと結果を見る」をタップして、他の候補を見ることができる。アマゾンでは今後こうした問題を修正するという。

スピードは重要だ。
われわれの注意持続時間は短く、遅い機能には耐えられない。アプリを離れられると、販売が失われることになる。アマゾンは、「これが必要だ」から「これを買った」までを30秒以内で行えるようにするという目標を掲げており、Flowはその一環となる。

「われわれは、このアプリが世界のすべてを認識できるようになることを構想している」と、アマゾンのモバイル部門ヴァイス・プレジデント、サム・ホールはWIREDに語った。

同社がその方向で進化を続ければ、リアルな販売店に行く必要はもうなくなるかもしれない。




アマゾン、ゲーム開発のダブル・ヘリックス買収

米インターネット通販大手アマゾン・ドット・コムは、ビデオゲーム開発会社のダブル・ヘリックス(本社・カリフォルニア州アーバイン)を買収した。買収額は非公開。ソフトウエア市場での存在感を高める最近の努力を加速させた。

アマゾンは、ダブル・ヘリックスの社員約75人を継続雇用する計画。アマゾン、ダブル・ヘリックス両社は5日遅くにこの取引を認めたが、詳細の公表は控えた。

アマゾンの広報担当はダブル・ヘリックスの買収について、「現在実施している革新的ゲーム開発への取り組みの一環」と述べた。ダブル・ヘリックスは昨年、戦闘ゲーム「キラー・インスティンクト」を発売した。この同時期にマイクロソフトの家庭用ゲーム機「Xbox One(エックスボックスワン)」の販売も始まった。

ダブル・ヘリックスの買収は、アマゾンがセットトップボックス(STB)を本格的に売り出す野心的な計画と関連している可能性がある。ゲーム機能も持つとみられているSTB発売計画は、事情を知る関係者が昨年明らかにした。アマゾンはSTB開発についてのコメントを控えた。

アマゾンは12年にゲーム開発スタジオを設立し、フェイスブック上でソーシャルゲーム「リビング・クラシックス」や、米グーグルのコンテンツ配信サービス、グーグルプレイで「エア・パトリオッツ」など複数のゲームを発売するにまで至った。またゲーム開発人員を増強し、プログラミング・エンジニアリング関連で多くの求人を出している。

アマゾンによるダブル・ヘリックスの買収は、米ハイテク専門メディアのテッククランチが5日報じた。




◇2014年1月31日の米株式市場で、オンライン小売り大手アマゾン・ドット・コム(AMZN.O: 株価企業情報レポート)の株価が9%以上急落している。前日発表した第4・四半期決算で純利益が市場予想を下回ったほか、第1・四半期に営業赤字に転落する恐れがあるとの見通しを示したことが嫌気されている。

少なくとも証券会社7社がアマゾンの目標株価を引き下げる一方、別の7社は目標株価を引き上げた。引き下げにより目標株価は最低415ドル、引き上げにより最高500ドルとなっている。

中盤の取引では、9.3%安の365.5ドルをつけた。アマゾン株価は過去半年で30%以上値を上げている。

アマゾンは第1・四半期の営業損益について、2億ドルの赤字から2億ドルの黒字のレンジ内との見通しを示した。前年同期は1億8100万ドルの黒字だった。

アナリストは見通しは幾分控えめであり、同社が成長機会や新戦略への積極投資に注力していることを反映していると指摘している。

ベンチマークのアナリスト、ダニエル・カーノス氏は「電子図書館や配送センターなどに関連した社内投資に加え、同社は『アマゾン・プライム』サービスの成功により、利益率への圧力が一段と高まる可能性がある」と指摘した。

同社は年会費79ドルで商品を2日以内に配送する「アマゾン・プライム」サービスを提供しており、これがオンライン販売の押し上げに貢献してきたとみられている。

ただ燃料費・輸送コストの上昇や利用増加を受けて、同社は米国で20─40ドルの値上げを検討していると明らかにした。

アナリストは値上げにより、価格面で消費者へ訴求力を失うことなく、年間売上高を6億ドル程度押し上げる可能性があるとみている。



Amazonは全メディアコンテンツ、アプリ、ゲーム等をテレビやホームシアターに流し込むSTBを3月に発売?

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Amazonは3月にテレビ用のセットトップボックスをローンチするらしい。つまり、この、eコマースとデジタルメディアの巨人が今実際に、ストリーミングTV製品の開発に勤しんでいるというのだ。しかもそれは、昨年のホリデイシーズンに出ると噂された製品の発売時期が延ばされたもの、ということらしい。

そのAmazonのストリーミングボックスは、同社のデジタルメディアのコンテンツをテレビで視るための製品だ。まずAmazon Instant Videoのタイトルがあるし、合衆国のAmazon Primeの会員に無料で提供されるコンテンツもある。音楽のカタログも膨大だから、ひまだった(かもしれない)ホームシアターの稼働率を上げるには恰好だ。

Re/Codeの記事は、AmazonのそのガジェットがAndroidデバイスだ、と言っている。ただしKindle Fireのときと同じく、独自にフォークしたAndroidが搭載される。そのセットトップボックスがゲーム機にもなるのか、その辺ははっきりしないが、でも本誌の情報筋が前に漏らしたところによると、確かにそいつはゲームもサポートする。また、最近、別の業界筋から聞いたところによると、昨年暮のショッピングシーズンを逃したにもかかわらず、ゲーム機能はある、ということだ。

Amazonがストリーミングのためのメディア製品を消費者に提供するのは、至極当然だ。しかもそれがAndroidでAmazon Appstoreから何でもインストールできるとなれば、アプリのオープンなライブラリの整備が遅れていた一部の競合他社は一気に追い抜かれてしまうだろう。問題は料金だが、Amazon Primeの会費が20~40ドル値上げされるという噂が本当なら、このハードウェアとコンテンツの完全無料化が、すでに織り込み済みなのかもしれない。

 

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