認知症700万人時代の最善の予防策は「腸」の若返り

老化とは、ひと言で説明すれば「細胞の老化」です。これは腸が食べ物からの栄養素を十分に吸収できず、免疫力を発揮できない状態に陥っていることを示します。さらに表情に生気が感じられず、瞳がいきいきしていない人も、腸から脳に送られるべき栄養素や神経伝達物質の素が十分に届いていない証拠といえます。

腸が老化することの最大の原因は、腸内細菌が生命活動に不可欠な体内酵素を十分につくりだせなくなり、細胞の代謝が悪くなってしまう点にあります。この細胞の健康を損なう最大の敵が活性酸素(フリーラジカル)です。

活性酸素は「体をサビつかせる悪者」ではありますが、ホルモン生成の手助けをしたり、外敵が侵入してきた際に白血球から放出されて敵を全滅させるなど、有用な働きもします。ところが、大量に発生すると、コレステロールや中性脂肪といった脂質を酸化させて過酸化脂質という有害物質をつくり出し、細胞膜やDNAを傷つけて破壊してしまうのです。

この過酸化脂質が脳細胞の細胞膜内に増えると、アルツハイマー病を引き起こす原因とされているタンパク質「アミロイドβタンパク」が、脳細胞の表面に集積しやすくなります。



食べ物に含まれる酵素を最大限に摂り入れるには、できる限り生に近い状態で摂取するといいでしょう。これは酵素が熱に弱いからです。ですから、たとえば野菜ならサラダ、魚介類なら刺身で摂るほうがいいのです。このとき、旬のものを選ぶと、より豊富な酵素を摂ることができます。また、植物性食品を全体の食事の85%にし、動物性食品は15%程度に抑えることがお勧めです。

 このほか、酵素をたくさん含んだ食べ物として、発酵食品がお勧めです。たとえば、味噌、しょうゆ、酢、塩麹、納豆、ぬか漬け、たくあん、カツオ節、塩辛、くさや、キムチなどを挙げることができます。

 食べ物を発酵させるのは、麹菌、酵母菌、乳酸菌、納豆菌、酢酸菌などの微生物です。こうした微生物の働きで、発酵が促進された食品には、食物酵素が豊富に含まれています。ですから、発酵食品を積極的に摂れば体内酵素の補給になり、腸内細菌も活発に働いて、体の老化や病気を防いでくれるのです。

腸相がよく、心身ともに健康な人たちは、長年にわたって酵素を含む新鮮な食べ物をたくさん摂る食生活を続けています。そのため、酵素をつくり出す腸内細菌が活発に働ける腸内環境になるという好循環ができあがっているのです。つまり、これが腸を若返らせる習慣で、あなたの老後の脳と体の健康を決定づける最良の方法といえるのです。

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症状対応(部分最適)から、すてきに活ききる(全体最適)アプローチへ